Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

自由な館長さん

2006-09-05 01:39:59 | 写真展・雑誌掲載
「アフリカの絵本原画と児童書展」が滋賀県東近江市でおこなわれている。

作家、翻訳家のさくまゆみこさんを中心にしたグループが、アフリカの人々の生活を、絵本をとおしてもっと身近に感じてもらおうと昨年から始めたものだ。

僕は国外に住んでいるため、グループのミーティングや活動には全然参加できずに非常に恐縮しているのだけれど、リベリアの写真絵本をだしていたので、「戦争が終わっても」からの写真を初回から展示させてもらっている。

東近江での展示は永源寺図書館が会場ということで、僕は最初、「お寺の図書館か、珍しいなあ」などと勘違いしてしまったのだが、実は永源寺町という町の図書館のことであった。町立といえどもこの図書館は規模も蔵書数もずいぶん充実しているようで、さくまさん曰く、ここの女性館長さんは「なるべく規則をつくらない」運営方針で、町の人の顔をひとりひとり思い浮かべて本を入れるようにしている、ということらしい。土地柄農業の本もたくさんあるし、子供の本のセレクションもすばらしい、とべた褒めだ。

こういう話を聞くと、ほっとするというか、嬉しくなる。

写真展示を企画してもらった時にもそんな経験があったが、どうも日本では学校とか市の建物とか、公共の場所ではいろいろと規則がきびしかったり、制約があったりして自由な展示や表現活動がやりにくいようだ。

僕はまったくといっていいほど図書館とは無縁の生活をおくってきたので、実際に日本の図書館がどんな状況におかれているのかはわからないのだが、それでもこういう「規則をつくらず、自由を尊重」するような館長さんのもとでは、普通の図書館では入れてもらえないような本も借りられるだろうし、既成の概念にとらわれないいろんな可能性がでてくると思う。

ちなみに、僕のリベリアの写真群は、なんと和室に展示されているそうだ。図書館に和室があるということ自体驚きだが、畳好きの僕にとっては写真が和室に飾られているというのは嬉しい限りだ。さらに、いつも問題になる例のムスの写真も、他の写真同様ありのまま並べてある。
(この写真については、1月18日のブログ参照)
http://blog.goo.ne.jp/kuniphoto/e/61075fc354544c794fdc51db59e74248

こういう館長さんのような人が、図書館に限らず、すべての職業でもっと増えてくれれば、もっと世の中楽しくなるんだろうな、などとふと思った。



(展示の詳細)
◆ アフリカを知ろう ~アフリカの絵本原画と児童書展~
・8月26日~9月17日 10:00-18:00
・東近江市立永源寺図書館(『エンザロ村のかまど』原画と『戦争が終わっても』『AはアフリカのA』『エンザロ村のかまど』写真パネル展示)滋賀県東近江市山町830-1 tel/0748-27-8050 月・火休み
・東近江市立八日市図書(『ゴリラと赤いぼうし』原画展示)東近江市八日市金
屋2-6-25 tel/0748-24-1515 月休み
・東近江市立湖東図書館(『ジンガくんいちばへいく』原画展示)東近江市横溝町1967 tel/0749-45-2300 月・火休み
http://www.city.higashiomi.shiga.jp/subpage.php?p=6202&t=1150610827



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2 コメント

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はじめまして (うさこちゃん)
2006-09-07 12:04:07
「ほっとけない・・・」から飛んできました。



月並みではありますが、高橋さんの写真と文に感動しました。

涙が出てきました。



私には何もできないのだろうけれど。





また、見に来ます。
Unknown (Kuni Takahashi)
2006-09-08 10:23:34
どうもありがとうございます。今後もよろしく。

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