生誕130年 松園と美しき女性たち (山種美術館)

山種美術館の『松園と美しき女性たち』に行ってきました。この展
覧会では松園の作品を中心に、女性を描いた作品ばかり展示されて
います。

目に鮮やかな、千代紙を折り込んだ様な片岡球子さんの『むすめ』、
若い芸妓さんの一瞬の緊張感を描いた小倉遊亀さんの『舞う』、そ
れぞれにキャリアを積んだ女流画家が、遺憾なく個性を発揮した作
品です。

また、伊東深水の描く女性はふくよかでとてもなまめかしい。とて
も色気があります。これは男性だから表現できた女性像でしょう。

対する松園の美人画はとても静かで涼しげです。すみずみまでまじ
りけのない透明な感覚は、余計なものをそぎ落とし、そぎ落とし、
そぎ落とした末に生まれてくるものでしょう。雪、蛍、紅葉、簾な
どの季節の彩りや、裁縫、折紙のような生活の一場面がさりげなく
描かれています。会場内に展示されていた現代の女性像などと比べ
てみると、その美しさには歴然とした差があります。これまで松園
の作品には何げない印象を持っていたのですが、今回展示されてい
る多くの女性像と比べて、その何げなさの表現は松園ならではなの
だということに思い至りました。これからも機会を見つけて、松園
の描く世界を味わっていきたいと思いました。


・生誕130年 松園と美しき女性たち 11/27 まで...
＃ 近所の紅葉はあと一歩...来週あたりは色づくのではないかな...