東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

河川上流部で

2024年04月26日 | トンボ
今までアオサナエの羽化を優先して先送りにしていたヒメクロサナエの羽化を楽しみに上流へ訪れた。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
アオサナエの羽化観察の後、池田さんにご案内いただき下見で羽化のポイントを把握。
翌日、早めに入って羽化殻のチェックを済ませた後、羽化のために上陸する幼虫を待った。

ヒメクロサナエの上陸幼虫

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
上陸から発見できたがウロウロした後、残念ながら羽化不全に。なかなか他の上陸幼虫を発見できない中、ヤンマ探索記のSさんが流石!定位個体と羽化開始している2頭を発見。撮影させていただいた。

ヒメクロサナエ ♀(羽化)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
上にある羽化殻とともにピントが合うポジションを探りながら撮影を楽しんだ一枚。


ヒメクロサナエ ♂(羽化)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
羽化水が落ちる瞬間を仕留めた一枚。ヤゴが羽化の場所を決めて身体が乾くと、保護色になるので発見が難しいが、この段階でも周辺の環境色と見事に同化している様子が素晴らしい。皆んなで同じ個体を観察、撮影している隙に、別の場所で羽化する個体が必ず居る。羽化あるあるパターンを願い求めて、ひとり外れて再チェック。すると...

ヒメクロサナエの羽化(上メス 下オス)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
嬉しくもオスとメスがワンフレームに収まる、滅多にないケースの発見に成功!
オスメスが分かりにくいけれど、両方にピントが合うポジションで撮影。

ヒメクロサナエの羽化(上メス 下オス)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
翅の輝きが美しいフレッシュな開翅の時。


Nikon D810+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
飛び立つ時は皆さんにお譲り。通りすがりの学生達も参加して撮影会。採集だけではなく生態撮影にも興味がある学生には感心あり。観察力と撮影スキルを磨け!今回は広角撮影が叶わなかったので、それはまた来年の楽しみにしたい。

この日その他に撮影した生きもの。

トラフシジミ(春型)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
朝から曇り空の中、少し晴れ間が出た時に陽射しが当たるエリアで発見。
吸水に飛来していた。春型が翅に持つ縞模様が目を引く。

ミスジマイマイ

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED+12"リフレクター
子供の頃、雨上がりに近所の公園に行くと必ず観察が楽しめた。しかし、残念ながらいつのまにか見られなくなってしまい区部での観察は難しい。管理から及ぶ乾燥化等が原因として考えられる。
明日からゴールデンウィーク前半。早起きは三文の徳になるだろうか?

撮影日:4月21日

アオサナエの羽化と青空

2024年04月23日 | トンボ
この日は池田さんのリクエストにお応えして、アオサナエの羽化観察を楽しみに向かった。
羽化時間よりも早く入り、羽化殻のチェック。すると、もう完全に最盛期の様子に感じた。
そうこうしてる内に、あれ!早々と羽化がスタートしていた。

アオサナエ ♂(羽化)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

アオサナエ ♂(羽化)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
サナエトンボ属の羽化撮影時に拘っているのは、身体に溜まった水分を頻繁に排出するので、その水滴が落ちる瞬間を渾身のワンショットで狙うのが楽しみ。良く観れば水滴を落とすタイミングが分かるので集中力があれば狙って撮れる。(画像を拡大すると水滴が分かる)

消波ブロックにオッサンが横たわっている!

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
いやいや、アオサナエの羽化を撮影している池田さん。何処で羽化するのか詠めないので、
カメラポジションにも苦労する事が多く柔軟な身体が有利。日頃のストレッチが効果的かも?

アオサナエ ♀(羽化)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
たまには逆光からの撮影もまた違った雰囲気で透き通った姿が引き立つ。

アオサナエ ♀(羽化)

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
川面と青空が写る広角撮影に最高の場所で羽化してくれたメス。アオサナエは羽化色も格別。
羽化水も仕留める事に成功。成熟して水辺に姿を見せる頃、再びカメラを向けにこよう。

撮影日:4月20日

夏日のホソミイトトンボ

2024年04月22日 | トンボ
ヤゴって面白い4の記事を挟んでしまったが、先週、日曜日の後半の部を更新。
サナエトンボの羽化観察を終えた後、夏日の条件下なら、そろそろホソミイトトンボも生殖活動に入っていると思い産卵場所に訪れてみた。

水辺環境

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
ここは春から秋まで水が溜まり、晩秋から冬場には渇水するので、アメリカザリガニやウシガエル等の外来種が少なく、夏場ヤゴで過ごす種類には良好な環境。この時期は越冬トンボの産卵に適した、枯れたヨシやオギが浮遊し、岸寄りには浸水したエノコログサが生育、水質もクリアな状態。なるべく波立たないよう静かに入水して活動中のトンボを探す。すると...

ホソミオツネントンボ(連結産卵)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
複数のペアがエノコログサに産卵する姿が見られた。ホソミオツネントンボは新緑のみに産卵する。
ただ、今回の目的はホソミイトトンボ。君たちにはまた今度楽しませてもらう。

ホソミイトトンボ(交尾)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
朝から晴れて夏日の条件下では、既に交尾の時間帯は過ぎていると思っていたが間に合った。
左側にいたホソミオツネントンボの連結産卵も入れたけれど、警戒されてしまった。

ホソミイトトンボ(連結産卵)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
産卵撮影は警護するオスの複眼にメスの複眼、産卵中の腹先部にかけてジャスピンで撮るのが醍醐味。
産卵植物は浮遊する枯れたヨシ。

ホソミイトトンボ(2ペアの連結産卵)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
オスが左右のどちらかに少し倒れていたりする場合が多いので、数が増えるほど複数のペアにジャスピンを決めるのが非常に難しい場面。そこを敢えて被写界深度の浅いフルサイズ機で挑み、撮影スキルの向上を楽しむのが自分のスタイル。オスが翅を動かしている様子にあるのは多少の警戒モード。

ホソミイトトンボ(連結産卵)

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
産卵集中モードに入っていたペアに広角レンズで更に接近して青空を入れて撮る。イトトンボの仲間やギンヤンマ等、水面に浮遊した植物に産卵するスタイルのトンボの接写は、水面ギリギリのカメラポジションになるので、カメラの底の水濡れを避ける為、ビニール袋でカバーしている。
成熟したホソミイトトンボは春の青空よりも色鮮やかで美しく魅力的なブルーを持つ。

スジブトハシリグモに捕食されたホソミイトトンボのメス

産卵していたペアが突然、暴れて連結を解除!?いったい何が起こったのかと確認すると、水面を素早く走る生態を持つ、スジブトハシリグモにメスが捕食されていた。流石に蜘蛛の攻撃ではオスの警護も役に立たないようだ。

撮影日:4月14日

ヤゴって面白い 4

2024年04月18日 | ヤゴ
ヤマサナエ(終齢幼虫)

3頭を並べて一発撮りにこだわったヤゴのアート作品。
映画インデージョーンズに出てくる古代エジプトの紋章にありそう。

ヤマサナエの生息環境

実際にヤゴが採れた場所。前記事の秘密の谷戸に流れる細流。林に囲まれ泥と落葉が堆積した小川がヤマサナエの棲家。残念ながら区部では絶対。そろそろヤマサナエも羽化の時期だ。観察に行こう。

秘密の谷戸

2024年04月17日 | いろいろ

シオヤトンボの羽化に期待して訪れて見たがまだ羽化殻もなし。そろそろ成熟して活動を始めている場所もあるが、ここは陽当たりが悪いのでシオヤトンボの羽化はゴールデンウィーク前半まで見られる。

以前は手前が睡蓮と藻の一種の植生がある池で、クロスジギンヤンマ、コサナエ、シオヤトンボ、オオシオカラトンボ、モノサシトンボの各羽化。ルリボシヤンマ、希にムカシヤンマ、マユタテアカネの各成虫。ギンブナ、アカハライモリ、トウキョウサンショウウオ、カワニナを確認。細流ではオニヤンマ、コシボソヤンマ、ミルンヤンマ、ヤマサナエ、アサヒナカワトンボの各成虫を確認。細流はまだ若干流れているが池は台風の影響で土砂が流下して湿地になってしまった。モノサシトンボ、クロスジギンヤンマは皆無、コサナエは昨年まで羽化を観察。さて、今シーズンはどうだろうかと言うところ。

トウキョウサンショウウオの卵嚢(中に見えるのが幼体)

今回、湿地の入口でトウキョウサンショウウオの卵嚢を発見。3月からヤゴの採集を含めて三度目の訪問で、前回まで未確認だったのに急に見られるとはかなり怪しい...これは誰が移入した可能性が高いと判断。と言う事は以前から見ていた卵嚢も移入か...だとしたら生息環境を知っている人の仕業に違いない。ただ、今まで誰にも会った事が無く、イノシシと自分の足跡以外に他は無い。GoogleMAPの衛生写真では谷戸地形、水辺としても写らないので絶対に自力では探せない場所。自分は地元の人から教えていただいた。

湿地の中央付近にアズマヒキガエルの卵塊とオタマジャクシ

特に希少種が見られる訳では無く、誰の所有地かも知らないが、いつ来ても誰にも会わない人知れず残された手つかずの貴重な場所だからこそ、秘密の谷戸としている。またシオヤトンボの羽化とコサナエの有無等をチェックしに行こう。

撮影日:4月13日