"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

巨匠F.L.ライトの粋~明日館を訪れて

2007年09月14日 15時30分01秒 | まち歩き

 旧八月四日。夏と秋、二つの高気圧の凌ぎ合い。その間の秋雨前線も少し南下して、秋らしい爽やかな空気に包まれる日が多くなってきました。

 薄日が漏れる初秋のある日、かねてから行ってみたかった池袋の自由学園明日館(みょうにちかん)を訪れました。
914myounitikan2_1近代建築の巨匠、アメリカの天才フランク・ロイド・ライトが、弟子の遠藤新と共に設計した建物です。私的なことですが、父がライトの流れをくむ建築家で、自宅にもそこここにライトに通じる意匠が採り入れられていて、長年愛着を持っていました。それだけに、修復・保全が素晴らしい明日館を訪れるのは、とても楽しみであり、感慨深いひとときになりました。

 自由学園は羽仁吉一・もと子夫妻によって、大正10年(1921年)に創立され、明日館は学園誕生の校舎でした。
914myounitikan1校舎を建てるのにあたって限られたわずかな予算しかない中で、ライトは夫妻が目指す理想の教育理念に強く共感して設計を引き受けたそうです。それだけに、室内の建具や、家具、照明器具など細部に至るまで、そこに学ぶ生徒達への深い愛情を感じます。洋風の建築でありながら、木やお得意の大谷石がふんだんに使われていて、日本人の心に通じる落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
(写真左上より時計回りに:明日館のシンボルとも言える幾何学模様の窓/創立当時から使われているホールの椅子。高さ背もたれの角度などびっくりするほど座り心地がよい/吹き抜けの2階から臨むホールの窓/中二階に位置する食堂)

 都会の中にぽっかりと現れる癒しの空間。明日館は平成9年に国指定重要有形文化財に指定され、大規模な復元・修復がなされ、平成13年から動態保存というかたちで一般に公開されています。各部屋やスペースは一般に貸し出されていますので、事前にホームページのカレンダーで見学可能かどうか確認されてから訪問されることをおすすめします。見学料は、見学のみ400円と、ホールでの喫茶(コーヒーor紅茶と手作りクッキーorケーキ)がセットされた600円があります。ホールの優しい意匠の椅子に腰を下ろして、ゆったり流れる時間を楽しめる喫茶つきが断然お薦めです。

自由学園明日館→http://www.jiyu.jp