セントバーナードのキングスウッヅ犬舎雑感

犬種の正しいタイプを求めて46年
世界に通用するセントバーナードの作出と啓蒙

系統繁殖の楽しさ Ⅱ

2014年02月15日 15時42分52秒 | ペット

今日も朝からしっかり太陽が照っている。雪が甲信越に1m以上降るなんて言うことは、想像できない。北海道でも年に1回あるかないかの大雪である。
当地真駒内駒岡地区は、例年の1/3ほどの積雪である。札幌市の中央区以北から来られた方は皆積雪の少ないのにびっくりしている。
と言っても除雪していないところは、1m近くありまだまだ長くつ以外の靴は下駄箱で出番を待っている。Dsc_0810_2

写真は、King's Woods Italian Dandy ♂兵庫県豊岡市在住のダンママの愛犬ダンディー君2歳の雄姿である。
しばらく写真も成長具合も途絶えていたがこんなにショートヘアーの見本となるような体型に出来上がりつつあるとは想像できなかった。昨年1歳時にメイルを戴き70kgあるとのことだったのでセントバーナードは豚じゃないのでとんでもない体重管理だと思い,
足腰のトラブルを起こすのではないかと危惧をしていた。その後体重を落としたのかどうかは、聞いていないがこの写真から推測すると前肢も真直ぐ伸び短足でなく内転、外転もしておらず後肢のアンギュレイションもしっかりと見とれ、棒立ちでなくX脚やO脚になっている後肢の踏み込みになってはいない。
ショートヘアー或はロングヘアーにかかわらず大型犬の勇壮さと精悍さは、首抜けの良い犬からのみ感じられるものでその点からも文句のつけようがない。
今後更に成熟し4歳ころに完熟した時の姿を思い浮かべるとこの両親での掛け合わせは、正解だったと2年目にして結論を与えてくれた「ダン」君である。
このダン君と同じ掛け合わせで生まれたのが当犬舎で現在無駄飯を食っている「Sterling ♂」と「Scotch♀」である。将来が見えてきたようで楽しめそうだ。
ダン君の次なる課題は、お嫁さんである。Yellow Stone とAm. Ch. Quaker Jack の系列なので傍系の牝であるBaby Powder かDisco QueenにPaul 掛け合わせた娘を相手にする事によりキングスウッヅ犬舎の血統にて培われた「犬種の正しいタイプ」すなわち性格温厚とスタンダード的な姿形、美しい秩序だった血統を背負った子供たちが生まれる事と思う。
これこそ系統内繁殖によるタイプの固定「キングスウッヅタイプ」のセントバーナードの継承として楽しみである。

最近ブログを書くのに力(ちから)が入ってきた。
ブログの内容に対する反響が少し盛り上がっているようで賛同励ましのメイルや懐疑的な質問のメイル等もあり勇気つけられたり批判的な方々へは、逆にリバウンドの闘争心を掻き立てて呉れてブログを書く頻度が増えてきそうである。

↓写真は、奈良県生駒市で飼育されている「Sun」こと、King'S Woods Pro Plan♂ 1歳である。3

先住犬の飼育経験は、あったがベイビー時より私の飼育指針「体重より体高」の飼育を実行していただいている愛好家の方で前回のブログ「体長体高バランス」をお読みになって早速愛犬のバランスチェックを図示解説して「バランスがとても良く採れて成長している。」と実証解説付きのメイルをいただいた。体重を載せるのは、あと半年ほどしてから徐々に載せていくと2歳ころには、セントバーナードらしい雰囲気を醸し出し4歳の完熟期には、バランスの良い肉体と外見の素晴らしい雄大なセントバーナードとなると楽しみにしている。
他の方々から送られてくる当犬舎出身の犬たちの写真を眺めても同じ印象を持つのは言うべくもない。

私は、福岡市高宮と東京の下町で中学卒業まで育ったのでガラが悪く思いやりがない。ましては、今流行りの”おもてなし”などという言葉は、私の辞書にはない。
そんな訳で白か黒かの鈍感者で灰色にボカス能力もない。人を諭し、やんわりと真綿で包むように相手を説得するなんて私の得手とするところでない。 ことを前置きしながら各論に入る前の心境を述べてみたい。2014021212022014_251

私は、今回色々一部の人やグループの方々にとっては、耳の痛いことを遠慮容赦なく記述しているがこれは、役人的に言うなら「消費者保護」ペット的に言うなら「セントバーナード購入者保護」というべきであろう。
何のセントバーナードの基礎知識を持たないで初めて本犬種の子犬を購入するのは無謀で乱暴である。中小型犬と異なる特殊性の高い犬なので十分な予備知識を持って迎え入れてもらいたいのだがそんな余裕のある購入習慣のないペット後進国であるがペット王国日本では、無理であるなら、次に頼りになるのは、仔犬の習性を知り尽くした繁殖者に指導を仰ぐべきであるのだが????・・・・・
間違った仔犬選び、間違った仔犬飼育、等の初心者や思考停止状態のヴェテランの誤情報を糾す意図をもって記述している。
ご批判、反論,中傷、誹謗何でも結構で私の思考の肥やしとしたい。

「間違いで無いんだけど、もう少し柔らかく書いて貰えないか。」という注文もあった。
間違っていないなら正しいんだろう。正しいことを主張するのに遠慮も気兼ねも必要は、無い筈だ。アマチュアで非営利社会であるなら堂々と真実を語り合うべきである。人間は、真実を突かれると怒りに変わる動物である。セントバーナードは、怒らない。虚構や偽装を行わないからである。私は、セントバーナードに関する知識、情報は、正論を述べている。しかし正論は、他人を傷つけることも充分に知っている。だからこそ正論を述べて傷つく人がいる限り正論を述べ続ける。それは愛する日本のセントバーナードが”もどき犬”、”短足胴長犬”、”よだれダラダラの犬”、”走れない犬”、”攻撃的な危険な犬”と再び言われない犬造りをしていきたいし、他の繁殖者にそう願いたいからである。2014021212022014_223

「お前の言ってることは、聞きかじりで信用できない。」とあるところに書いてあるのを読んだことがある。そう言われれば聞きかじりの知識が多い。
聞きかじりを「オウム返し」の意味で言っているのであれば、既に日本には、私と同じ思考を持つ先輩が居て、スタンダードに基づいたセントバーナード理解、繁殖理念の実行が行われていたということであろうか?

{信用できない。}というのもその書き込みのご本人にとっては事実であろう。その人の詰め込んだ根拠の無いいい加減な情報と180度違う情報を私は、発信しているからであろう。ではどんな情報を私が発信しているか主なものをいくつか紹介しよう。

①アメリカセントバーナード(スイス)とイギリスセントバーナードは、別犬種:アメリカセントバーナードクラブのスタンダード解説より)
②茶一枚の毛色は、欠格。:スタンダードの欠格条項
③短足胴長の犬は、好ましくない:スタンダードからの逸脱。
④セントバーナードの耳付は、高い位置:スタンダード条項。
⑤股関節形成不全は、セントバーナードの宿命であり後天的な事故以外は、遺伝によるもの。完璧な股関節形成のセントバーナードは、アメリカでも5%程度という統計がありイギリス系統との雑交配を継続して繁殖された日本の雑交配セントバーナードであるなら100%形成不全と考えてよい。イギリスセントバーナードはスイスでニュウファンドランドと雑種交配して出来たロングヘアーのセントバーナードを大型化し体質の緩い犬を基本として作出された。戦後イギリスの有識者らが体質の緩みと股関節形成不全の改良の為ショートヘアーの導入をして改善に努めた。このような経過から日本の雑交配犬には、ロングヘアー同士の交配を繰り返し、体質の緩い大きな犬になった。この歴史的な反復継続が重症な股関節形成不全をもたらし発症へとつながり
「股関節形成不全になりました。」と初心者をして言わしめる。突然股関節形成不全になるのではなく正しくは、「股関節形成不全が発症しました。」というのが正確な表現である。
⑥セントバーナードの後躯には、深いアンギュレイションは、要求されていない。:スタンダードの条項と方形の体型の犬には、シェパードやコリーのようなアンギュレイションの深い犬は、発生史的にありえない。
⑦アマチュア、非営利をセイルストークにするなら徹底してその精神を貫き犬種の正しいタイプの犬造り徹して欲しい。犬を売買して飯の種にしている人たちのっ販売価格と同じような価格を販売価格にして営業妨害となると思もわ無いのだろうか・・・ぼったくり犬舎と自分で正直に言っていた福岡君の値付けには一理あると思う。犬屋で売っている犬より良い犬だからはるかに高いのだ、というのも理解できる。アマチュア、非営利というからには、当然販売価格も犬屋より低廉であるのがアマチュアであり非営利であるとおもうのだが・・・

等々私が発信してきた。これらの情報は、1975年ころから渡米して買い求めたセントバーナードに関する基本書やアメリカの指導的立場のブリーダーに直接教えてもらったり、SBCAの審査員研修会で教えてもらった情報ばかりである。それを聞きかじりというのであればそうであると言わざるを得ない。情報が{信用できない}とか{聞きかじり}という方には、大きなカルチャーショックに遭遇したのでご自分で聞き齧った事と真反対なことでその方の犬識がゴミ箱行きになることを恐れたのであろうか?P2020005

何年か前に「賢者は、歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。」というヴィスマルクの格言を引用したところ他犬種の10年そこそこの初心者から「偉そうなことを言うな。俺たちを愚弄するのか?」と取れる事がその初心者のブログに書いてあった。私は、{私の犬造りは、歴に学んだ根拠と論拠に基づいた手法で犬造りをしているが最近の繁殖者は、学ぶこと無く先輩の経験や根拠のない理論を頼りに犬造りをしている。真摯な犬造りとは、思えない。}と書いたところの反響であった。
この格言の意味を良く理解していない読者もいると思うので「股関節形成不全」を例にとり説明してみたい。
セントバーナードの股関節の異常に最初に気付き文書に残したのは、スイスのセントバーナードの父(セントバーナードのスイススタンダードを作成した人1884年)と言われたヘンリーシューマッハ氏で1900年初頭のスイスセントバーナードクラブドッグショー(140頭ほどエントリーがあった。)にて「
大きな犬の何頭かに腰のふらふらしている犬がいる。」と彼の日記に書かれていたのが最初であるといわれている。
彼のこの指摘こそスタンダードの基準からはるかに大きくしてしまった上にロングヘアーの緩い体質の犬を交配し続けた結果セントバーナードの股関節形成不全の宿命がある。と言っても過言でない。
この宿命をどのように改善すれば健全な股関節のセントバーナードに戻せるかという課題に取り組んだ先達が得た結果が「体質の硬いホスピスタイプ(ショートヘアーのスイスタイプ=小型化)の使用(3代続けてロングヘアーの交配をしない)」と「極端な形成不全血統の完全淘汰」であった。
スイス、アメリカ等の犬先進国では、犬全体の半分はショートヘアーであり繁殖に使用されている優秀犬の半数以上は、ショートヘアーとの交配犬でロングッヘアー同士の交配は、滅多に聞かないし見たこともない。
アメリカでは、そのような歴史的努力の経過を経て学び実行して股関節形成不全の問題は、殆ど話題にならない。
当犬舎の仔犬たちは、アメリカの長く継承されている血統100%なのでアメリカの例そのものである。そのため日本的な過体重飼育を戒め適正体重による適正運動と成長を厳しく指導しているのである。

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原因を探りそれを避けるためには如何すれば良いかの試行錯誤を重ねることが賢者の歴史に学ぶ姿であり更に賢者は、その過程で股関節形成不全が発症しないための適正体重を見つけ出し過体重からの発症と運動不足による筋肉の未発達や衰えによる発症にも警告を発した。
愚者は経験に学ぶとは、「股関節形成不全になりました。」「獣医に相談したらまどろこしいので知っている訓練士に相談して・・・」と言ってる人がいたが訓練士なる者ピンキリで訓練能力は、優秀であったとしても「キリ」と思われる人には、なかなかお会いできない。ましては、獣医学を極めたという人も聞いたことがない。この訓練士の指導に従うというのは訓練士の経験に基づいたもので発症がなぜ起きたか、「股関節形成不全だから発症した。」では、猿でも言える。発症しないためにはどんな努力をしたかが大事なのであって発症してから考えるのは愚者そのものである。

以上各論に入る前の私の心境を語らせていただいた。

最近の当犬舎の写真はこちらをご覧いただきたい。
http://kingswoods.exblog.jp/19461986/


系統繁殖( Line Breed)の楽しみ

2014年02月09日 23時19分11秒 | ペット

このところ曇り⇒小雪の繰り返しの毎日で色あいのきれいな写真が撮れなかった。
今日は、珍しく昼前に太陽が顔を出したので慌ててカメラを抱えて散歩に行った。
 

今朝当地では、放射冷却熱の影響で零下15度程までさがりお昼近くでも1mほど積もった雪の上を歩いても長靴がそんなにもぐらず歩行でき、犬たちも容易に歩き回って遊んでいた。普段は、この積雪の上では、体重の重みで太ももほどもぐる所もあるので容易に歩いては、行かなかった。その踏み入れない奥の方の雪は、新雪のままで純白の絨毯を敷き詰めたようである。

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私は、この人間生活には不便な番外地でも愛するセントバーナードを自由に遊ばせ犬自身の好みに合わせ丘を登り降りしたり全力走の追いかけっこを人間(私)が強制することなく1時間でも2時間でも満足するまで勝手に遊び、水が飲みたくなったら沢水を飲んだり雪を食べたりすることができる環境と犬たちに幸福感を感じることが時々ある。
今日のような雪が降り止み晴れの合間だとか、春先の新芽が吹き出してきた清々しい季節などに感じることがある。私は、雪解け時期に蕗の薹の新芽を見つけては、喜び順次季節の進行に合わせアイヌねぎ(行者ニンニク),タランボの芽、竹の子、ワラビを見つけて食卓に載る喜びは、まるで「アルプスの少女物語」の主人公のハイジーのような心境である。(誰だ!ハイジーでなくお前は、ジジー(爺々)だ!というのは?)

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まあ、ハイジーでなくジジーでも良いが、当犬舎に良い意味でも悪い意味でも興味を持たれている方は、沢山いる。
それらの方から時々
「セントバーナードを飼うのには、最高ですね。」とか、
「この飼育環境ならセントバーナード本来の性格や姿形が育まれてもおかしくないね。」と言われることがある。
また逆に「お宅の犬は、音に敏感だ。」とか「物おじして散歩に連れ出すのに一苦労する。」と言う苦言を寄せられる愛好家もおり「スイマセン、家の犬は、”ど田舎”で育ったものですから都会の文明の音や文化の香りの生活環境に慣れていないので馴化するまで我慢してください。」とお願することしかなく時間の経過が解決策と思っている。

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(FBでも使用した写真ですが右からMilan Hondaと手前愛燦々(I Sun-Sun) ミランは、今月で2歳になり体つきも成犬らしくなりいつでもドックショーで先輩犬の胸を借り張り切る準備ができているようだ。)

この最高と言われる飼育環境と言われてもアメリカでは、当たり前で最低この程度の飼育環境がないとブリーダーと呼ばれない。アメリカには、「繁殖屋」という言葉は、なく仔犬を売って金儲けをすると言うことは、恥ずかしい行為とされており仔犬の血統的犬質的レヴェルを顧みず法外な高価な値段をつけると犬仲間では、非難ごうごうと言う例もある。私は、ブリーダー(Breeder )というものの定義をこのように定義づけしているのでご覧いただきたい。http://kingswoods.biz/purposeofmywebsite.html の「最後に」に詳述している

P2050232_2 右よりMatsuko Super DX(マツコスーパーデラックス)Zalma(ザルマ)Paul(パウル)Zavier(ザヴィエル)

飼育環境が整っていてもストック(Stock)がスタンダードからの逸脱度の少ないものを素材にしないと何時までも「犬種の正しいタイプ( Correct Breed Type)」が作出されず所謂”ポチ公”の域を出ない犬造りに終わる。
ストックにする犬が良い犬か悪い犬か?は、スタンダードからの逸脱が多いか少ないかによる。
スタンダードの適確な理解度も良いものを選択できるか否かの基礎的能力である。
私は、遺伝的継承の強い「性格」「骨格」を最重要な視点としている。
性格からは、人間に対しても他の犬に対しても攻撃性のないものを最も大事なものとしている。次に求めるのは、「性格の明るさ」である。大人しいと言っても陰湿な暗い大人しい犬もいるが私は、そんな犬も淘汰する。「群れ飼育」更には、特にドッグショーを目指す犬は、性格の明るい犬でないと物怖じしたり審査員の触審時に審査員の審査手順を妨げることになり良い印象を審査員に持ってもらえない。

 骨格」の面から判断する場合人間でもそうであるが”骨格”、”顔貌”というのは血統に左右されるということを頭に入れておいていただきたい。私の経験や諸先輩の経験からしても両親以上に飛びぬけて良いものができるという夢みたいな(瓢箪から駒)話はないということを前置きしておく。
私は、先ず「体高体長のバランス」に注視して判断する。極端な短足・胴長は、当犬舎の系列の犬では、病的なもの以外存在しない。先日来引き合いに出している”ポニョ”君にしても裸のスケルトンで採寸したら5対5の比率てないとしてもかなり近い数字を示すと推測する。当犬舎系列の他の犬にも似たり寄ったりな比率の犬は沢山いると思うし、その比率の犬をスタンダードから逸脱してるかどうか知っているか知らずかにかかわらず交配に使っている人も当然いると思う。
私が「第一人者」「カリスマ」「将軍様」「神様仏様」と崇められようが{特定個々の犬}に対して「交配に使うな」とか「仔犬を出産させれるな。」とか「ショーに出さないでくれ。」を個別に命令できる立場にない。それぞれの犬所有者の個人の自由である。
前回の私の記述を「ポニョを交配に使うな。」と言っていると非難をしている読者がいると聞いた。私が投稿した記事についてどのように理解し読むかは、人それぞれであるので文句はない。理解は自由であるが、私の記述に短絡的、浅学非才な発言は、発言者本人の読解力不足の恥を晒すようなものである事を忠告したい。私の記述をよく読んでもらいたいしそれでも理解が変わらないなら今回の記述を読んで本意を知っていただきたい。一般論から言うと「仔犬を造る。」というのは、「より良い犬を造る。」というのが大命題であり「生活の糧」とする金儲けの為なら何でもありという出鱈目な繁殖なら職業繁殖屋とか家計補助主婦繁殖屋に任せれば良いことなので繁殖屋さんのすることには,私は、口出ししない。(繁殖屋さんの中にも良い犬造りに努力している人もいることも付け加える。)しかし、少なくても「アマチュア」とか「営利を目的にしていない。」とセイルストークを誇大にするのであるならこの「大命題」をも可能な限り実践してもらいたい。

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6か月になろうとしているS2胎のSterlingスターリング)そろそろショードッグとしての可否を判断しなくてはならない時期にきたが今のところ淘汰しなくてはならないという材料は、ないが更に観察中。)

イヤ、俺だって「より良い犬造り」を願い実践してるという方がおられるなら次にお伺いしたいのは、最近、阿部首相が「積極的平和」という言葉を大々的に唱えているが私は、「積極的欠点」という言葉をアマチュア精神旺盛な非営利主義の繁殖者に贈呈しご自分の犬をチェックしていただきたい。
借金するのに「お金は、返せませんが貸してください。」と言える借入人がいないのと同様「両親のこことここが悪い両親からの仔犬です。」とセイルスする繁殖者はいないであろう。皆さん良い点のみアピールして仔犬を販売するであろう。私とて同じである。
「積極的欠点」というのは、ご自分の犬に新たに欠点の箇所を作れというのでなく大命題を実践するなら冷静になってご自分の犬の欠点を理解していただきたいということである。欠点を次回の作出犬に継承しないためには、どのような掛け合わせが良いかを熟慮し実行する姿勢こそ真摯な繁殖者の条件であろう。
仔犬を繁殖してもその仔犬たちが良い犬造りであったかどうかの判断時期は、私は、半年をめどにしている。遅くても6か月が過ぎてくる頃には、将来性が見えてくるからアメリカのトップブリーダーは、将来性があるものについては値段が仔犬時の3倍くらいに跳ね上がる。将来性のないものは、餌代か無償である。私も同じで6か月過ぎてから何頭一般
の愛好家に無償譲渡したかわからない。今でもそんな当犬舎のメガネから外れた犬を待っておられる方が何人かおられる。

自分の愛犬の良いところばかり見て「いい犬だいい犬だ。」とテンションを上げているのは、ケンネルブラインド(Kennel blind)と言い、初心者や素人の域から抜け出てない方である。「イヤヨイヤヨも好いの中」の類である。
「己の犬の良いところと欠点を冷静に理解できる。」ようになって初めてアイツは、犬が解るようになったなと評価できるのである。自分の犬を過大評価する人に限って他人の犬の欠点を云々する人が見られる。逆であるようにしてもらった方が良い犬造りには効果的だと思う。

 話が中だるみしたが「遺伝的継承」のもう一つの注視点は、「頭部」である。
頭部は上から見て正三角形でストップがしっかり効いた頭部が要求されている。頬骨もしっかり張り馬面のように頬骨がこけてはいけない。このような馬面犬は、大人になって涎たらたらの犬の主な原因である。張りがないため頬の肉が垂れ下がりリップが深くなり隙間も多くなって涎がだらしなく垂れるのである。
次がマズル(口吻)
である。正方形に近い短く先細りのしていない真直ぐなものでなくてはならない。
後躯についても大事な選択のポイントなので触れなくてはならないが後日股関節形成について記述する予定でいるのでその折に触れたい。


今回記述していることは、系統繁殖(遺伝的承継)を重要視する立場からの論述でありその「序論」と考えて述べたが次回は、各論的な
「系統繁殖とは?」
「系統繁殖の功罪」
「系統繁殖と疾病」
等に触れてみたいと思う。
 

今回の私の主張は、結論として、繁殖に真摯に取り組み基礎的な繁殖姿勢と探求心のある方に対して 

両親共にスタンダードからの逸脱(欠点)の少ない犬を繁殖用牝とすべきであり種牡とすべきである。 

という簡単な事を理解し実践してもらいたいからである。 

序にFCI傘下の世界セントバーナード連盟の会長でありドイツセントバーナードクラブの会長ウルフ氏の名言を再度紹介しよう。

良い犬(繁殖用犬)とは、ドッグショーで多くの犬と戦って華々しい立派な成績を残した犬よりも、どれだけ良い子孫を残せた犬かである。」

 厳しい格言であるが外国人審査員から「日本のセントバーナードは、どれも素晴らしいですね。」と賞されるような国際的に通用する犬造りに更に前進していきたい。

続く  

 

 


補足・補完

2014年02月04日 13時51分48秒 | ペット

前回体高、体長、比率の項にて補足しなくてはならない点と継ぎ足して理解をしやすいようにするために補完する部分があった。
お読みいただきたい。

P1304884 写真は、親子で左(From left⇒)からSterling ♂、Winds(Daddy)、Scotchのスリーショット。160日の仔犬たちであるが体高(Height)about65㎝前後体重(Weight)30~35kgという数字は、国際的なスイスタイプ(アメリカ系)では、大きい数字である。

「短足胴長」という概念を日本のセントバーナード界に持ち込んだのは、スタンレイジリンスキ氏(Mr. Stanley Zielinski is the fist judge who warned short leg and long body of Japanese Saints in 1994 when he judged at JKC Chiba East All Saint Bernard Club.)

https://www.facebook.com/stanley.a.zielinski/mapである。

Rimg0008( 写真は、5年前九州FCIの審査員として奥さんのジョーンさんと来日したおりホテルでのスナップ)

ジリンスキ氏が1994年3度目のセントバーナード単犬種展の審査員として招請され千葉東セントバーナードクラブで審査をした後の審査評価の話の中で語られた言葉である。「欧米諸国の先進国のセントバーナードに追いつくには、短足(short leg)胴長(long body)の犬を淘汰することを心掛けなくてはならない。」と評された事から始まった。そしてセントバーナード犬種というものは、こういう犬だということを常に頭に置き犬造りをするようにと言っておられた。
”Powerful, proportionately tall figure”
この言葉は、AKCスタンダードの最初の部分に書かれているセントバーナード像なのでセントバーナード愛好家は、ぜひ知っていただくことを望む。下記のアドレスは、AKC スタンダードのアドレスなので一読いただきたい。

http://saintbernardclub.org/history-and-breed-standard/breed-standard/

更にイラストの解説書Illustrated Commentary on the Saint Bernard Standardも下記のアドレスで読むことができるのでご覧いただきたい。

http://saintbernardclub.org/history-and-breed-standard/illustrated-standard/

FCIのスタンダードも同じように最初に表現はことなるが同じ意味合いで詳述されているので参考にされたい。

http://www.barry-wusb.ch/Engl/StructurePrincipale/Standard/standard_fci.htm

イラストコメンタリーは、下記のアドレスへ行かれたい。

http://www.barry-wusb.ch/Fran/Structure/Standard/Illustration/WUSB-illustration.pdf

短足だから胴長というのが一般的な構成であるが中には前肢の短足イコール胴長となっていない犬も時たまいる。本人から了解を得ているので名前を公表するが下町の王子様ことポニョ君である。幼少時にかなりの肉がついていたようでその動く様を見て酷評したJKCよりはるかに高度な学識経験と犬識、第二外国語、さらに品格がないと審査員資格が取れないと言われていると思われるJCUという全犬種団体の審査員資格を取得した日本セントバーナード犬界最高の貴婦人奇怖人から、太り過ぎと指摘され繁殖者の指導に迄苦言を呈していた方が満更間違ってもいなかったのではないかと思われる節がポニョ君のしっかり伸びきれなかった前肢とみるのか上半身デブとみるのかあるいは両方か私には、判断しかねるが私は、成長過程での管理ミスだと思いたい。このような体型に出来上がったのは、遺伝的なものとは考えたくない。でないとポニョ君の仔犬は、こんな体型の犬になるという既成概念は、造りたくないと思う。

スタンダード(犬種標準)上、規定されている基準に悖るものは、欠点とされている。欠格ではない。欠点が多ければ多いほど良い犬か悪い犬かの判断をすれば悪い犬と判断される。しかし、私の国内国外での審査員経験上欠点のない犬など見たことなどない。

この体高体長のバランスが良い犬として引き合いに出された犬を紹介する。
Am. Ch. Revilo's Quincy ↓である。1997年度のナショナル展BOB犬で単犬種展生涯BOB ,BOS取得回数歴代第一位の犬ある。

Quincy3

.この犬は、アメリカセントバーナード界でセントバーナードのバランスの議論が一番賑やかな1990年代後半にもっとも良いバランスの犬ということで生きた基準として実際に採寸してその比率を多くの愛好家に勉強の標本とされた犬である。

20071023 この犬は、K.W. Ugly Ducklingと言い上記Revilo's Quincy の孫(Grand Son) でバランスの良さと前肢の伸びは、前稿で紹介したWarrior 同様よく継承されていた。

これまでの説明でセントバーナードの体型は、方形でなくてはならないということが理解できたと思うが、では何故方形でなくては、ならないのか?と疑問を持たれる方もおられると思う。

セントバーナードと呼ばれる以前の犬は、アルプスの急峻な山麗で飼育されていた土着犬の農耕、物引き犬で当時は、犬種名も定まらず「赤犬」「峪間の犬」と一般的に呼ばれ「牽引力」を見込まれて発達してきた犬である。物を牽引するためにもっとも有効かつ力のロスが少ない体形は、力学的には、方形だといわれている。
後躯からもたらせる牽引の力は、背骨を伝導して前躯へと牽引の力となって物を引くというのが牽引力のメカニズムであるがその力をもっとも良く発揮できる体型が方形であるというのが理解できたと思う。

方形な体型から推測される疑問がもう一つある。
それは、方形の体型の犬は、すべて後躯のアンギュレイションが浅いということである。急峻な谷間で自由に行動している動物にすべて当てはまることでセントバーナードとてその例外でない。スタンダードではFCIもAKCも規定され
Hocks of   moderate angulation
「角度はわずかで頑丈である」

と規定され深いアンギュレイションは、要求されていない。
以前英国系からセントバーナードの柵から抜けきれない愛好家、審査員、ハンドラー繁殖者の多くは、アンギュレイションの深い犬が良いと断定しており私は、早くからその考え方は間違いであると主張してきたが今では少なくなってきたが未だに深いアンギュレイションをセントバーナードに求める人がいる。その方々は、草原をトロ、トロと走るハーディング(Harding)グループの犬と体型もアンギュレイションも勘違いをしている。
コリーやシェパードのような平地を徘徊する犬は、すべて胴長でアンギュレイションは深い。(完)

当犬舎の次世代犬候補として残しているSterling の最近の写真をご覧いただきたい。
仔犬の2か月位までは、同胎のScotch のほうが大きかったが今では、二回りほど大きくなり立派なお兄ちゃんという感じになってきた。

P2030142

これは昨日の写真である。

P2030135 今年6月第1週に日本を発ちポートランドのオリバー宅(Revilo 犬舎)に行き武者修行をしてくることが決まった。奥さんのダイアナから何度か「いつ連れてくるんだ?」と問い合わせがあり昨日のメイルで展覧会の日程に合わせ6月第1週と決めた。チャンピオン完成には、時間がかかると思うが楽しみがまた一つ増えた。