kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

「株主責任」についての話その1

2005-07-15 00:01:24 | 仕事関連
こないだのエントリの続きのようなものです。
実業界代表、大○本印刷の経営企画担当常務さんのコメント(意訳・超訳)です。

「そりゃ株主は大事、でも普段から株主のこと考えて仕事やってるわけじゃないですからねえ。でも会社は誰のものかってのを考えると、出るところに出れば株主のものってことですから。それに、俺らの方がうまく経営するよっていう買収者が現れりゃ、私みたいに追い出される立場(経営企画担当役員)は、懸命にやらざるを得ない。そういうこと考えれば、経営に対するガバナンスでは株主が一番効くわけで、株主重視という考え方は間違ってないんだろうなと」

株主総会の季節が終わり、企業側の買収防衛策がいくつか否決されるなど、「株主主権」がクローズアップされたことを受けてか、それに対するアンチテーゼが散見されるようになりました。

7月7日付のフジサンケイビジネスアイに出ていた、高崎経済大学の水口剛助教授(いい名前。Buの二遊間だ)の寄稿もそのひとつでしょう。以下要約です。

・今や「会社は株主のもの」という通念を否定する経営者はいない
・企業のガバナンス、昔は銀行、今は株主だ
・だが企業価値≒株価最大化を金科玉条とする経営に落とし穴は無いか
・現実の株価はしばしば理論価格から乖離し短期的な情報で上下する
・その結果、目先の利益に偏った経営が、社会の利益と対立する可能性があるのでは
・JR西日本の事故がその実例に当たるのではないか
・企業として利益追求は当然のこと、同時に安全、環境配慮も当然のことという声もあろう
・だが水俣病からJRまで、一向になくなっていないではないか
・そう考えれば、株価重視という通念の一人歩きは危険だ
・会社は株主のものと主張するなら、株主こそCSRの主体であるべきだ
・特に巨額の資金の出し手である機関投資家には社会的責任があるのではないか

正直、よく言ってくれた。という感想です。
会社の対株主、対投資家担当者は会社への注文を受けることはあっても、株主への注文というのはタブーですからね。

まあ、上記は担当者の愚痴ではありますが、世論でもあるべき経営者の姿というのはよく論じられるんですが、「あるべき株主の姿」というのはあまり聞かないんですよね。
この辺、疑問に思っていたところなんです。

水口氏、常務氏の意見は、これからは株主が企業のガバナンスを担うということで一致をみたわけですが、ここで虎の威ならぬ識者の威をもうひとつ借りておきましょうか。
『会社は誰のものか』(吉田望著)より。

(以下引用)
当面の日本企業の課題は、「株主によるガバナンス」の強化だと思います。株主の権利が強まる時代は確実に到来します。しかし、それがやって来たら来たで、次には「株主責任」はどうあるべきかが問われます。
(引用終わり)

これは必然の流れだと思います。

経営者への牽制は株主が行うとして、株主への牽制は?何に対して責任を負うのか?
教科書で習った有限責任?
経営者の責任が格段に重くなった現在、ここだけ昔のままってわけにはいかないんじゃないでしょうか。

流行り言葉の自己責任?
誰にも迷惑かけてないからいいじゃんって高校生の理屈ですよ。

・・・って本来はありがたい存在の人たちに過激な言葉遣いになりましたが、これからの時代に則した株主責任というのは考察されてしかるべきではないかと思います。
私のような凡人に解答なぞ出せないのですが、いろいろ思うところをまた次のエントリで続けたいと思います。

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