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アルゴナウティカ

2010-05-29 | Weblog
古代の抒情詩には必ず人魚とかセイレーンが登場する。航海での冒険が多いから。この作品は、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「人魚」(John William Waterhouse 「The Mermaid」(1900)Royal Academy of Arts, London)です。

古典ギリシャのアポローニオス・ロディオスの叙事詩、「アルゴナウティカ」は、アルゴ船遠征物語ともいい、イアソンら50人ほどの英雄達と、アルゴ船で東へ東へとコルキスにむかって遠征し、「Golden Fleece 黄金の羊の毛皮」(黄金の林檎説)を探しに行く。人類初の巨船の船首は、言葉を発したという伝えがある。

これが林檎説なら、バーン=ジョーンズの描いた「ヘスペリデスの楽園」をさすんだろうかぁ?

昔の英雄は、怪物退治や珍品を探し求め、クレタの牡牛やら、女王の腰帯やら命がけ。あちこちで、いろんなハプニングがあって、それは大変です。結婚もあり、行方不明もあり、足止めされたりと、英雄たちの波乱の冒険。


John William Waterhouse The Siren(セイレーン)1900年頃 個人所蔵

もちろん「セイレーン」も登場する。簡単に説明するとイアソンとアルゴナウタイの航海の冒険もの。

この物語にはオルフェウスが乗船していたため、セイレーンの罠にかからなかった。

つまり、「セイレーン」の美しい歌声より、船員達はオルフェウスが竪琴に聞きほれてしまったからなんです。

「セイレーン」に勝ったオルフェウスは、のちに女性との愛を禁じる「オルペウス教」をひろめたことでトラキアの女たちに殺されるのです。恐ろしい。ウォーターハウスはそのオルフェウスの首を見つける乙女達の姿を描いています。


オルフェウスの首を見つけるニンフ達(Nymphs finding the Head of Orpheus)1900年
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス Collection Sir Tim Rice

この「アルゴナウティカ」では、クレタの牡牛やらを生け捕ったヘラクレスとその息子のヒュラス、アポロンの息子なども登場するが、波乱の冒険の一役は、ヒュラス。ヘラクレスの息子で、美少年で、一役といっても、なんとも影がうすい。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスが、ヒュラスを題材に作品を描いたが、それがあって、記憶にあるというくらいの僕です。

BAUさんのオデュッセイアの記事、ふ~のパンドラといい、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスを取り上げていますが、彼だけではなく、巨匠達も神話の世界を描いています。僕は、ミュシャ同様に、ウォーターハウスに理解がないです。専門家たちに笑われそうですが、同じ部類と考えています。2人の描く女性像は、アニメやゲーム、ムービーのキャラクターむけ、というのが正直な感想です。

ただ、作品をみると、その筆致や優美さなどに、絵画的要素を発見し、感動します。この作品は、マンチェスター シティ・アート・ギャラリー蔵の「ヒュラスとニンフたち」(1896年)です。


まずは、ヘラクレスとヒュラス。「おじいさんは、山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に」という行き先は、どの国の昔話も同様で、ヘラクレスは、山に櫂にする木をとりに、美少年ヒュラスは水汲みに行く。

水辺に近づく美少年を、水の中に引き込んでしまうニンフ。ヒュラスの姿が見えず、狂乱するヘラクレス。そのヒュラスをニンフが引きずり込む場面が、作品にされています。結局二度と戻ってこないヒュラスですが、彼を待つために、ヘラクレスは船には乗らず、この島に残る。

BAUさんのオデュッセイアとはトロイア戦争に行って、そして帰ってきたあたりの時代で、このアルゴナウティカはトロイア戦争が始まる前の時代です。

記事 ルーカス・クラナッハ 七つの「パリスの審判」
記事 パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと
記事 アエネーイスから アイネイアースと母ヴィーナス

この物語は、オペラや映画でも馴染みのある「女王メディア」の悲劇ともなる、イアソンとの出会いと、黄金の羊の毛皮を二人で手に入れた物語が、「アルゴナウティカ」全4巻にあります。

著者は、ヘレニズム時代のアポロニオス・ロディオスですが、ローマ白銀時代のウァレリウス・フラックスも「アルゴナウティカ」がありますが、邦訳されていません。


さて、この人が「女王メディア」です。ラファエル前派のイヴリン・デ・モーガン(1855-1919)の作品で、「メディア」です。ヴィクトリアン調です。
父親を裏切り、幼い弟を殺害したのも、愛するイアソンのため。金羊の毛皮を獲って、イアソンと結婚したものの、イアソンは、メディアに恐れを抱くようになり、グラウケと結婚を決意。

魔術をつかうメディアは、グラウケ、メディアとイアソンとの間の2人の子供にも手をかけ、周囲の人の死でもち、復讐する。

BAUさんのオデュッセイアにも、魔術を使うキルケが登場しますが、相手の女性を異形の姿に変身させるなど、人間のもつ「恨み、憎しみ」というものを象徴しているようです。残念ながら人間性には、この種が潜んでいると思う。ふ~のパンドラの壷のせいですか。(笑)


アルゴナウティカのイアソンとメディアに話を戻しまーす。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「イアソンとメディア」のディティール。(全体像はこの下)

イアソンの兜に注目してください。

イアソンに恋するメディアは、彼の冒険を、魔術で助けていく。青銅の牡牛を倒させ、黄金の羊の毛皮の守り神 龍を眠らせ、イアソンは龍の中に入り、その中から金羊皮を獲る。イアソンを蘇らせるのもメディア。(古典から)

羊を生贄にするメディアでは、フランシスコ・デ・スルバランの「神の子羊」が、思い浮かんだ僕でした。


ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 「イアソンとメディア」1907年
(The Rob Dickins Collection courtesy of Christie's)

上の画像はクリスティーズの公開画像。下のポスターのほうが写真の「イアソンとメディア」っぽいですね、イアソンの服の青にも近い色です。



「どうなんですか」は10点くらい紹介されている記事
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス どうなんですか
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス どうなんでしょう

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