九重自然史研究所便り

昆虫採集と観察のすすめ

滋賀県産ガガンボモドキについて

2017-01-12 13:47:53 | 日記

滋賀県産ガガンボモドキについて
 ガガンボモドキは結婚する際、雄が雌に贈り物を渡す行動が観察された昆虫として知られている。私はシリアゲが同じことをするのを観察し「九重昆虫記」第9巻と第2巻に詳しく紹介している。
シリアゲの♂にとって♀に見せる餌は他の♂から奪ってでも手に入れたい物である。また餌を確保した♂は夜露に濡れながら一晩中見張るほど餌は大切なものである。そんな観察ができたのは私がフィールドに住み、24時間態勢で研究したからだ。だからシリアゲと近縁のガガンボモドキにも興味を持っていたが、残念ながら九重町地蔵原ではガガンボモドキは見られなかった。
 私のコレクションには滋賀県彦根市石ヶ埼町で1958年6月18日私が採集したガガンボモドキBittacus nipponicus Navas, 1909の破損標本がある(琵琶湖博物館標本番号78462)。この標本は彦根→奈良→長崎→大分→草津市と半世紀近くかかってまた出発した滋賀県に戻ってきた。その間に一部破損したがガガンボモドキは残っていた。私はこの虫を観察したいと思っていたが、地蔵原など九州ではその仲間に出会えなかった。京都の塚越章雄氏の所蔵標本を見に武田滋さんと出かけ、他に2種のガガンボモドキの滋賀県産標本があったのでここに紹介しておく。なお写真は新しくペンタックスの代わりに買ったオリンパスE-M10MarkIIで撮影した標本写真である。標本を提供してくださった塚越さんに謝意を表する。
向かって左側上左の2頭はクロヒメガガンボモドキBittacus takaoensis Miyake, 1913で産地はどちらも滋賀県高島市マキノ町白谷で2011年8月1日塚越氏採集。本種の国内分布は本州、四国の山地とある。
また右側右上はトガリガガンボモドキBittacus mastrillii Navas, 1913で、滋賀県大津市比叡平で2010年7月25日塚越氏採集。その下のB. mastrilliiの採集地は長野県諏訪市池のクルミで2011年7月30日塚越氏採集。本種の国内分布は中部、関東、東北地方などの高地であるという。

ペンタックスからオリンパスへ

2017-01-12 07:13:04 | 日記

ペンタックスからオリンパスへ
私は大学を卒業してからから初めて買ったペンッタクスを愛用していた。昆虫に関係がない大和古寺巡礼や飛鳥を回る時もそれを使った。大学に勤めてからは研究費でもっと高価なカメラが買えるようになったが、ペンタックスにこだわり、新しい機種が出るたびに買い愛用した。九重自然史研究所ではデジカメを3台買ったか、愛用したのはやはりペンタックスだった。昆虫を撮影するので、一応、そのクラスのニコンやキャノンも比較検討したが、カメラの性能よりも少しでも軽いカメラを選らんだから、一番軽いのが写真のペンタックスのデジカメだった。この機種にいつもマクロレンズをつけたままケースに収めず、毎日外に出る時は必ずそれと捕虫網を持って歩いた。だからレンズの縁や本体に傷がついている。フィールドの真ん中に住んでいるから、他の荷物があってカメラを持っていないちょっとの外出に限って、千歳一遇の事件に遭遇したのに写真が撮れなかった。私は三脚を決して使わない。なぜなら野外では別の写したい虫が、突然、現れた時三脚が邪魔になり、カメラチャンスに対応できないからだ。九重昆虫記掲載の昆虫写真はぶらぶら歩いて出会った虫を撮影した写真と、研究室で撮影した幼虫の写真からなっている。
 残念ながらそのペンタックスが年末に故障し初期のデジカメなのでマクロレンズの修理が不能だったので、今度はもっと軽いオリンパスを買った。まだ自由自在に使えないが、写真のキマダラカメムシはそのカメラで撮った最初の写真だ。このカメムシは草津市草津町エルシティ草津弐番館の外壁に2016年11月5日止まっていた。