古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

境界型知能の人たち

2021-09-25 18:29:52 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院外来にも複数の方がこられている
軽度知的障害あるいは境界型知能の方々。
ご本人になんらかの診断がついていることは稀です。
専門職なら気づくレベルです。

運が良ければ就職して単純な作業に
従事しておられるか、生活保護に繋がっているか、実家が裕福でなんとか
生活が回っておられます。

昔は 強制的に結婚するのが通常であったので
家庭を持っている方も少なくありません。

「あの人とは話がなんか噛み合わない」
「天然」「不思議ちゃん」
そういわれる人の中に、軽度知的障害の方や境界型知能の人たちが含まれています。

何も起きなければ、保護的環境で普通に暮らせる人たちですが
何か危機的なことや複雑なことが起こったとき、問題が露呈し易いです。

女性であれば、妊娠・出産・育児・介護・相続
男性の場合は 就職・介護・相続の時がその最たる状況でしょう。
いずれも 一人で担わないといけない場合とお考えください。

就職が最初の壁となりやすいですが
運が良ければ、工場ラインや第一次産業などで単純作業などに従事して暮らしておられます。
しかし運が良くなく、実家が自営でなければ、面接で落ちまくり 引きこもっているか、
反社会的集団の構成員という形になりがちです。

男性も女性も、知的障害があると、複雑な駆け引きなどができないために
対人関係がどうしても迎合的になりがちで、悪意ある人による詐欺などに容易に引っ掛かり
振り込め詐欺の出し子や強盗や殺人の手先として使われたり、
先のことなど考える能力もないので、見境なく好きなことにお金を突っ込みすぎて
あっという間にお金を使い果たし、万引きなど窃盗、あるいは違法薬物などの 
運び屋や携帯や銀行口座の契約をして 売買するなどの犯罪に手を染めたりして
犯罪の被害者にも加害者にもなりやすくなります。

女性の場合、保護的環境になければ、経済的理由から容易に風俗産業に従事しやすくなり
性感染症や妊娠についての知識もなく、気づいた時には父親である男性が誰かも分からないまま
子を出産することも珍しくありません。出産しても、どうしたら良いか分からずに
子供を殺してしまったり、あるいは育児放棄や虐待に走ったり、
また仮に結婚したとしても、相手の男性がよほどしっかりした人でなければ
やはり育児放棄となったり、相手の男性によって結果的に子供が殺されるというケースも
しばしば報道されています。

最近流行りのモラルハラスメント 要するに相手を貶めて 
自分の価値を高めたい人たちの格好の相手として 
境界型知能の女性がパートナーとして選ばれることもよくあるケースです。こうなると
ライオンに狙われた獲物のようなもので、なんらかの(多くは刑事事件絡み)ことが起きて
福祉につながらない限り、その後の人生は苦難に満ちたものになる傾向が強いです。

境界型知能の人たちを 素人の人でも簡単に見分ける方法の一つとして 
最終学歴を尋ねる方法があげられます。
偏差値の低い高校や大学の卒業だから、中学校卒業だから 
イコール境界型知能(軽度知的障害)とは限りませんが
境界型知能であれば、有名進学校に行くことは絶対にできません。

昨今 ニュースになった空港で赤ちゃんを殺害、その後 喫茶店で食事をして
公園に赤ちゃんを埋めてしまった女性について 深掘りした記事がありました。

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空港で出産・殺害、実刑判決の母親が訴えた「境界知能」とは?
https://news.yahoo.co.jp/articles/12508c91e6fd8593cbde645e721e65995d7ee416

9/24(金) 20:15配信

朝日新聞デジタル

判決を聞く北井小由里被告=2021年9月24日、東京地裁、絵と構成・小柳景義

 羽田空港のトイレで出産したばかりの女児を殺害したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた母親の北井小由里被告(24)=神戸市=の裁判員裁判で、東京地裁(野原俊郎裁判長)は24日、懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡した。判決は殺害の動機を「自らの将来の障害となる女児をなかったものにするため」と指摘した。

 判決によると、大学生だった北井被告は2019年11月、就職活動で上京した際に羽田空港のトイレで出産。直後にトイレットペーパーを女児の口に詰め首を絞めて殺害し、東京都内の公園に埋めた。出産予定日は約1カ月後だった。

 判決は、北井被告が事件翌日に就職面接を予定通り受けたことなどから、「就職活動への影響を避けるために殺害した」と認定。事件は突発的としつつも「強い殺意に基づく執拗(しつよう)かつむごたらしい犯行だ」と述べた。

■妊娠の相談せず頑張った就活、だけどエントリーシートに空欄

 弁護側は公判で、北井被告が知的障害ではないものの知的能力がやや低い「境界知能」であることが事件の背景にあると説明した。さらに、同居する両親に妊娠を隠した経緯をふまえ、親に叱責(しっせき)されて育った家庭環境も情状として考慮すべきだと訴えた。

 「境界知能」は知能指数(IQ)が70~85未満とされ、70未満が目安とされる「知的障害」には当たらないグレーゾーンだ。公判前の検査で、北井被告のIQは74で境界知能だと判断された。

 弁護側の被告人質問では、北井被告が小学生のころから授業についていけず、就職活動で企業に提出するエントリーシートの質問の意味がわからず空欄が目立ったことなどが明かされた。証人として出廷した母(55)は、こうした状況に気づかず幼い頃から叱責を繰り返したと打ち明け、「苦しい気持ちを何一つわかっていなかった」と泣きながら証言した。

 北井被告は、両親がこれまでになく喜んで就活を応援してくれたため「関係が崩れるのが怖い」と思い、妊娠を相談できなかったと説明した。弁護側は最終弁論で「被告には、エントリーシートを埋めるようアドバイスをする人もいなかった。事件についても、相談できる人がいれば起きなかった」と主張した。

 しかし判決は、北井被告の知的能力は「低いとはいえ正常範囲内で大きな問題はない」と述べ、母親の叱責も「妊娠を相談するのに支障はなかった」と判断した。

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司法の世界の方々の 境界型知能の方に対する理解は 
なかなかまだ不十分なところがあります。

「危機的状況に瀕した時に、誰かに助けを求める」ことが 
どんなにこの人たちにとって大変なのか、

まず相談する人がいれば その人が色々動かれてなんとかしますから 
そもそもこのような事件にならないわけですが
こういう事件に発展する人たちは 相談する相手がいないことがほとんどです。
この場合の相談相手というのは 問題の根本をしっかり捉えて 関係機関にきちんと繋げる
能力のある人でないといけません。

だから今回の場合 ただ単に「両親がいただろ」「相談すればいい」と
いう問題ではないのです。
両親は長年一緒にいても、娘さんに知的障害があることに気づいていないので
娘さんのことを「単なる努力不足」「怠け者」としか認識していません。
知的障害があっても、というかあるからこそ「この人は私を助けてくれる」ということを
嗅ぎ分ける能力は 人並み以上に研ぎ澄まされています。もちろん助けてくれる と思ったら
詐欺師だったということもあるのですが・・・ご両親は娘さんから
相談に乗ってくれる人とは 認識されてなかったのです。

従って、このような 一見 猟奇的と思える事件が
起きたものと思われます。

他のニュースでこういうことも書かれていました。

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就活女子大生、乳児殺害遺棄に懲役5年 法廷で明かされた“ジャニーズオタク”と“性の悩み”

9/25(土) 6:01配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/32f79e63300641ec99c39e52d1cfb49ea4832dbc?page=1
デイリー新潮

風俗嬢として働きながらCAを夢見ていた(本人のFacebookより)

 被告は取り乱すこともなく、冷静な表情で判決を聞いていたという。2019年11月、出産したばかりの乳児の首を絞めて公園に埋めたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた北井小由里被告(24)に、東京地裁は24日、懲役5年の実刑判決を言い渡した。風俗店でアルバイトをしていたという北井被告の奔放な大学生活にも注目が集まった今回の裁判員裁判。鼻の整形費用に数十万もの大金をつぎ込み、ジャニーズの追っかけに夢中になっていたという被告の“素顔”とは――。

【写真】54万円かかった整形手術で鼻を小さくしたという北井被告

 ***
1年に及んだ防犯カメラのリレー捜査

 事件は2019年11月3日に起きた。北井被告は実家のある神戸から、就職面接を受けるため東京へ向かう機内で産気づいた。羽田空港に到着すると、多目的トイレに駆け込み、女児を出産。その場で赤ちゃんの口にトイレットペーパーを詰めるなどして殺害した。出産してから殺害するまで、わずか43分間の出来事だった。

 その後、紙袋に入れた遺体を東京・港区の「イタリア公園」まで運び、土の中に埋めて遺棄。4日後の7日午前、公園で遊んでいた保育園児が土の中から遺体の一部が出ているのを見つけ、事件が発覚した。

「捜査一課は近くのタワーマンションなども含めて、犯行時間帯に公園を出入りしていた3万人をチェックするなど大掛かりな捜査を展開しました。その中に、紙袋を持って公園内に何度も出入りする北井被告の姿が映っていた。防犯カメラのリレー捜査で北井容疑者の足取りを追い、身元を特定して逮捕したのは事件発覚から約1年後のことです」(警視庁担当記者)

殺害後にアップルパイ

 法廷では、犯行時の詳細な行動が再現された。北井被告は、トイレットペーパー「3巻分」をちぎって3回、赤ちゃんの口に突っ込み、さらに首を絞めて殺害。遺体を持ったまま空港内のカフェに入り、アップルパイとチョコレートスムージーを頼み、写真まで撮っていた。その後、予約していたホテルにチェックイン。スマートフォンで検索して見つけたイタリア公園に向かっていた。

「パニックになって頭が真っ白になった」。被告人質問で犯行動機についてこう答えた北井被告。彼女がもっとも気にかけていたのは、翌日に控えていた航空関連会社の面接試験だった。

「一人では子供を育てていく経済的な余裕がない。就職活動の邪魔になると思った」

 だが、北井被告が風俗で得た高額な報酬で奔放に暮らしていたことも法廷で明らかにされた。裁判を傍聴し続けてきた記者が語る。

「彼女が通っていたのは地元の芦屋大学です。大学進学後まもなく風俗の仕事を始め、稼ぎは月に10万円から30万円くらい。友達と一緒にジャニーズの追っかけをしたり、約54万円かかった鼻を小さくする整形手術などに使っていた。事件後に約15万円の二重まぶたの整形手術を受けた領収書も検察側から証拠として出されましたが、なぜかこの手術については否定。風俗の仕事は、出産3カ月前の19年8月に辞めています」

セクシャルマイノリティの悩み

 子供の父親も、名前すら知らない風俗店の客だった。同居している母親が妊娠を疑い、妊娠検査薬を購入して検査させたが、「妊娠していない」とウソをつく。その後、母親に促され神戸市の産婦人科を受診し、医師から中絶が不可能な妊娠22週を過ぎている事実を知らさてもなお、母親にしらを切り続けていた。出産・殺害後に帰宅した時は、「用をたしたら、お腹がへっこんだ」と伝えたという。

 母親に打ち明けられなかった理由について、「風俗の仕事について言いたくなかった」と語った北井被告。だが、検察官から「母親はすでに妊娠の時点で風俗の仕事について知っていたはずだ」と問い詰められると、「知っていた」と認めた。

 では何を知られたくなかったのか、と追及する検察官に対して、北井被告が訴えたのが、風俗の仕事を始めた理由である「セクシャルマイノリティの悩み」であった。「風俗の話になると、なぜ風俗を始めたかを話さなければならなかったから」。具体的には、弁護人の質問に答えるかたちで「自分はアセクシャルという性的な欲求を感じないタイプだ」と述べた。「友達の恋愛話などにまったく共感ができなかった。経験をいっぱいすれば良さがわかるのではないかと思い、風俗の仕事を始めた」と。

「北井被告の話には不可解な点が多かった。妊娠中には、お腹を蹴る子供がかわいいと思っていて、名前まで考えていたとも語っていたのです。裁判官から『自首を考えなかったのか』と問われ、『自首ってなんですか』と問い返し、『そんな制度があるなんて知らなかった』と答えた場面もありました」(同前)

空白だらけのエントリーシート

 弁護側は最終弁論で、北井被告が就職活動で企業に提出したエントリーシートを取り上げた。名前と経歴だけが書かれ、自己PRと志望動機の欄が空白になっているお粗末なものだ。結局、遺棄翌日に受けたという空港内のホールスタッフのほか、大手航空会社子会社の空港グランドスタッフなど、片っ端から航空関連企業を受けたがすべて不採用で、地元の衣料品店でアルバイトをしていたという。

「弁護人は、このエントリーシートをもとに、彼女は知的能力が低く、周囲に相談する相手も少なかったと情状酌量を訴え、執行猶予付きの判決を求めた。一方、検察側は、『自己中心的で極めて身勝手な動機』として、懲役7年を求刑していた」(前出・記者)

 判決で裁判長は「強い殺意に基づく執拗かつ惨たらしい犯行」「身勝手で短絡的な動機」と指摘し、5年の実刑判決を言い渡した。

 最終意見陳述では涙を拭いながら「赤ちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べていた北井被告だったが、判決公判では、無表情でじっと裁判長の話に耳を傾けていたという。

 尊い命を救えなかったことが悔やまれてならない。

デイリー新潮取材班

2021年9月25日 掲載

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友人の恋愛話についていけず、風俗産業に従事すれば理解できるかも・・・
という風俗業界についた動機を知れば 本人からしたら 涙ぐましい努力と理解できます。 
発想が根本から間違っているということを 誰か周囲の人に教えてもらえれば、
このようなことに発展しなかっただろう・・

赤ちゃんはもちろんかわいそうですが、母親だけを切り捨てても、こういう問題は
解決せず、境界型知能の人たちの犯罪の背景について、もっと報道機関は情報をきちんと公開し、
悲劇を繰り返さないために 社会的支援に繋げていくことが求められていると思います。

虐待事例に表われる障害と貧困〜家族の脆弱性という視点から
大原社会問題研究所雑誌 藤原里佐氏
http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/657-04.pdf

こころの科学 206号 7/2019
子育て支援と虐待予防 日本評論社
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6206%E5%8F%B7-%E5%AD%90%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%81%A8%E8%99%90%E5%BE%85%E4%BA%88%E9%98%B2-%E5%AE%AE%E5%B2%A1%E7%AD%89/dp/4535141061

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