今日もミューズが微笑んで

歌うように暮らしたい。アートの道探しを楽しむJasmineのきままな日々。

まだ間に合う!宮本亜門さん演出のオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」

2006-11-04 | いろんな舞台鑑賞ノォト

我が師匠、宮本益光さんがグリエルモ役で出演。昨日がその初日でした。
コジってこんなに面白かったんだ!と改めて思った舞台でした。

「コジは各キャストのアリアもたくさんあるけど、なんと言ってもきれいな重唱がたくさんあるので大好きなオペラなの。今二重唱練習してるんだ
以前、オペラ仲間との飲みの席で、そう言ったら、マエストラK子ちゃんに、
「ああいうオペラは素人がやるには向かいないね。すごくドラマテッィクなわけじゃないから、音楽のレベルがすぐ出ちゃう・・・」

私は重唱の練習にコジを選んだだけで、コジやるなんて言ってませんってば!

と、内心思ったものだけど、改めてそうだなぁ、と思いました。

オペラは音楽がドラマになっているから、楽譜通り歌えば、演技がなくてもちゃんと物語として伝わるはず。今回のコジはそのサブタイトル「女は(今回は人間はとなってましたが)皆こうしたもの」のように、人間の心模様を描いた作品。だから、音楽を聴いていると、字幕を読まなくても登場人物の性格がよーく出ている。

でも、何しろ長いので途中から疲れてしまって、集中力に欠けることがよくあった。
特に2幕になると。だから、今回ノーカット完全版といわれても、どれが普通カットなのか、実は理解していなかったりします・・・
結局、音楽でドラマを理解するに至らず、字幕で(頭で)理解することになってしまう。特に、まあ、そんなお話だから時代や登場人物の設定が、置き換えられることが多く、それのオペラの印象になってしまうのですね。

今回は、衣裳にしても職業にしても原作に忠実に作られて、ドン・ジョバンニのことを考えると以外だったりしたけど、演技は細かいところまで、「こんな性格の人間は、こんなときにはこういう行動を取る」という表現が実に細かくて作られていて、かつ一貫性があったので、それが音楽に合っているから視覚的にも体に入ってきて、理解が深まった感じがしました。
登場人物のキャラクターが、かなり明確に浮き彫りにされていました!そう「人間にスポットを当てた」コジですから、この演出は大成功ではないかしら?

音楽がドラマそのものだ、って言われても、よくオペラを観ている人とか音楽に対する感性が相当優れている人でないと、オペラの音楽のドラマ性はなかなかわからないと思うし、一般の人に裾野を広げるのであれば、こういうふうに、音楽を助ける(引き出す)演出がもっとされる必要があるのではないかな、と思いました。(たくさん動くかどうかは別としても。)

この辺は演劇やミュージカルの人(亜門さんが)だなぁ、と、ミュージカルに参加している私は、共感を覚えたところ。でも、歌うほうはタイヘン。台の上に、ピョンと跳び乗るとか、寝転んだり、怒りって椅子を投げつけようと持ち上げたり、演劇であればごくごく自然に伝わるそれぞれのシーン、でも、歌いながらそれをやるというのは、本当に大変。


叶姉妹かと思わせる、フィオリディリージ林正子さんとドラベッラ山下牧子さん。
ドレスにハイヒールで走る走る・・・ケガなどしませんように・・・

特にフィオルディリージは、大変だったんじゃないかな。
自分が今、フィオにチャレンジしているから、余計感じるのかもしれないけど。
フィオルディリージは感情の起伏が激しくて、なかなか頑固。音楽に全て含まれていて、音域は広いし、ジェット・コースターのように上がったり下がったり。そこに、そういう性格を現す演技がつくのですから・・・

その点、ちょっとお茶目なドラベッラ。気持ちの切り替えも早い。
それが後半に行くにつれて明確になっている。
アリアもフィオは「岩のように動かず」、ドラベッラは「恋は曲者」。重唱にもよく現れていて、20番の重唱ではドラベッラの音楽をフィオルディリージが追いかけていくカタチで展開するし。

こういう音楽的な構造を理解できるようになると、ますます面白くなります。で、もう1回観られば、もっと楽しいんだけど。さすがに今回は、本番近いので稽古休めないから諦めましたが。

そしてそして、衣裳のセンスも抜群。前田文子さん。以前、私が横浜シティオペラの「ラ・ボエーム」に出たときもこの方が衣裳、その頃はまだこんな有名じゃなかったと思うのですが、最近は大きなオペラはたいていこの方です。この時代のカラーを残しつつスタイリッシュ。

おっと、師匠の活躍ぶりを書きませんでしたが・・・ もちろん、キャストの中ではダントツ光ってました。今さら書くことがなし。オペラ1回やるごとに上手くなっている、って感じです。師匠に対して言う言葉じゃないですが、見る度、「この間よりいい!」と思うのでした。

よく動く!細かいところまでメリハリつけて動くので、どう動こうとしているのかがよくわかるんですね。激しい動きを自然にこなしながら、音楽は涼しい顔して歌っている(内心は違うと思うけど)。

ご本人のサイト「宮本益光の脳みそ→落書き掲示板」で舞台のことが書いてあるし、稽古日記もアップされているので、ファンの方はそちらをぜひご覧くださいマセ!
あれれ、宣伝になってしまいました。

もちろん、他のキャストの方も素晴らしかったですよ!
やはり、実力のある人でないと、こういうオペラは表現できないです。
ちょっぴりオケと合ってないところもありましたが、次回はきっと大丈夫でしょう。

あらすじやキャストは・・・二期会公演ラインアップ をご覧ください。

がんばって、重唱できるようにしよう!と決意を新たにしたのでした



    
    日生劇場コジのポスターの右隣り、「利口な女狐の物語」、
    宮本益光さんが日本語訳を担当されたんですよ。

          

          
    
    日生劇場の隣は東京宝塚劇場。帝劇も近くにあるし、
    付近を歩くとブロードウェイにいる気分です。

フィガロの結婚、ドン・ジョバンニ、そしてコジ・ファン・トゥッテと、亜門さんの演出を見ましたが、今回が一番よかったような気がします。フィガロはオーソドックスだったし、ドン・ジョバンニは演出が走り過ぎた感じ、今回は、音楽を助ける演出で、地味な印象のコジの面白さを引き出してくれたように感じました。しかも今回は音楽ノーカット!見ない手はありません。今からでも間に合います!明日は15時開演ですよ

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