ハワイ島半周ドライブ#2から
2010年1月6日
ワイコロアのキングス・ショップでガソリンを満たんにしたあと、
クルマは19号線を走り続け、ワイメア・タウンを一気に駆け抜け、
「ウシ、ウシ!・・・ウマ、ウマ!」と、
放牧場にいる牛や馬を見つけては他愛もなく一喜一憂し、
ハワイ島の北東ハマクア・コースト<Hamakua Coast>へ。
ホノカア・タウンの入口を通り過ぎる時には、
予想通り妻の口からこんな一言が。
「マラサダが食べたい!!」
ハンドルを握るぼくの目にも、テックス・ドライブ・インの建物がはっきり見えた。
「はい、はい。帰りに寄りますよ。」
「ホント?」
「ちょうど3時頃だろうから、オヤツにいいんじゃないの?」
日本でも認知度が上がったポルトガルの揚げ菓子マラサダ。
せっかくハワイ島に来ているのだから、
「やっぱりテックス・ドライブ・インじゃなきゃ!」ということで、
ヒロから引き返す時に立ち寄ることにした。
19号線上で最も緑が濃いハマクア・コースト。
ドライブする際は注意も必要だ。
カアワリイ峡谷<Ka'awali'i Gulch>、
ラウパホエホエ峡谷、
マウルア峡谷の3つの峡谷では、
「ギュイ~ン!」とUの字にカーブを曲がらなくてはならず、
走り慣れていないと若干の緊張を強いられる。
さらに橋の上で幅いっぱいの大型トラックと擦れ違ったときは、
思わず肩に力が入った。
(ハイウェイなので、結構なスピードで走っています。)
それでも、
いくつかの峡谷にかかる橋から望む景色は、
多様な植物や滝が望め、見応えがある。
時間があれば、ナヌエ橋のたもとの空いている路肩にクルマを停め、
橋の上まで歩いて戻り、じっくり眺めたいところ。
(この写真は、2003年に撮影)
午前10時43分
ドライブが順調だったおかげで、
マウルア渓谷を抜け、ナヌエ橋を通り過ぎ、
ウマウマ<Umauma>の標識が見えてきたところで、
時間に若干の余裕があることに気づいた。
そこで、
「アカカ滝に寄ってみない?」と、妻に提案。
2004年秋に訪れたとき、水量は少なかったものの、
鬱蒼と茂る熱帯の森の中、
一直線に落下する滝の景観は厳かな雰囲気に包まれ、
とても印象的だった。
その滝に、ぼくは再び訪れてみたくなった。
峡谷を抜ける間、助手席から景観を楽しんでいた妻も、
ぼくの提案に「いいネ~!ワタシも見たい、見たい。」と、
機嫌良く返事。
同意を得たところで、
<AKAKA FALLS>の標識でハンドルを右に切り、
ホノムの町を抜け、<AKAKA FALLS Rd.>を山にむかって進んだ。
午前10時55分:アカカ滝州立公園に到着。
前回ほどゆっくりする時間はなかったけれど、
それでも右方向からの散策ルートで滝まで行ってみることにした。
コンクリートの階段を降りながら気づいたのは、
手すりも新しくなり歩きやすくなっていたこと。
ハワイ島も経済的に潤ってきている証だろうか。
4年ぶりに訪れると、あちらこちらの観光ポイントが整備されていることに気づく。
全周800メートルほどの散策ルートでは、
密生する竹林を見たり、
匂い立つジンジャーや一風変わったモンステラ、
大きいフィロデンドロン、ヘリコニア、ランなど、
いろいろな発見もあって面白い。
右からのルートはカフナ滝へも行けるが、
そこまで時間の余裕がないので、今回はアカカ滝のみを見ることにした。
前回訪れたときより水量はやや多いようだ。
やはり、落差126メートルの滝の姿は圧巻であり、
滝の飛沫によって苔むした断崖の風色も、
辺り一帯を覆う空気も格別だ。
時間の経つのも忘れ、じっと見蕩れてしまう。
ハワイ人にとって特別な場所であったのも頷ける。
アカカ滝だけを見るなら、左からのルートで滝まで来て引き返すのが、
時間的には短くて済む。
実際、バス・ツアーで来ている観光客はそうしているようだった。
だが、時間が許すなら、
やはり右からの散策ルートを辿ってこの景観に出会うほうが、
感動が大きいようにぼくには思えた。
ぼくたちも記念写真を撮ったところで、
後ろ髪を引かれる思いでアカカ滝を後にした。
ホノム<Honomu>
アカカ滝を後にし19号線へ戻る道すがら、
ホノムの町でちょっとだけ停車。
(アカカ滝ギフトショップ)
どうしても、ホノム・シアターの写真を撮っておきたかったのだ。
かつて、ハワイで製糖産業が全盛だった時代、
ハワイ島にもサトウキビ・プランテーションがあり、
多くの日本人移民が働いていた。
故郷を遠く離れた異国の地で、
厳しい労働条件の下、
日々大変な苦労をしながら暮らしていた日本人移民たち。
その彼らにとって、心癒されるひとときがあった。
日本映画の巡回上映だ。
映写機とスクリーン、そして弁士を乗せたトラックが、
プランテーション・タウンを訪れ、日本映画を上映していたのだ。
白布のスクリーンに映し出される映画を観ながら、
共に笑い、共に泣き、一緒になって拍手する。
それは、日本人移民たちにとってかけがえのない娯楽だった。
その巡回上映を行なっていたのが、
ホノムの町で雑貨店を営んでいた谷本初蔵だ。
やがて初蔵は、ホノムに映画館を建て、家族で経営を始めた。
映画館は日本人コミュニティの中心となる賑わいをみせ、
初蔵は、さらにほかのプランテーション・タウンにも一軒ずつ映画館を建て、
経営を広げていった。
当時、それらの映画館は「プランテーション・シアター・チェーン」と総称され、
初蔵が亡くなった後は、息子たちによって経営が引き継がれた。
日本映画が全盛期だった1960年代ころまで、
これらの映画館は賑わいをみせていたが、
しかし、時代の変化とともにプランテーション・タウンは寂れ、
コミュニティの中心としての役割を終えた映画館もまた寂れていった。
その後、オーナーも変わったのだが、
戦前に建てられた映画館は大切に使われ、
『ナアレフ・シアター』
『アロハ・エンジェル・カフェ』
『ホノカア・ピープルズ・シアター』は、今も健在だ。
『ホノム・シアター』の正面には、
【 H TANIMOTO & SONS 】の文字が、しっかりと残っている。
この地に立ち、しばし往時の賑わいを想像してみたが、
人影も見当たらない明るい陽射しの下では、
なかなかイメージが湧いてこなかった。
それでもぼくは、ここで写真を撮れたことに満足していた。
一方・・・、
「ダメ~!お店休みだったぁ~。」
暑さのあまり、無性にアイスクリームが食べたくなった妻は、
ぼくが写真を撮っている隙に店を探し回っていたのだが、
残念ながら叶わなかったようだ。
「仕方ないよ。さぁ、ヒロまで行こう!早く乗って。」
余計に汗をかいただけのしょげる妻をクルマに乗せ、
本来の目的地、ビッグ・アイランド・キャンディーを目指した。
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ハワイ島・ホノルル(ララチッタ) (ララチッタ―太平洋) | |
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