タイ情勢：ステープＰＤＲＣ事務局長

2014年01月11日 13時05分30秒 | タイ

Suthep Thaugsuban
反タクシン派組織PDRC（People's Democratic Reform Committee）事務局長。
民主党政権時代の治安担当副首相、民主党元幹事長。

昨年11月、ステープ氏とアピシット民主党党首は最高検察庁によって起訴された。起訴理由は、民主党政権j時代の2010年にバンコク中心部を占拠した赤シャツ隊（UDD：タイ貢献党支持団体）の排除を軍に命じた際、実弾の使用を許可し、多数の死傷者をだしたこと。

このとき赤シャツ隊の武装部隊（黒シャツ隊）が軍に向けて銃撃した事実は考慮されていないのだろう。タイ貢献党にとって黒シャツ隊は存在しないことになっているからだ。死傷者の中には、黒シャツ隊が意図的に味方を撃った可能性さえあるにもかかわらずだ。

ステープ氏らに対する起訴は、タイ貢献党による見え透いた政治的駆けにすぎない。タイ貢献党は、海外逃亡中のタクシン元首相（事実上のタイ貢献党党首）に対する新恩赦法の可決を目論んでいるが、そのままでは民主党の賛意を得られないため、民主党幹部であるアピシット元首相とステープ元副首相を起訴し、タクシンともども新恩赦法によって赦免しようという計略だった。新恩赦法に同意せざるを得ない状況を意図的に作ろうとしたわけだ。しかし、冷静さを欠いた露骨な手法というしかない。

当然、このあからさまな政治的訴追は民主党と反タクシン勢力の怒りを買った。
昨年11月、ステープ氏が議員辞職し、反政府活動に専念すると、バンコク都民はこれを熱烈に支持した。

この状況に脅威を感じたインラック政権は、1月10日、タイのFBIと称されるDSI（The Department of Special Investigation）に、ステープ氏をはじめ反政府活動家幹部35名の逮捕状を刑事裁判所に請求させた。しかし、同裁判所はあっさりこれを退けた。

ステープ氏をリーダーとするPDRCは今月13日に「バンコク封鎖」を決行する。
都内の主要7ヶ所を封鎖する予定だ。

対抗勢力である赤シャツ隊の武装部隊が黙って見ているかは分からない。
2010年に軍の施設が襲撃され、その際奪われた100丁以上の自動小銃はいまだ行方不明だ。

ステープ氏とPDRCに対するバンコク都民の支持は極めて高い。
それだけではなく沿道の都民からステープ氏に手渡される寄付金の額は尋常ではない。
三回行われたうちの初回のデモでは、170万バーツ（約500万円）が寄せられたと発表された。
ステープ氏はその一枚一枚を自らの手で沿道の都民から受け取っている。
一人で1万バーツ（約3万円）を手渡した人もいた。
バンコク都民は彼らを支えるために身銭を切ることを惜しまない。
この現象にインラック政権やタイ貢献党、赤シャツ隊は脅威を感じていることだろう。

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