知っ得法律コラム

最近気になった法律相談や裁判など、知ってると得する法律に関する情報を紹介します。

夫婦別姓

2015年12月18日 | お知らせ

夫婦別姓を認めない民法750条の規程が、憲法13条、14条1項、24条1項2項に反するのではないかと争われた事件に関する最高裁判所の判決を紹介します。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf

選択的夫婦別姓を認めない民法750条は、憲法24条違反とした岡部喜代子裁判官・学者出身(櫻井龍子裁判官・行政官出身、鬼丸かおる裁判官・弁護士出身も同じ)の意見は15ページ以下にあります。女性の裁判官は3人全員が違憲の意見です。

木内道祥裁判官・弁護士出身の意見は21ページ以下にあります。

憲法24条に違反し、精神的損害に対する賠償も認めるべきだとした山浦善樹裁判官・弁護士出身の意見は27ページ以下にあります。

夫婦同姓は明治からの100年程度の制度であり、諸外国の例から見ても、選択的夫婦別姓を認めるべきであり、5人の少数意見に賛成です。国会が果たすべき役割を果たさなければ、そう遠くない将来、今回の判決は変更されるべきものと考えます。

 

 

 

 


再婚禁止期間

2015年12月17日 | お知らせ

女性についてのみ、離婚後6か月間の再婚禁止期間を定めた民法733条1項の規程が、憲法14条1項、24条2項に違反するか否かが争われた裁判の判決がありました。

多数意見は、100日を超える部分が憲法違反としました。判決文を紹介します。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/547/085547_hanrei.pdf

なお、鬼丸かおる裁判官(弁護士出身)は、精神的損害に対する賠償は否定したものの、再婚禁止期間を定めた民法の規定を憲法違反と判断しました。鬼丸裁判官の意見は27ページ以下にあります。

山浦善樹裁判官(弁護士出身)は、再婚禁止期間を定めた民法の規定を憲法違反と判断し、精神的損害に対する賠償を認めています。山浦裁判官の意見は31ページ以下にあります。

DNA鑑定の技術が発達した現在、女性にのみ再婚禁止期間を定めること自体、合理性はなく、憲法に違反するというべきと思います。また、前婚が破綻し別居が開始し、後婚による同居がスタートしている多くのケースでは、民法の規定は弊害が多いと思います。


.2014年12月の衆議院選挙の一票の価値の格差について

2015年12月01日 | お知らせ

昨年12月の衆議院選挙の小選挙区について、有権者の一票の価値が不平等で違憲だとして、選挙の無効を求めた裁判の最高裁の判決がありました。多数意見は、違憲状態とするものでした。
判決文を紹介します。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/495/085495_hanrei.pdf

 判決確定後、6か月後に選挙を無効とするのが相当だと反対意見を述べた、大橋正春裁判官(弁護士出身)の反対意見は36ページ以下にあります。

有権者が1番多かった東京1区の半数以下だった12選挙区の選挙を無効とするとした、木内道祥裁判官(弁護士出身)の反対意見は46ページ以下にあります。

また、鬼丸かおる裁判官(弁護士出身)も、選挙は違憲と判断しました(40ページ以下)。

改正当初より、2倍程度で、選挙を実施する頃には、2倍を超えているというやり方は、明白に憲法違反です。改正の際は、極力1:1に近づけるべきで、1.4倍(√2)を超える場合は、違憲・無効とすべきだと思っています。