美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




さて、四国に渡って最初にお邪魔したのは丸亀の猪熊弦一郎現代美術館
です。この箱を設計したのは谷口吉生さん。昨年、東京オペラシティで
開催された『谷口吉生のミュージアム』を観てから、私がもっとも気に
入っている建築家です...

丸亀には水曜日の深夜、関空からのシャトルバスでたどりつきました。
そこは丸亀の駅前、ふと見れば暗闇に浮かび上がる美術館、正面が彫刻
で飾られている『あの』美術館が目の前にあります...いやがおうにも期
待は高まります...

翌日は十時開館ぴったりに訪れました...

一階はミュージアムショップ、二階は常設で猪熊さんの作品が展示され
ています。観客は私一人だけ、ゆっくりと歩を進めながら、谷口建築の
空間の気持ちよさをじっくりと味わいました。館内は撮影OKでしたの
で、そのうち写真などもアップできたらなぁ...と思います。

猪熊さんの作品は、これまで単発でしか観たことがなかったのですが、
こうしてまとまった数の作品を前にすると、その画面を埋めるイメージ
(レコードだったりあるいは宇宙に浮かぶ機械をイメージしたものだっ
たり...)に時代を感じました。色使いも原色が多様されていて、とても
明るい印象です。

そして三階は企画展示室です...

谷口さんの建築はきりっとした直線で構成されている端正な印象、厚み
を感じさせない空間はゆったりとしていて、外からの光が取り込まれて
います。その広々とした空間は、まっしろい仕切りで二つに区切られて
いて、目をこらすと、そこかしこに須田悦弘さんの作品がひっそりと展
示されています...

須田さんと言えば、原美術館二階の『此レハ飲水ニ非ズ』や年末年始に
資生堂ギャラリーで開催されていた life/art '05 の椿、、あるいは横
浜で開催された食にちなんだ展覧会でのするめなんかをみたことがあり
ます。

今回は雑草...

壁と床の間から生える緑の雑草...これが白い壁にとても映えます。ただ
の草のように見えて、外光のあたり具合や、二つに仕切られたまっしろ
い空間の、広いほうから小さいほうへ視線をうつすと視界にはいる緑の
塊がとても愉快です。こういう作品は自分の好きな葉っぱやアングルを
見るけるのがとても楽しい。企画展は撮影禁止だったので、私の気に入
ったアングルをお見せできなくて残念だなぁ...

会場には年配の方がいらっしゃって、しきりにもったいないもったいな
いを繰り返していましたが、須田さんの作品は、きっと面白がる人と怒
る人に大きく分かれるのでしょうね。私は断然面白派です。額縁もなけ
れば鉄の塊も木の塊もない、空間にそっと寄り添うような、須田さんの
作品...

これはある意味で、既存の展覧会に対する挑戦かもしれません。

単に緑が見たければ公園に行けばいいのだろうけれど、美術館という空
間で本物そっくりに作られた雑草を観るという体験...くせになるとやめ
られなくなるかも...

須田悦弘展 (猪熊弦一郎現代美術館) ~ 10/1 まで...

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (ogawama)
2006-08-26 13:41:13
須田悦弘さんて『此レハ飲水ニ非ズ』の方なんですね。私あれは好きなので、今リンク先をたどって行ってみたら..。

国立国際美術館(大阪)でも展示をやってますね。

会期中、中之島に泊まったことがあってその時周辺の美術展を調べたのですが、須田さんのお名前を記憶してなかったので「三つの個展」はスルーしてしまいました。

どうもものを知らなくて、見逃してしまったのがとても残念です。
 
 
 
Unknown (lysander)
2006-08-27 01:25:29
ogawamaさん

こんばんは



> 国立国際美術館(大阪)

これも知っていたのですがね...

さすがに関空から香川に直行して、大阪とんぼ返りはきびしかった...

# 旅先のイベントは一期一会ということで...
 
 
 
羨ましい (KIN)
2006-08-27 23:09:13
おお、丸亀の須田さんの展示見たのですね。

イイなぁ。

GWに私も直島、東山魁夷、丸亀と行ったのです。

そこで知った須田さんの展示・・・。

イイなぁ(それしか言えない)。



私は建築的には東山の方が気に入りました。
 
 
 
Re: 羨ましい (lysander)
2006-08-29 00:47:19
KINさん

お久しぶりです。



あそこら辺は現代アートのメッカですね。

# 東山は別として...



牟礼のイサム・ノグチ庭園美術館と直島で

ツアーが組まれたりしているそうですよ。

# なんて贅沢な...
 
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