日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

言葉を探して

2006-02-28 07:10:45 | フランス語
というほどでもないのだが、今日は思い出そうとして
思い出せない、引っかかる単語が後から後から出てきて困った。

1:テストの不合格者
reçuに対して、不合格者を指すnon reçuとかnon admisとかって単語が
あるが、もっと簡単な口語的表現があったはず。なんだっけ・・・と
友人に電話をして聞いた、colléという単語だった。

2:avoir les boules
あまり上品な表現じゃないが、j'ai les boules!とテレビで言っている
人がいたので、なんだったっけ、この表現、昔聞いたことあるんだけど・・・、
と思い周りの人間に尋ねる。「(何か失敗して)クソッ」とかそういう
ニュアンスらしい。ほんとは、j'ai les boules qui remontent à la gorge
の省略表現らしいが。って何の役にも立たない知識か。

カラス -corbeau-

2006-02-26 19:08:32 | フランス語
職場で、なぜか巨大な黒ガラスの絵が表紙になっている週刊誌を
ピラピラめくっていたら、いきなり同僚のヴァレリーから雑誌を
取り上げられ、尋ねられる。「この絵の意味分かるか?」と。
「鳥インフルエンザを象徴してんの?」などと気の抜けた答えをすると、
彼女はニヤニヤ笑い、「違う、違う。ちゃんと特集記事の内容を読んで」
表紙に書かれた特集記事の内容はどうも税金申告関係の記事。
これがなぜカラスと関係があるのかまったく分からない。
「カラスというのは、フランス語では密告する人のことを指すの。
税務署に匿名で手紙だして脱税を密告する人がいるでしょ」

家に戻ってカラスの意味を仏和辞典で探すと、確かに
「匿名の手紙を出す人」と書かれている。

別のフランス人の知人に電話で聞いてみると、
「カラス」という単語がどうしてその意味になったのかその起源は分からないが、
普通は片田舎の村で、誰と誰が不倫している、とか、誰が犯罪を犯している、とか
そういう閉鎖的な社会で飛び交う匿名の手紙の主、のイメージ、と話していた。
引用、クルーゾーの名作映画『le corbeau』(邦題はまさに『密告』)。

ふたりのヴェロニカ(2)

2006-02-25 07:07:41 | パリ右岸
早速買ってきた『ふたりのヴェロニカ』のDVDを鑑賞。
ボーナストラックでは主演女優のイレーヌ・ジャコブや監督である
故キエシロフスキーのインタビューなどもついている優れもの。
なんどもなんども編集作業を行なったこの映画をして監督は
「編集作業によっては15本の違った映画が作れる」と言わしめた。

何度見ても美しい。何度見ても飽きることがない。
何度見ても何の答えも説明も得られない。
不思議な余韻だけ沈殿していく『ふたりのヴェロニカ』は本当に傑作。

音楽監督であったプレスネルはこの映画の音楽についてこう
新聞で語っていた。

-あなたの音楽は『ふたりのベロニカ』の中で、映画と同じくらいの
インパクトを持っていますが。

たしかに。キエシロフスキーは音楽に映画の主役の地位を与えたかったのです。
音楽を通して映画のすべてのテーマを表現することを。でも
いくつかのシーンでは私はキエシロフスキーに音楽を消してしまうように
提案しました。というのも、時には最良の音楽と言うのは「沈黙」であるからです。
『ふたりのヴェロニカ』の音楽は精神的で、メタフィジックなものです。
音楽は人間の悲劇を奏でるのであって、音楽そのものは悲劇的なものではない、
つまり登場人物の血なのです。

夕方同僚のヴァレリーと長々と雑談する。何かを思いついて言葉にして、
相手に思いを伝える。相手の思いがけない反応や新しい考えにはっとさせられる。
他人の近くにいる、ということとはこういうことなのか?などとぼんやり思う。


どちらとも言えない(2)

2006-02-24 08:05:26 | フランス
廊下ですれ違った同僚に、トリノ・オリンピックの話を振られたんだけど、
全然番組を見てなかったので、まったく話にならなかった。
ふと、小学生の頃、教室で昨日の夜のテレビ番組の話題を一生懸命する
同級生を横目に、話についていけなくてボーっとしていた自分を回想。
人間って何歳になっても変わらないもんだな。

さて、フランスじゃnoということが肝心と先日書いたが、同じ質問を
昨日、プライベートのフランス人の友人にも投げかけてみた。
すると不思議、同僚とまったく同じ返事が返ってきた。

EN FRANCE SI ON RECLAME PAS ON EST ECRASES.

フランスじゃ他人に対して主張しないと、他人に押しつぶされるんだよ、
だって。これってイエスといわないといけない日本文化の対極、
ノーと常に言い続けないといけない文化なんだろうか? と思ったけど
よく友人に聞くと、やっぱりいつも「ノー」しか言わないやつは
顰蹙だし、「ノー」にせよ、「イエス」にせよ理由が必要だとか。
やっぱデカルトの国。




密度の濃い一日

2006-02-22 06:55:34 | 自分について
午前中は所用で16区のオトゥイユあたりに出かける。
16区の中でも高級度の極めて高い街区だ。瀟洒なアパルトマンが
並んでいてちょっとキャピタリスムの矛盾を目の当たりにするような気がする。

昼頃事務所に戻ると同僚のヴァレリーから先週の件について
からかわれる。実は先週、他の同僚と些細な事で口論になり、
自分にしては珍しく、怒鳴りあいなんかしてしまったのだ。
「あんなイライラした日本人はみたことなかった!」などと馬鹿にされる。

昼過ぎに別の同僚のフランス人とランチに行く。今度は彼から
「おまえはノンと言えない、日本人の典型だ」などと批判される。
自分じゃ結構、「ノン」と言ってるつもりなんだけど、彼の目から見ると
全然フランスのレベルじゃないらしい。「フランスじゃあ」と彼は言った。
「ノン、と言わないと他人から押しつぶされる(écrasé)んだよ」
エゴとエゴのぶつかりあい、これが西洋文化の醍醐味か?嘘。

午後遅く、7区の会議場で行なわれた割と大きめの会議、というか
公開討論みたいなものに行ってみる。パネリストの話が長くて途中で眠くなる。
途中で、聞いていても訳が分からないので、持ってきた文庫本など読む自分。

残業して事務所を出る頃には夜の9時過ぎ。ぶらぶらと舗道を一人で歩いて帰る。
そういえば昔、ずっとぶらぶらして暮らしたいと思っていたっけ、などと回想。
今でも随分ブラブラしているし、浮世離れしてるなんて他人に言われるが、
本当に自分は昔憧れたようにブラブラしているんだろうか?などと自問する。
現実や制限や条件に押しつぶされない、余裕のある生き方だろうか?

マーケティングの本、など

2006-02-21 06:54:58 | パリ左岸
ネットで注文していたマーケティングの本が職場に届いた。
ナントの出版社が出しているマーケティング関連本なんだが
こないだ仕事の関係で知り合った人から、参考になると推薦されていたのだ。
ちらと読んでみると、なるほど分かりやすい。
イラストが多く盛り込まれていて大衆の心をつかむ方法が図解されている。
ついルーティーンの仕事もほっぽり出して、50ページぐらい読んでしまった。
明日続き読もう、っと。フランス語の文章も分かりやすいし。

そういえば、「ヴォールト」ってフランス語でなんて言ったっけ、
とふと思い、一生懸命仏和辞書をひいては、volteでもないし、
vaulteでもないし、と悩んでいたんだが、途中でそういえば
ヴォールトというのはカタカナ日本語であり(いや、英語か?)
フランス語では似ても似つかない、voûteという単語であることを思い出した。





老化は誰にでも訪れる

2006-02-20 06:10:25 | フランス
ふと夜9時過ぎにテレビをつけたら、ちょっと小太りの
タレ目のじいさんがワアワアなんか吠えるように喋っていた。
誰だと思い、テレビに顔を近づけると、歌手のアルノーだった。
金髪の長髪、既存の価値観に反対するような唄を歌っていた
あの若々しい頃の面影は消えて、なんかくたびれた爺さんみたいだった。
無理もない。もう彼は60歳ぐらいだもんな。

その番組を続けてみていると(ちなみに番組名は、
on ne peut pas plaire à tout le monde, 
みんなに好かれるなんて無理、なんてタイトル)
今度は新作映画の宣伝、とか言って、ジェラール・ドパルドューの息子、
ギヨーム・ドパルドューが出ていた。これがまたすごい、老けっぷり。
多分、三十台半ばぐらいだと思うのだが、「ポーラX」に出ていた頃の
面影は消えうせ、そこには無精ひげを生やした、クマのできた眼に、
頬肉の垂れ下がったおじさんが座っていた。って、ちょっと誇張しすぎか。
ああ、老化は誰にでも訪れるんだなあ。

どちらとも言えない

2006-02-18 20:39:22 | フランス
去年一緒に働いていたフランス人女性がいたんだけれど、
彼女は普通のフランス人とちょっと違っていた。まあ、
僕のつきあいのあるフランス人なんてそんな大多数いるわけじゃないんだけど。

一番他人と違っているのは、口癖が「OUI ET NON」だったこと。
質問をするたびに、「ウィ・エ・ノン(どちらとも言えない)」と
よく言っていた。表現としてこれはあるけど、僕の周りでそんなこと
言うやつは彼女以外にいない。もともと、「ウィ」か「ノン」と
はっきり白黒つけるのがフランスでの会話の基本、のような印象を
持っていた僕にとっては結構新鮮だった。
そのうちその曖昧な返事は、彼女の思慮深さの反映だということが分かったが。

こっちのウィ・ノン会話に慣れてしまうと、
たまに日本から来た日本人の相手をするとき、はっきり
「はい」とか「いいえ」とか言い過ぎて顰蹙を買うことがある。
日本の会話は上記のような、とりあえず「どちらでもない」と
言うのがスマートとされるのかも。ていうかそういう文化。

bon enfant(人のよい)という形容詞をすごい否定的な意味で
会話の中で使っている同僚がいた。偽善者ぽい、というニュアンス。
「どちらでもない」というのも本当にどちらでもないのか、
ただ単に答えるのがめんどくさいのか、で偽善者になるもんな。

ふたりのヴェロニカ

2006-02-17 08:04:59 | パリ左岸
夕方RERのプラットフォームで電車を待っていると
見覚えのある憂いを含んだ美しい横顔の女性がアップになった
ポスターが。女性は大好きなイレーヌ・ジャコブ。
彼女の新作映画と思いきや、1991年のキエシロフスキーの
彼女の主演映画「ふたりのベロニカ」だった。リバイバル上映されるらしい。
場所は6区のMK2。来週はフランス語吹き替え版のDVDも出るらしい。

僕は日本発売されたビデオを持っているぐらいこの映画が好きなのだが、
DVDは持っていない。これはFNACに買いに走らなければ。
久しくこの映画見てないけど、久しぶりに見たらどんな感じなんだろうか。
ちなみにベロニカの恋人役の俳優、philippe voltaireは昨年
自殺により他界してしまったようです。

パリの友達が仕事の関係でブルターニュに転勤になってしまった。
遊び友達だったんだが、なんか純粋に寂しいな。

仕事の関係でアルザスに電話をかけたんだが、電話に出た人は
外国人かと思うくらいフランス語が訛っていた。同僚に聞いたら、
「アルザスだから・・・」などとのたまっていたが。

日本人社会、という言葉

2006-02-15 16:30:26 | フランス語
他の会社の人と電話で話していて、
「週末は友人に会う予定」と僕が言ったところ、
「友達はフランス人の友達? それともフランスの日本人世界
(MICROCOSME JAPONAIS)の人?」と返された。

microcosme japonaisという言い方はあまり聞かないなあ・・・。
普通閉鎖的なパリの日本人社会を指しては普通に、
communauté japonaise(日本人共同体)とか
petit milieu japonais(日本人小社会)とかいう表現はよく聞くけど・・・。

などとボーッと思っていたら、今、テレビの映画宣伝番組で
ダニエル・トンプソンの新作映画の説明の中で、
やっぱり閉鎖的な世界を指して、microcosmeという言葉を使っていた。
普通に使う言葉なんだ・・・。





自分を好きになる、ということ

2006-02-14 06:21:08 | 自分について
日本の友人が『一週間で自分を好きになる方法』という
本を読んでいた。彼がちょっと目を話した隙に、ページを
めくって中身を読んでみると、「あなたのやりたいことを
ノートに書いてみよう」とか「あなたが手に入れたいものを
イメージしてみよう」と書かれていた。自己啓発かよ。
あと本の最初のほうに、日常の中で原因不明の居心地の
悪さを感じずにはられない人の事例が載っていた。

でも本当に一週間で自分のことを好きになれたらすごいと思う。
しかも、この本を読むだけでそうなるんだったらもっとすごいと思う。
でも、もし自分が編集者だったらそんなタイトルなんかつけないが。
なんか嘘っぽすぎて逆に本に手を取りたくなるもんな。

自分を好きになるのに方法なんかあるんだろうか?
しかもその方法論というのは本とかそういうマニュアルを読むことで
習得するんだろうか? 例えば南イタリアを旅行して、青い地中海を
ぼんやり眺めているうちに知らないうちに自分を好きになったりしない
んだろうか? ちょっと飛躍しすぎか。
例えば自分を嫌悪する気持ちが強い人を、そもそも他人が好きになれるんだろうか?

僕の場合、例えば失恋したとき激しく自分を嫌悪していたかも。
こんな自分だからいけないんだ、とか。自分はこんな情けないんだ、とか。
でもそういう自己嫌悪感って保存されないんだよねえ。
そのうち回復して、自分らしく行こう、と開き直ったりして。




タブッキの『さかさまゲーム』

2006-02-12 17:58:16 | 読書生活
FNACにこれといったあてもなく、ただぶらっと立ち寄ってみたら
アントニオ・タブッキ作品集『さかさまゲーム』が発売されているのを発見、
速攻で購入した。

僕がタブッキを知ってからもう10年近く経つが、もともと
タブッキが好きになったきっかけはこの作品「さかさまゲーム」
(le jeu de l'envers)なのだ。
何かトリックがあったり、言葉遊び的な要素が多く含まれている
文学作品というのは元来苦手で、どちらかというとざらざらと
した手触りのストレートなものが好きなんだが、この作品は特別。
元来イタリア語で書かれたこの作品の中には、ポルトガル語の会話、
謎解きのキーワードになる言葉はスペイン語およびフランス語と、
多言語が溢れている。まあイタリア人でポルトガル語を自由に
操るタブッキにはヨーロッパ言語を持って多言語なんて
観点から捉えないのかもしれないが。

さかさまゲームという子供の遊びを通して、情景描写と心理描写の
中の要素をすべてさかさまにひっくり返していくその手法にも脱帽。
登場人物の女性によって語られる人生と、彼女の死後、その伴侶によって
語られるまったく逆の人生。スペインとポルトガルという正反対の国。
登場人物の女性によって残されたキーワード、SEVERE(フランス語だと
「厳しい」とか「深刻な」という意味)。それをさかさまに
ひっくり返すとREVES(夢)となってしまう。
などなどいろんな要素が詰め込まれた本当に夢のような作品なのだ。

最後にいろんなものがさかさまになる、さかさまに見えてくる
瞬間をタブッキは、ベラスケスのラス・メニーニャスの画を
例にとって遠近法の「消失点」(point de fuite)と表現している。
タブッキは奥が深すぎて語りつくせないや。というか自分に
説明能力がないだけなんだけど。


期間の言い方

2006-02-12 01:37:41 | フランス語
こっちに住んでいる日本人が
(あまりフランス語に造詣が深くない)、
フランス語で
「8日以内(SOUS HUIT JOURS)に○○してくれ」
と説明を受けているのに、
「ああ、ああ、8日後ね(DANS HUIT JOURS)」
と答えていた。というかそっちのほうが言いにくいと思うんだが。
しかも意味が違うっつーの。

フランス語での期間の言い方というのは日本に住んでいた頃は
そう気にしなかったのだけれど、こっちに住むようになって
無数にあることに気が付いた。上の例以外にも

sous un delai de 8 jours(8日以内に)
d'ici à 8 jours (今から8日以内に)
dans le courant de cette semaine(今週のうちに)

などなど。
あと結構僕はここで偉そうなことをいろいろ書いているけど、
こないだ本当にきっちりとした敬語を使っている日本人女性に
あった。話しているうちに、いかに自分が日本語を滅茶苦茶に
話しているか自覚。敬語なんて怪しいもんだし、
そのうえ標準語と福岡弁混ぜて喋るもんだからときどき
同僚の日本人から「ワケ分からん」と言われるですばい。

おでん

2006-02-11 04:15:38 | 種ともこ
♪ちくわやがんもなど
大して特徴のない材料と
みりんやしょうゆなど
大して特徴のない調味料で
なべで作るおでん・・・

今、種さんのHPに行くとライブでしか発表されていない
アルバム未収録の曲「おでん」が視聴できます。

http://www.tomokotane.com/

哀愁を帯びたメロディーとペーソスに溢れた歌詞。
思うんだが、種さんは本当に「特徴のないもの」が
嫌いなんだと思う。うえの歌詞の「特徴のない」と
繰り返す部分、敵意がこもってるもんな。
ちなみに自分も「特徴のないもの」は嫌いっす。


若い、ってことも大変なのかも

2006-02-10 07:42:21 | 自分について
テレビを見ていたら、フランスで有名なM・POKORAという
ラップ歌手が出演していた。つい最近、テレビで見たときには
若々しい美男子、という感じだったのだが、今晩の彼はどこか疲れていて
しもぶくれで、なんか太ってしまったようだった。

先週、日本から高校時代の親友がはるばる遊びに来てくれて
うちに泊まっていたのだが、彼も高校時代に比べると太ってしまった。
当たり前なんだけどな。人間誰でも年を経て、どんどん変わっていくもんし。
彼の身体的変化を観察して見ると、顔はそんな変わらないんだけど、
体系がちょっと太って甘くなったというか、たるんだというか。
無理もないよな、俺たち、もう37歳だし。
彼の場合、濃い眉毛なんて変わらない。濃い眉毛が自慢の僕より
濃いもんね。織田武道みたいな眉だし。

テレビではPOKORAの隣にはミッシェル・フーガンが座っていた。
フーガンは全然変わらない。相変らず溌剌としていて、才気煥発で
容色も衰えなくて。恐るべし、フーガン。

僕はもう1年以上実家に戻ってないんだけど、やっぱ太ったとか
変わったとか、今実家に戻ったら母親から言われるだろうなあ。