Ali'i Drive Breeze

The Big Island
ハワイ島で体験した思い出を写真とともに綴る旅日記

ケアウホウ・シネマ<Keauhou Cinemas> #2 ハワイ島ハロウィンの夜に

2007年03月01日 | カイルア・コナ地区

<ケアウホウ・シネマ>#1 の続き。

ようやく、ケアウホウS.C.(ショッピング・センター)に着いた私たちは、
ハロウィーンだからとホラー映画を観ることに。
この時公開していたのが、
ハリウッドでリメイクされたジャパニーズ・ホラー『呪怨』(英題:THE GRUDGE)でした。
日本でオリジナルの作品をDVDで見ていたので、字幕がなくても内容はわかるだろうとチケットを買いに窓口へ向かいました。

すると、映画館の中からタンクトップを着たマッチョな男性がひとり出てきました。
私たち夫婦と目が合うと、何故か勢いよく近付いてきます。
な、何事だ?と、身構える私たち。
彼はいきなりAre You Japanease?と、興奮気味に訊いてきました。
気圧されつつもYes・・・と答えると、
彼はさらに勢い込んでいま、The Grudge を見たが、グレートな映画だ!!と、訛りのきつい英語で話しかけてきます。
半分以上、何を言っているかよく分からなかったのですが、もの凄くこの映画に興奮したのだと言うことは分かりました。
「私たちも、これから見るんだ。」と言うと、まるで仲間を見つけたかのように目を輝かせ、
あの家は、日本に本当にあるのか?と訊いてきます。
もちろん、あるわけないのですが、
せっかく盛り上がっている彼を、ここでガッカリさせてはいけないと思い
意味ありげに内緒だけど、本当にあるんだよ!と、答えました。
すると彼は飛び上がらんばかりに興奮し、「やっぱりなぁ!思ったとおりだ。」と納得した様子。
日本は凄いなぁ・・・と、妙な感動をしながら、
映画の内容についてもいくつか質問してきたので、ボクが困った顔をしたら、
「これから映画を見るのに、あれこれ訊いちゃ悪いな。」と、察してくれたようでした。
「じゃ、楽しんで!」と、なおも興奮冷めやらぬ様子で、彼は夜の駐車場へと去って行きました。

あんなに興奮させるなんて、清水崇監督はすごいなぁと感心しつつ、
8ドルのチケットを買って映画館の中へ。

ハワイとはいえアメリカで映画を観るのだからと、上映前にポップコーンとコーラを買いに売店へ。
コーラSサイズを頼むと、日本ではLサイズくらいのカップにコーラを注ぎます。
しかも、「そこまで無理しなくても!」と、突っ込みを入れたくなるほどカップの縁ぎりぎりまで。
さらには、予想をはるかに超えるバケツ一杯分のポップコーンを渡される始末。
サイズ表示を間違えているのではないかと疑いたくなるようなコーラとポップコーンを
抱えて、客席へ。       

上映10分前でも、誰もいなかったので一番見やすい席を確保。
落ち着いて上映時間を待ちます。
しかし、いっこうに他の客が入ってきません。
たとえ、コメディ映画を観るにしても、広い客席にふたりきりというのはちょっと不安です。ましてや、これから怖い映画を観るのですから。
「まさか貸切ってわけじゃないよね。」などと言っていると、
とうとう照明が薄暗くなり予告編が上映され始めました。
と、そのころになって、ようやく他の客も入って来たのでひと安心。
(偶然にも、昼間シュノーケル・セットをレンタルしに行ったお店で応対してくれた男の子が、友達数人と入ってきました。)

いよいよ、『 THE GRUDGE 』の上映。

この作品は怖いです。じわじわと怖さが増してくる感じです。
前方の席に座っている女の子たちが、本当にキャーキャーと叫び声を上げながら見ていました。
妻はオリジナル作品を見ているにもかかわらず、同じように怖がって見ていました。
舞台が日本という事と、日本語のセリフも結構あったので、観終わるころには、ここがハワイ島だということを忘れるほど、映画に入り込んでいました。

そして、遂にこの日最大の恐怖が我々の身に・・・。

エンドロールが流れ始めると、余韻に浸ることもなく他の客たちはさっさと出て行きます。
エンドロールを最後まで見る習慣の私たちは、場内が明るくなるまで座席に座っているつもりでしたが、ふと気がつくと周囲には誰もいません
上映前同様、客席にいるのは私たち夫婦だけ。
ホラー映画を観終わった直後だけに、なんとなく背筋がゾワゾワとしてきます。
ねぇ、出ようよ!と、おびえたように妻が急かすので、途中で客席を立つことに。
腕時計を見ると午後9時を過ぎていました。

通路を通ってロビーに出ると、
はっ??
ふたりは愕然としました。
あきらかにロビーの照明が、暗くなっているのです。
しかも、売店の照明は完全に落とされ、その一角が暗闇に沈んでいます。
ロビーの中央には大きなゴミ箱がひとつ、ポツンと置かれたまま。
そして、私たち以外、人の姿が見当たらないのです。
お客はおろか、入場した時にチケットを切ってくれた人や清掃係、スタッフらしき人の姿も一切ないのです。
シーンと静まり返っているロビーに、ふたりきり!
「まだ、他の映画は上映中のはずだけど?」と、不審に思いつつも、
なんか、怖いよ!と妻がおびえ出してきたので、一箇所だけ開けてあるドアを通って映画館を出ました。

外に出ると、ケアオウホウS.C.が高台にあるせいか空気もひんやりとしています。
駐車場も閑散としていて、オレンジ色の街灯が非現実的な雰囲気を醸し出しています。
(赤い車が、グレーに見えるのです。)
はやく、帰ろう!早く!!
妻のおびえが、ますます強くなって来ました。
急かされるうちに、こちらも段々と不安な気持ちに。
車の鍵を取り出す手も、おぼつかなくなってきました。

なんとか車に乗り込みますが、なかなかキーを差し込めずエンジンがかけられません。
隣で妻が焦れてきているのがわかります。
徐々に、何かに追われているようなあせりが・・・。
「落ち着け、落ち着け」と、心の中で自分に言い聞かせながら、やっとの思いでエンジンをかけると、宿泊しているコンドミニアムに戻るべく、Alii Dr. へ。

イヤ~な予感がしつつも、ケアウホウS.C.のすぐ下にある交差点から、右にカーブしている坂を下ります。
ケアウホウからのAlii Dr.は街灯が少ないので道が暗く、車のヘッドライトだけが頼りです。
そのヘッドライトが照らし出す前方だけに意識を集中し、慎重に下り坂を曲がりきった瞬間、
突然人影が!!
ヘッドライトに浮かび上がったその人物を見て、助手席の妻が、
ギャァァァ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!
かつて聞いたことのない悲鳴を上げました。
おおぉう?!と、つられてボクも驚きの声を!
なんと右側の沿道に、
真っ青な顔をして口から胸元にかけて真っ赤な血をダラダラと流し、
ボロボロの衣服を纏った男が
、右手を突き出し立っていたのです。
その姿は、紛れもなくゾンビ!!    
いやぁ~、やめて~~~!
狭い車内に、妻の叫び声が響き渡ります。
(まさか本物ではないだろう・・・いや、本物のはずがない。)
およそ現実離れした光景を目にし、思わずスピードを緩めると、
ゾンビが右手の親指を立てて見せます。
なんとヒッチハイクのサイン!!
もちろん、乗せません。・・・というか、乗せるわけがありません!
そのまま、ゾンビの傍らを通り過ぎます。
「早く行って、早く!!」妻が泣きそうな声で急き立てます。
可哀想なことに、右側通行・左ハンドルなので、運転しているボクよりも、助手席の妻のほうがゾンビの真横を通り過ぎることに。

まさに、ホラー映画そのままの恐怖の瞬間でした!
彼は一晩中あそこに立って、通り過ぎる車をおどかすつもりだったのでしょうか?
あまりにリアルな仮装にある種の感動を覚えながらも、ボクは大笑いしてしまいました。
でも、妻は心底怖かったらしく、通り過ぎてから怒り心頭。
バカじゃないの!バカじゃないの!!と、何度も悪態をついていました。
ハロウィーンのイタズラだからとなだめても、
度を越しているからと、夜遅くまで妻の怒りは治まりませんでした。

いずれにしても、決して忘れられない思い出となった、ハワイ島でのハロウィーンでした。

Mahalo!     
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