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鳳暦の春 回りて (その2)

「このケーキ、〇〇堂と同じなのに 十円 高いわよ」

 

「きっと 十円分 中に何か入ってるんじゃない」

 

 

 

先日 東京のデパートで買い物の途中 

こんな会話を耳にしました。

 

年末年始の大売出しなどで

いつもより ちょっと安くなっている商品を買うと

得した気分になる方も 多いのではないでしょうか。

 

でも、クリスマスやバレンタインデーに合わせて

ケーキやチョコレートを買う人が多いのも事実です。

 

一日だけ待てば ずっと安く買えるのに。

 

 

 

ところで、 昔 中国 唐の事、

お寺の門前で 

風にはためいている幟幡(のぼりばた)を見た二人の僧が、

幡が動いているか 風が動いているかで 

激しい論争を始めました。

 

ばかばかしい論争と思われるかも知れませんが、

仏教のお坊さんにとって、

これは 真理を究める 一大事の問題だったのです。

 

皆さんは どう思いますか。

 

幡が動くのか、風がうごくのか。

 

議論をしていた二人の僧の間に

慧能(えのう)禅師という偉い僧が割って入って、

「動いているのは 幡でも風でもなく、

  見ているあなたたちの心だ」 

と言いました。

 

この答えによって 二人の僧は 悟りを開いたという事です。

 

なんだかよくわからないお話でしょうか?

 

 

 

例えば、夏の夕餉に冷たいビールを出されると、

 

「あぁ うまい。

 

 うちの奥さんは気が利く」

 

という人も、冬にビールを出されると

 

「この寒いのに 何を考えているんだ」

 

と怒り出す。

 

 

ビールはビール、

対象物は同じなのに 

人の心が 気まぐれに 

いつも 揺らめいてしまうのです。

 

 

 

友人から聞いた話ですが、

友人が ある会合で ある人から

「そのネクタイピンいいですね」

と話しかけられたのだそうです。

 

「おいくらでした?」

 

「はぁ、仕事の関係で 業者からのお歳暮ですよ。

 

 たいした事 ないんじゃないですか」

 

「そうですか・・・」

 

その人の知人から 後で 偶然 聞いたのだそうですが、

その人も同じネクタイピンを持っていて、

婚約者から 誕生日プレゼントにもらったと

日頃 自慢していたとの事。

 

お二人の仲が 無事であるようにと 祈らずにはいられません。

 

ちなみに、友人は そのネクタイピンが気に入っていて

よく付けています。

 

 

 

仏教では、

人の考えの及ばない「不思議」なるものの存在を認めつつも、

様々な物事事象を見る時は 

すべて それが 自分の心からの発生である

と認識しています。

 

他に惑わされず、

しっかりと自己を確立して生活し 人生を歩むこと、

それが 真理に近づく極意だと 教えています。

 

 

諸悪莫作  衆善奉行  自浄其意  是諸仏教

 

(悪い事はするな。

 

 善い事をせよ。

 

 自分の心を浄く保て。

 

 

 これこそが 諸々の仏の 教えである。)

 

                        

 

                        ――― 七仏通解偈

 

 

 

 

 

皆様の ご健寿と 更なるご隆昌を

重ねて 心より お祈りもうしあげます。

 

 

 

今日は、ここまで!

 

 

 

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