報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

鳥インフルエンザとタミフルとラムズフェルド

2005年12月07日 23時14分27秒 | ■鳥インフルエンザ
僕は文系出身なので、医療や薬剤に関しては、まったくの門外漢だ。したがって、人の健康に関する分野について言及するのは適切ではない。しかし、気になることを放っておくこともできない。そのことを念頭においてお読みいただきたい。

<日本しか買わない「タミフル」という薬>

「同社(タミフル製造元のスイス製薬大手ロシュ)によると、これまでにタミフルを服用した計3200万人のうち、日本人は2400万人を占めている。」
http://cnn.co.jp/science/CNN200511180006.html

(日本小児感染症学会で)「愛知県の医師は、タミフルの年間販売量のうち、日本が世界の8割以上を占めている現状から『日本だけがタミフルを多用している現状はおかしい』と発言した。」
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051113k0000m040067000c.html

僕が実際に見たニュース番組では、インフルエンザに効くのは「タミフル」だけだと説明していた。それが日本の医学界の一般的な認識なのだろう。だから「タミフル」の需要の80%が日本に集中しているのだろう。しかしこれは、おかしくはないだろうか。すぐれた薬だが、日本しか買わない。そんなことがあるのだろうか。しかも、日本政府は備蓄目標まで打ち出している。

「政府の新型インフルエンザ対策行動計画で2500万人分の備蓄目標が決まった抗ウイルス薬タミフルについて、厚生労働省は26日までに、政府と都道府県の備蓄分(計2100万人分)をほぼ調達できるのは、早ければ2年後とする初の見通しをまとめた。」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051126-00000076-kyodo-soci

「タミフル」の製造元であるロシェ社は、日本一国でいったいどれだけの売り上げを達成するのだろうか。しかし、この「タミフル」にはすでに死亡例も報告されている。

「タミフル」の服用で、世界で71件、日本で12件の死亡例があると米食品医薬品局(FDA)が報告している。特に、服用後の異常行動による死亡が日本で2件報告されている。1人は車道に走り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から転落死した。この件に関して、日本の医学界の意見は真っ二つに分かれている。

「浜理事長(NPO法人「医薬ビジランスセンター」)は「副作用で異常行動が起きたと考えるのが自然。インフルエンザは安静にすることが大事で、薬に頼るべきではない」と言う。これに対し、厚労省インフルエンザ脳炎・脳症研究班に所属する横浜市立大学の横田俊平教授(小児科)は「発熱や他の薬の影響なども考える必要があり、副作用と判断するには科学的根拠が薄い」と話している。」
http://www.asahi.com/health/news/OSK200511120023.html

しかし、こうした「タミフル」の危険性に関する議論はほとんどなされていない。それよりも、「ヒト→ヒト」感染するかどうか定かでない鳥インフルエンザに対する恐怖を煽る報道ばかりが目立つように思う。WHO(世界保健機構)などは、世界で1億5千万人が死亡すると予測しているようだ。何を根拠にそんな数字がでてくるのだろうか。
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0368.html

<これは何かに似てはいないか?>

メディアは、”鳥インフルエンザはコワイぞぉ、コワイぞぉ”と盛んに煽っているように思う。「ヒト→ヒト」感染するのかどうか、いまのところ明確な根拠はない。「変異する可能性がある」というだけだ。それがさも、この冬には変異して人間に襲いかかってくるかのような印象を与えているように思う。

さらに、1918年に世界で大流行して5千万人が死亡した「スペイン風邪」を持ち出して、さらに恐怖を演出している。しかも、スペイン風邪のウイルスをわざわざ、現代に蘇らせて、これはそのまま生物兵器になるほど強いです、などと言っている。世界に対して、あの手この手で、インフルエンザへの恐怖を煽っているとしか思えない。
http://www.natureasia.com/japan/digest/0511-1.php

鳥インフルエンザの恐怖を煽りに煽っておいて、”インフルエンザには「タミフル」しか効きませんよ”などと言えば、確かに誰もが飛びつくだろう。それにまんまと乗っているのが日本ではないのか。ロシェ社としては、笑いが止まらないに違いない。しかし、こんな気になる情報もある。

「鳥インフルエンザ大流行の予測は世界の人々をパニックに陥れているが、ギリアド・サイエンシズ社の株を所有するラムズフェルド国防長官やその他政界関係者にとっては朗報だ。カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有している。」
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/11/post_38a5.html

ギリアド社は、「タミフル」の売り上げの10%のロイヤリティを得る。つまり「タミフル」が売れれば売れるほど、ギリアド社の株価も上昇する。そしてラムズフェルド国防長官所有の株の評価額も上がるというわけだ。推定で500~2500万ドルになるらしい。

ありもしない「大量破壊兵器の脅威」を叫び続け、イラクを爆撃したラムズフェルド国防長官。「鳥インフルエンザの脅威」は、これにダブってはいないだろうか。われわれは、いつも「可能性」に対して恐怖してきたにすぎない。「大量破壊兵器」の「存在の可能性」だ。今回は、「鳥インフルエンザ」の「変異の可能性」だ。あえて言うなら、「鳥インフルエンザの脅威」とは虚構だ。

<ほんとうの特効薬とは>

「鳥インフルエンザの架空の脅威」によって、われわれは、すべてのインフルエンザに対して、必要以上の恐怖を抱いてはいないだろうか。そして「インフルエンザ→恐い→タミフル→安心」という条件付けが行われてはいないだろうか。

NPO法人「医薬ビジランスセンター」の浜理事長は、「インフルエンザは安静にすることが大事で、薬に頼るべきではない」と発言している。僕も、それが一番正しい対処法だと思うのだが。

(インフルエンザは)「普通の生活者の感覚からすれば風邪の酷いものに過ぎない。ま、同じインフルエンザでも、B型、そしてC型なんか特にそうですけど、ほとんど普通の風邪と同じですよ。A型の場合はちょっと酷い風邪で。特別視することはない。脅し過ぎなんですよ。」毛利子来(小児科医)
http://media.excite.co.jp/News/weekly/031118/topics_p05.html

察するにお金儲けに興味のない医師なら、浜理事長や毛利医師と同じ意見なのではないだろうか。結局は、栄養と睡眠をきちんと取り、ストレスをためず、厭なことはしない。そういう当たり前のところに落ち着くようだ。特に、恋をしている人の免疫力は高まるそうだ。



”Rumsfeld's growing stake in Tamiflu”
http://money.cnn.com/2005/10/31/news/newsmakers/fortune_rumsfeld/?cnn=yes
ラムズフェルド、鳥インフルエンザで大儲け
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/11/post_38a5.html
インフルエンザ、恐れるに足らず!?
http://media.excite.co.jp/News/weekly/031118/topics_p05.html
今冬、1億5,000万人が死亡する?~鳥インフルエンザ~
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0368.html
インフルエンザ:「新型」出現し、大流行か--ブタの体内でトリ、ヒト型が融合
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051123ddm016040024000c.html
インフルエンザ薬:タミフルで異常行動死 少年2人
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051112k0000m040160000c.html
「タミフル服用で行動異常死」学会報告 専門家は疑問視
http://www.asahi.com/health/news/OSK200511120023.html
タミフル服用の子ども死亡例、日本で12件と 米FDA報告
http://cnn.co.jp/science/CNN200511180006.html
タミフル服用患者の死亡例、世界で71人 米FDA報告
http://72.14.203.104/search?q=cache:IrqCZTLmtIYJ:www.asahi.com/life/update/1118/003.html+%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%95%E3%83%AB%E3%80%80%E6%AD%BB%E4%BA%A1&hl=ja
インフルエンザ薬:タミフル問題、学会でも論議
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051113k0000m040067000c.html
タミフル備蓄達成は2年後 都道府県分も国が購入交渉
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051126-00000076-kyodo-soci
スペイン風邪ウイルスがよみがえった
http://www.natureasia.com/japan/digest/0511-1.php


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17 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
万能薬? (rei)
2005-12-08 00:02:34
この世の中に完璧なものは存在しません。もし完璧を謳っているものがあるとすれば、そこには「仕掛け」があると思っています。どんな分野にも言えることです。



タミフルという薬はウィルスを退治する薬ではなく増殖を抑止する薬です。ウィルスは体内で爆発的に増殖しますから、発症の初期の初期に投与しないと効果はまずありません。

都合良く発病を教えてくれる時計なんてものはありませんし、結局インフルエンザと戦うのは自分自身ということになりますね。

インフルエンザは対症療法が中心なのです。



医療という分野は専門的で一般人にはわからない事が多く、知らないうちに薬を買わされていることも多いと思います。

難しいことを言って脅す→助かる方法を提供する

世の中に溢れていますね...
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reiさんへ (中司)
2005-12-08 05:05:08
日本の医療現場や医療行政も、巨大な利権の巣窟で、闇の部分が多すぎますね。ひとまず、疑わなければ身を守れそうにないです。

本当に必要な医療とは何かを、ここでもわれわれは知らされていないです。医療健康に関する知識を独占されているように思います。

逆に、メディアなどでは過剰な医療健康情報が流れ、何が本当に健康に必要なのかが、かえってわからない。

まったく、困った状況です。
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はじめまして (natty)
2005-12-08 13:00:03
毎日、読ませていただいてます。

最後の一言

「特に、恋をしている人の免疫力は高まるそうだ」

いいですね。ひょっとしたら万能薬かも・・・
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Unknown (maki)
2005-12-08 14:04:10
私は今年の春に子供にB型のインフルエンザを移されて、タミフルを三日間飲みました。お医者には2件行きました。

一件目の夜間救急当番での小児科の医師は、一度飲んだら菌は死ぬので、どうしてもと言うときは解熱を飲んで下さい。とのこと。

二件目はかかりつけの小児科で、毎日飲まないとだめよ!怒ってました。その時はもうすでに息子も治りかけで、私の方が重病でしたので、子供には殆ど飲ませませんでしたが、私はキチンと飲みました(笑)



副作用、子供にもなくて良かった。。



インフルエンザより副作用の方が怖いと、よく聞きますが、その通りかも知れませんね。
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nattyさんへ (中司)
2005-12-08 17:07:20
はじめまして。

コメントありがとうございます。



恋が人の体に与える影響の研究も実際にあるようですよ。

でも、研究を待たなくとも、恋に勝る妙薬はなし、というのは本当だと思います。

人間、いつまでも恋を忘れてはいけないということですね。

恋してますか?
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おひさしぶりです (遙香☆やおしゃん)
2005-12-08 17:19:14
草津の湯でも治らない恋が、インフルエンザに打ち勝つんですね(笑)

タミフルの報道は恐いですね。熱にうなされるよりも、異常行動の方がよっぽど恐いです。



と、いうか、国がタミフルを買うのなら、予防にお金を注いだ方がよっぽど良いと思います。うがい所を設けるとか、加湿器を公共の場に置くとか。



なにはともあれきちんと予防します☆

インフルエンザもタミフルも嫌です(>_<)
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TBさせていただきました (朱夏)
2005-12-08 18:20:53
はじめまして。ときどき立寄らせていただいていました。タミフル問題について追及(?)中なのでTBさせていただきました。
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あれ? (朱夏)
2005-12-08 18:22:31
うまくTBできていないみたいですが・・・
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これも (STUDIO TAKUMA)
2005-12-08 19:43:00
これも、例の大騒ぎするときは・・・・ってやつですね。。この事についても、アメリカが口を出して政策に影響与えていそうですね。大体解ってきましたよ。世の中の仕組みが。マスコミが電通が、こういった浅はかな行動に出ることによって、逆に真実が浮かび上がっているのかも知りない。と、考えれば、意外と見破るには簡単なことなのかもしれない。。
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makiさんへ (中司)
2005-12-08 20:19:29
親子ともども何もなくてよかったですね。

お子様をお持ちの方には、ぜひ下記の記事を参考にお読みいただきたいと思います。本文の中でも引用いたしました。



インフルエンザ、恐れるに足らず!?

http://media.excite.co.jp/News/weekly/031118/topics_p05.html



「タミフル」そのものが危険とか、効果がないとかいうのではなく、その異常な使用量が問題だと思います。何でもかんでも処方していれば、やはり起こらなくてもいい医療事故が発生することになるでしょう。



「タミフル」服用後の死亡例に関して、因果関係を解明する行政の努力はなされることはないでしょう。ご両親の心境は、察するにあまりあります。



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