東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

猛暑の影響

2024年09月18日 | トンボ
山間部から平野部に移動して河川沿いにある畑周辺でアキアカネをチェック。

オオカマキリ 雌(通称:茶カマ)

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
オオカマキリが外側に出て来ていると言う事は秋の知らせ。でもまだ厳しい残暑。ここは例年この時期にアキアカネが移動中に立ち寄るはずの場所。でも、残暑の影響なのか、まだアキアカネの姿は皆無。

川沿いの農道

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
ハリエンジュとオニグルミが生える木陰をチェックすると、暑さを避けているトンボの姿あり。そっとカメラを向けた。

ウスバキトンボ

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
近寄るのが難しい性格の個体以外はいつも手で触れる撮影距離。ウスバキトンボはヤンマと同じぶら下がり静止なので、真下からそ〜っと手を忍ばしてつかめば捕れるかも知れない。

ウスバキトンボ

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
捕まえる必要は無いけれど近寄る為の訓練と腕試しで楽しむのもあり。後翅の幅が広く複眼も大きいのが特徴。この時期は空き地や公園の広場に群れで飛翔している事がある。

ミヤマアカネ

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED+LEDライト
伐採されたハリエンジュの枝先で暑い陽射しを避けて日影に静止していた。
翅の中間に持つ特徴的な帯条斑が良く目立ち一番好きなアカトンボ。別の水辺に移動...

ネキトンボ

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
この指止まれ!&オベリスク姿勢。アキアカネなら容易いだけれど、ネキトンボで成功するとは思わなかった。偶々、成功したのかも知れないが、その偶々を覚えておく事が重要。特に昆虫は時間帯。
生態観察をしながら各個体の性格を読めれば指に止まってくれる事もある。
時には真剣に、また、いつでも遊び心を忘れちゃいけない。

7月下旬に羽化の観察をしたホソミオツネントンボ、今の時期は何処に潜んでいるのかが気になり探してみた。すると...

ホソミオツネントンボ

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
このように枝に擬態しながら来年の春までずっと林内で生活している。次回は越冬中に探したい。

そろそろ水辺で生殖活動をするアカトンボが観たいけれど、まだ?

撮影:9月15日

9月中旬の多摩で

2024年09月17日 | トンボ
この日曜日は久しぶりに多摩方面のトンボフィールドへ。朝は羽化チェック。すると...

ミヤマアカネ 雌(羽化後)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
そろそろ交尾、産卵の観察に期待したい時期でもあるが、定点チェックをしている水路では面白い事に7月中旬からまだ羽化が継続中にあった。水路端に住まれている方も、今年は沢山いるね〜と言っていた。暇をみてミヤマアカネの生態記録のまとめを記事にしたい。羽化観察の後はルリボシ、オオルリボシ、ミルンの活動が気になっていたので山間のポイントをいくつか回ってみたが、この日も猛暑!その影響か、残念ながらそれらの姿は無く子供たちに憧れのヤンマに出会えた。

オニヤンマ

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
飛翔を注視していると暑さを避ける様に日影に静止したところを撮影。オニヤンマと言えば夏休みに会えるのトンボだったはず。でも猛暑の影響により頻繫に見られるのは晩夏からになってしまった。
また、細流の減水の影響により、いずれ東京都レッドリストに掲載されてしまうのではないかと思うほど減少傾向にあると感じている。山間ではちらほらとアキアカネの姿が見られていた。明日に続く...


撮影日:9月15日

シオカラトンボと青空

2024年09月16日 | トンボ
そろそろアキアカネが避暑地から都心に向けて移動して来ても良い時期だと思い、土曜日は強風の中、沿岸部でアキアカネチェック。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
やっぱり猛暑じゃまだ来ていない。其処彼処にシオカラトンボがいたので広角レンズで忍び寄った。

シオカラトンボ

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
いつもなら忍び寄っても速攻で逃げられるのに今日は猛暑の影響で警戒心が薄れていたのか、ばっちり青空バックで撮る事に成功。シオカラなんてどこにでもいる普通種。そう思うが、特にオスは他のトンボと比較すると行動パターンに決まりが無く読みずらいのが特徴で、全ての生態を撮影するとなると意外に難しく馬鹿には出来ない。

シオカラトンボ

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
暑さに気を取られているのなら、アキアカネのように、この指止まれ!作戦が上手くいくかも知れないと思い挑戦。すると...

シオカラトンボ

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
ちょっと嫌がっている感じが出ているけれど、大成功。至近距離で撮影しているとトンボの性格が見えてくる。嫌なら逃げるし、嫌じゃ無ければ楽しめる。アキアカネの姿は無かったけれど、林縁の日影に照り焼き色のアカネを発見。

ノシメトンボ

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED+SB-700


ノシメトンボ

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED+SB-700
こちらはまだ猛暑じゃ活動しないらしく静止しながら水辺の様子を眺めスタンバイ、時を待っていた。

クロマダラソテツシジミ

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
帰り際にソテツでクマソ発見。クマソよりアキアカネはまだか...

撮影日:9月14日

飼育中のリュウキュウツヤハナムグリ

2024年09月12日 | 甲虫
未だに人気が覚めないのか、リュウキュウツヤハナムグリの記事が上位にあるので飼育状況を掲載。

リュウキュウツヤハナムグリ

右が採集個体で左が飼育個体。ここまではっきりと大きさに差がある個体をフィールドでは見た事がない。安価なマットで幼虫を飼育した結果が出た。例え繁殖力が強いリュウキュウツヤハナムグリでも飼育マットは何でも良いわけではない事が判明。フィールドで幼虫の生息環境を見ると、樹木の根回りに多い事から根喰い系と伺えるので、以前に使用していたヒラタ、ノコ1番が相応しいかも知れない。

リュウキュウツヤハナムグリのオスメスの見分けは前脚の側棘の数で判明。2本がオスで3本がメス。
画像は右がオスで左がメス。1枚目の画像の個体は両方ともメスなので大きさでは区別出来ない。

リュウキュウツヤハナムグリの2齢幼虫

ハナムグリの幼虫は小顔で毛深く尻デカ。また、仰向けで進行する特徴的な生態を持つ。
今回は採集個体のレアブラックを含めて様々な体色をミックスして繫殖を試している。
今のところ100個以上の卵と幼虫を取り分けて飼育中。何色が出るのか楽しみにしている。

全てNikon D300S+AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G ※画像をクリックして拡大

合わせてご閲覧ください。
樹液より花蜜
7月のリュウキュウツヤハナムグリ
樹液場を埋め尽くす
新たな展開
真冬のリュウキュウツヤハナムグリ
丸太の下で越冬中

終夏の池で

2024年09月11日 | トンボ
この日は気になっていたベニイトトンボの活動状況を調べる為に生息池へ訪れた。

環境写真

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED+C-PLフィルター
ガマ、ヨシの抽水植物に囲まれ、水面を覆っているのはタヌキモ。
タヌキモの表面にはに日焼けしたアオミドロが付着。一般的だと見た目が悪く汚い池のイメージ。

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
でもこのタヌキモの浄化作用により底まで見通せるほど水質がクリア。水の供給は雨水だけなので、
いかにタヌキモの浄化作用が優れているかが分かる。底を荒らす鯉がいないのも尚更よい。

そのタヌキモに産卵するのがベニイトトンボ。

ベニイトトンボ(連結産卵)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
タヌキモは小さなボウフラ等を食べる食虫植物でも知られ、また、水中への酸素供給、水生昆虫や小魚の隠れ家、イトトンボ、チョウトンボ、ギンヤンマ等が産卵場所として利用し様々な役割りを持つので、水辺の管理時には全ての水草を綺麗さっぱり取り除いてしまわないよう注意が必要。

ベニイトトンボ(交尾)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

ベニイトトンボ(連結産卵)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
連結産卵時のオスの役目は産卵中のメスが他のオスに横取りされるのを防ぐための警護行動。イトトンボの連結産卵の撮影はオスメス両方の複眼と全体にピントを合わせられるかが醍醐味。マクロ域はほんの数ミリでもズレるとピントが合わないので、より撮影スキルが試される場面。その為、カメラポジションを水面ギリギリにする必要があり、水濡れで故障すると修理不可なのでそのリスクを避けるため、ビニール袋にカメラを入れて水濡れを防止している。

アジアイトトンボ(産卵)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
アジアイトトンボの産卵も多数観られた。アジアイトトンボはメスが単独で産卵する。
産卵は腐食して浮遊するヨシやガマをより好んでいる様子にある。

蜘蛛に捕食されたアジアイトトンボの雌

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
産卵中、蜘蛛に見つかり捕食されてしまった場面。いつ危険が待ち受けているからわからない。
これも自然の節理。いつまでもクリアな水質が確保されイトトンボが豊富な池であって欲しい。

撮影日:9月8日