モーツアルトのオペラ「イドメネオ クレタの王」
僕が調律していたハンマーフユーゲルは通奏低音の役割
ピッチは430Hz 本当ならば古典調律がフィットするのですが、
このオペラは調が多く変わるので異例の12平均律でお願いしますとのこと、
少し趣がなさそうに思うけれど、ソロ楽器ではないのでね…
なんか専門的で申し訳ありませんが、
でもね古典調律云々といっている次元ではなくなる事件が発生したのですよ。
録音会場はWuppertal、古いモノレールがかっこよく川の上を走る谷間の町にある教会。
音響が素晴らしいらしく、演奏会や録音でよく使われているそうです。
しかし、教会内の温度が高い。おまけにスポットライトをガンガン照らしているのでかなり乾燥してるなぁと感じてた。
チベたいビールが呑みたくなるような温かさ。
調律の保持が悪いのもこれが原因と見た。
室温を下げることと、調律を予定より多く入れるよう交渉しましたが受け入れてもらえなかったんです。
スポットライトはビデオの撮影と指揮者の目の悪さを考えてのことだそうな。
この教会は床下暖房なので微妙な温度調節が難しいとのこと。
ちなみに外気温は0度でした。
案の定、ピアノの響板が割れた ほれ見てみぃ!
原因は もちろん過乾燥。 室温25度、湿度33パーセントは異常。
とにかく残り3日の録音を終わらせるため、調律の回数を増やし、
ピアノの下にはびっしょりと湿らせたバスタオルを敷き、延命処置を取った。
それでもスポットと床下暖房を緩めることはしてくれなかったのが本当に残念。
(録音後、瀕死状態のピアノは製作者のところに戻り、修理をすればまたもとに戻るのですけれど、なんか後味の悪いお手伝いになったなぁ。)
調律だけの依頼やったけれど、録音期間中のピアノメンテも強行的にやればよかったかなぁ。
録音に付きっ切りではなく他の仕事の合間を縫っての出来事なので何かしっくり来ない気分なのです。
ところで皆さん、ハンマーフリューゲルってどういうピアノか知ってますか?
ーまー