★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルのモーツァルト:交響曲第39番/ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」(ライブ録音盤)

2023-05-22 09:41:36 | 交響曲(モーツァルト)


モーツァルト:交響曲第39番
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」

指揮:エフゲニー・ムラヴィンスキー

管弦楽:レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1965年2月モスクワ音楽院大ホール(ライブ録音)

発売:1977年

LP:ビクター音楽産業 VIC-5069

 このLPレコードは、1965年2月モスクワ音楽院大ホールにおけるライブ録音である。ロシアの名指揮者エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903年―1988年)の遺した数ある録音の中でもライヴ録音は珍しく、巨匠のナマの演奏を聴くことができる貴重な録音だ。ムラヴィンスキーは、実に50年(1938年―1988年)にわたってレニングラード・フィルハーモニー交響楽団首席指揮者を務めたが、レパートリーは、主にショスタコーヴィチやチャイコフスキーなどロシアものを得意とした。ムラヴィンスキーの指揮は、オーケストラに一糸乱れることのない演奏をさせ、リスナーはそのことに釘づけになるが、ムラヴィンスキーの真の偉大さは、それだけで終わらないところにある。その曲の本質をぐっと握りしめ、それをリスナーの前に明確に示すことによって、感動をリスナーに共感させることにある。つまり、単なる音の羅列でなく、作曲家が楽譜に込めた思いが、ムラヴィンスキーの棒を通して伝わってくる。これは例え幾多の指揮者がいようが、ムラヴィンスキーしかなしえない神業なのだ。このLPレコードのモーツァルト:交響曲第39番は、そんなムラヴィンスキーの特徴を十二分に聴いて取れるライブ録音なのである。ゆっくりとしたテンポの中に、実に奥行きの深い演奏に仕上がっている。それでいて、とっても温かみのある演奏なのだから、一度聴いたらたちまちのうちにムラヴィンスキーファンになるということが少しも不思議には感じられない。静寂の中に熱い思いを込めた指揮ぶりは、何度繰り返し聴いても飽きることはない。もっとも体調が悪いときはムラヴィンスキーの指揮は聴かない方がいいかもしれない。その理由は、聴くこと自体がムラヴィンスキーと共感することになるので、聴くことがあたかもリスナー自身が指揮者になることを意味し、聴き終わったときはぐったりと疲れ果ててしまうからだ。もっとも、これは心地よい疲れなのだが・・・。B面に収容されているストラヴィンスキー:バレエ音楽「ミューズの神を率いるアポロ」は、ストラヴィンスキーが新古典主義の作風に入った時の曲だけに聴きやすく、聴いていて心地よい作品だ。ここでのストラヴィンスキーの指揮ぶりは、モーツァルトやチャイコフスキー、それにベートーヴェンなどを指揮する時とはがらりと様相を変え、実に楽しげに指揮をしている。ムラヴィンスキーの別の一面が垣間見えて、楽しい一時を過ごすことができる。(LPC)


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