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[書籍紹介]アフガニスタンの大地とともに―伊藤和也遺稿・追悼文集

2009-06-22 | 本・番組・映画など
[書籍紹介]アフガニスタンの大地とともに―伊藤和也遺稿・追悼文集
ペシャワール会/編 石風社 2009年04月  1575円

 ペシャワール会から「アフガニスタンの大地とともに―伊藤和也遺稿・追悼文集」が出版されました。一時品切れになっていてなかなか手に入りませんでした。昨年8月アフガニスタンで拉致・殺害されたペシャワール会の伊藤和也さんの遺稿と追悼文を集めたものです。伊藤さん本人のペシャワール会への志望動機や日々の出来事の記録、遺族や友人たちの追悼文が掲載され、読みながら自然と涙があふれてきます。
 伊藤さんというのは、ペシャワール会の中でもひときわアフガニスタン現地に根付いた人であったことが伝わってきます。ほとんど日本人ワーカーに対して怒ることがないという中村哲先生が声を荒げるほど要領がよくなく、それでいて黙々と仕事をこなし、誰からも愛され、現地にとけ込んでいった、そんな伊藤さんの人柄が浮かび上がってきます。他のワーカーたちが、日本に戻ったときにどんな仕事をするのかを話し合うのに対して、伊藤さんは日本に帰る気がなく、自分の希望の職業などは一切話さなかったといいます。ご両親は「和也は伊藤家の誇りだ」と語りますが、しかし、お父さんのお酒の量が増えたこと、お母さんがふと和也さんが帰ってくるような気がすること、そんなところに無念さと悲しさがにじんでいます。
 伊藤さんに手作りの料理を食べさせてもらった思い出を、多くの友人たちが書いていました。本当にアフガニスタンと人が好きだったのだと思います。日本が自衛隊を派遣しなければ、ブッシュが攻めていかなければ、こんなことにならなかったのにと思います。しかし、本を読んでいるときは、そんな政治的な思いも封印され、ただただ、伊藤さんというぼくとつでアフガニスタンを愛した一人の青年の短かった生涯に思いを馳せるのみです。本当に、多くの人に読んで欲しいと思います。(ハンマー)
※リブ・イン・ピース☆9+25の関連記事
イラク戦争開戦6周年 「対テロ戦争」を批判するシリーズ(その3)
[番組紹介]NHKスペシャル「菜の花畑の笑顔と銃弾」伊藤和也さんが命を懸けて伝えたこと
http://www.liveinpeace925.com/iraq_afgan/iraq_6th_anniversary03.htm


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2 コメント

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Unknown (ほいみィ)
2009-06-23 23:01:17
知らなかった伊藤さんの人柄を思い、親しみを持ちました。
…アフガニスタンだから(?)たまたま殺されたのでしょうか?溶けこんでいたからこそ殺されたのでしょうか?
人間にとって平和が基盤なんですね…。
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やっぱり平和が大事 (ハンマー)
2009-06-25 00:42:30
ほいみィさん
 さっそくコメントありがとうございます。「人間にとって平和が基盤なんですね」というのはいいですね。いきなり話がそれますが、教育がどうの人間がどうのというが、平和がまずなければどうしようもないと、だれかが書いていたのを思い出しました。
 伊藤さんが行方不明になったとき村人総出で1000人近くもが大捜索を行いました。そんなに伊藤さんが現地の皆から親しまれていたことはやはり僕には驚きでした。中村医師は、“犯人は伊藤のことを知らない強盗か何かのたぐいだろう”というようなことを言っていました。現地にあれほどまでに溶け込んでいた伊藤さんが拉致・殺害されるまでに治安が悪化してしまったということだったと思います。
 つい最近、アフガニスタンで全長23・6キロの農業用水路の完成が報じられていました。伊藤さんも参加したあの用水路がついに完成したんですね。農業技術者だった伊藤さんは、人手を補うために一時的にこの用水路建設に携わっていました。米軍の爆撃機が頭上を旋回する中でペシャワール会は仕事をやり抜いたのです。(この辺の事情は以下の本を参照)
※[紹介]医者、用水路を拓く--アフガンの大地から世界の虚構に挑む(署名事務局)
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/notice/book-ntetu-yousuiro.htm
 中村医師は2001年の911直後に自衛隊派兵が問題になり始めた時から「自衛隊の派遣は百害あって一利なし」と言い続けてきました。自衛隊の派遣によって侵略の一翼を担うことになり、アフガニスタンにある親日感情が崩れることを危惧したのです。伊藤さんが殺されたとき、あれほど現地に密着していたペシャワール会のワーカーがどうして?と驚きの声が上がりました。中村医師が最も恐れた事態が起こってしまいました。犯人が何の目的でなぜ伊藤さんを、というのははっきりしていません。ただやはり、ペシャワール会の活動でさえ脅かされるような治安悪化をもたらしたのは、米国の侵略と日本の加担であるという思いでいっぱいです。
(ハンマー)
※アフガン:農業用水路完成へ ペシャワール会・故伊藤さんも参加、緑化で10万人恩恵(毎日新聞 6/5)
http://mainichi.jp/seibu/shakai/news/20090605ddg001030004000c.html
※9.11事件7周年を迎えて~「対テロ戦争」を名目とした破壊と殺りくをやめよ!
ペシャワール会・伊藤さん事件を真剣に受け止め、今すぐイラク・アフガニスタンから自衛隊を撤退させるべき(署名事務局)
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/Japanmilitarism/7th_anniv_911.htm
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