goo

ウルトラセブン

9784775910160_1

 ふらり入った本屋で、立ち読みしたんだけど、以前から知っている事なのだが、僕の持つ、「放送禁止映像大全」という本よりもぐんと詳しく書き込まれているので、我を忘れてしばらく立ち読みして、その項はあらかた読み終えてしまった。それは、僕の懐かしき、心に刻み込まれた思い出の、昔のTV番組「ウルトラセブン」の放映に関するエピソードというか、ニュースというのか、まあ、ある事件の詳細である。ニュースといっても、俄かにネットなどで騒がれ始めたのが90年代末頃である。ご存知の方も多いと思うが、TBSと円谷プロ制作の子供向け特撮ドラマ「ウルトラセブン」の欠番作品の話である。立ち読みした本は、太田出版の2004年刊「封印作品の謎」。漫画で、僕の少年時代のマイフェバリットは「鉄人28号」や「鉄腕アトム」「エイトマン」などである。これが、TV番組だと「ウルトラセブン」が数えられる。もっとも、詳しく話し始めれば、マイフェバリット漫画はまだまだ沢山あるし、「鉄人」「アトム」「エイトマン」はアニメとして同時に忘れえぬTVマイフェバに数えられてしまう。ああ、何かややこしくなったなあ。

 

P_index_01  僕の少年時代の、「ウルトラQ」「ウルトラマン」に続く、TBSと円谷プロの特撮怪獣ドラマ「ウルトラセブン」は、東宝の「ゴジラ」と円谷プロの起こした怪獣ブームが拡がり大きくなって、その後も延 々 と続き、当時、大人気で放送されていた。僕は「ウルトラマン」のフジ隊員はそうでもなかったが、「ウルトラセブン」のアンヌ隊員は大好きだった。当時、アンヌ隊員に心を奪われた少年達は多かったと思う。そういう話ではない。欠番の話をするのだった。え~と、その当時のTBS「ウルトラセブン」の放送は、50回くらいあったんだと、思う。52話あったんだっけなあ?(調べたら全49話でした)。その中にね、欠番作品があるんですよね。第12話「遊星より愛をこめて」。67年の初放送ではちゃんと放送されている。その後の再放送でも欠番にはなってはいない。欠番となり、国内の放送はおろかビデオやDVDのソフト化もされなくなってしまうのは、70年代の半ば頃からかな。この頃、ある事件が起きちゃったというのか、事件になっちゃったからです。それで、永久欠番になってしまった。もっとも、アメリカなどで放送された時は、全話放送されていて、この第12話も勿論、含まれている。90年代末になって、ネット上でオタク達が俄かに騒ぎ始め、この12話放送分収録のビデオが取り引きされるようになった。だから知ってる人は知ってるし、事後30年近く経ってけっこうニュースになったから、既知の方は多いでしょう。これが「ウルトラセブン」の封印作品の謎、です。

07149144  第12話「遊星より愛をこめて」が、そもそもどんなお話だったかといいますと、「ウルトラセブン」の通常ストーリー設定は、毎回、地球侵略の宇宙人達があらゆる手で地球を攻撃して来て、これを地球防衛軍ウルトラ警備隊が迎え撃つのであるが、地球人が危機になると、スーパー宇宙人ウルトラセブンが現れて、侵略宇宙人達を地球から追い払うか、もしくは壊滅して、地球人を救う。この12話も同じ設定で、話は進行していき、ラストはいつもの如く侵略宇宙人は退散もしくは壊滅させられる。自星の兵器実験で種族ごと病魔に侵されたスペル星人は、新鮮な血液を求めて、地球侵略にやって来る。んでもって、腕時計型の採取機で地球人の血液採取を行い始める。ウル警隊紅一点のアンヌ隊員の友人のおねえさんに接近する、地球人の男性に化けたスペル星人。おねえさんの恋人となったスペル星人は、やがて子供の血液の方が純度が高いと知り…。この先、よくは知りませんが、最後は、スペル星人はウルトラセブンにやっつけられる。残るは愛を失った悲劇のおねえさん。この悲劇のヒロイン役が、この回は前作「ウルトラマン」で科学特捜隊の紅一点だったフジ隊員役をやっていた、桜井浩子さんでした。僕は、子供の頃、多分、この「遊星より愛をこめて」も見ているんでしょうが、さっぱり記憶にありません。ちなみに子供心に僕がその当時憧れた、ウル警のアンヌ隊員は、ひし美ゆり子さんでした。

489452763409  当時の、アンヌ隊員のひし美ゆり子さんはそりゃあもう魅力的で、可愛くてキュートで、ハスキーボイスで、当時のヒーロー好き少年達はみんな恋してしまいました。もう僕も大好きで、それから、ん十年経っても忘れ得ず、何十年も前の過去の姿形の写真集が出るや飛ぶように売れまして、僕も無論、買い求めました。アンヌ隊員を演じて何十年も経ってから写真集が出るなんて珍しいことですけど、当時の思い出やエピソードを語る、当時の写真いっぱいのエッセイ集とかも出まして、これも僕は買いました。当時恋して今は無残なオヤジになってしまっている大昔の少年達は、初恋が忘れられずに過去の姿形の写真集を買ったものですけど、「ウルトラセブン」は何度も何度も再放送され、ビデオも出ているので、初放送リアルタイムを知らない後から来たファン達も、アンヌに心奪われ買ったのでした。(ほんまかいな)。しかし、ウルトラ特撮シリーズの中では、名作の誉れ高い「ウルトラセブン」は、一番人気が高く、何十年の長期間累計ファン数なら無論1位でしょう。まあ、特撮ヒーローものヒロインっていっぱい居ますけどねえ、僕等前後世代では、ひし美アンヌがかなり高い人気なんじゃないかと。

409402076409 P1f  
 ああ、いかん、第12話の「封印作品の謎」を語るのだった。そんなスペル星人の謎なんかよりも、こっちの方が楽しいし。後は、そうですねえ、「ウルトラマン80」の石田えりとか、「宇宙刑事シャイダー」のアニー役の森永奈緒美とかが良かったなあ。後はねえ、「魔法少女ちゅうかなぱいぱい」の小沢なつき…。ああ、いかんいかん。こんな事ばかし思い出して書いていてはいかんぞ。


 で、封印作品の謎なのですが、え~と、ねえ、問題になったのは、70年代半ばじゃなくて、ズバリ1970年ですね、この年の小学館の学習雑誌です。月刊「小学二年生」70年11月号付録の怪獣カード。これにね、スペル星人が載ってたんですけど、この怪獣の説明が「ひばくせいじん」と書いてあった。これを、小二の弟の雑誌から見つけた、姉が、父親に見せて、父親がその関係の団体に属していたので、反核団体から小学館に抗議が入った。確か、こういう事だったと思う。つまり、怪獣扱いしたとして、「被爆者に対する差別」という事で、訴えてきて、これが当然のようにドラマ制作側にも来て、円谷プロはその後、第12話のフィルムを焼却して欠番とした。こういう事なんですねえ。

  

Sonositourutorasebun  誰が悪いって、スペル星人のカードに、「ひばくせいじん」なんて入れた、当時の小学館編集部担当者が悪い。(制作側設定のスペル星人の本来の呼び名は『吸血宇宙人』なんだそうです)。太田出版の「封印作品の謎」では、著者がルポライターとして、この作品関係者を執拗に追い、インタビューをしているんですねえ。この第12話は、実相寺昭雄監督と脚本佐々木守という、当時の黄金コンビの作品の中の一編です。この二人の作品には、子供向けドラマとしては、その裏側に、深い意味合いを隠して入れてある作品が多いんですけど、当時の小学生ではそこまでは理解は無理だったでしょうねえ。当時の実相寺昭雄監督は、これを反核の意味合いを込めて作っているそうなんですが、反核団体に逆に取られてしまった。被爆者差別であると。スペル星人のぬいぐるみの姿形に、ケロイドをあちこち入れさせたのは、反核テーマを持って作った実相寺監督らしいですけど。という訳で、永久欠番です。これを収録したビデオが取りざたされて回ったという事だけど、「見ても何という事もなくがっかりするだけですよ」という話らしい。この件は、僕の持つ「放送禁止大全」という本にも、ネットのWikipediaにも簡単に説明されています。この事件を詳しく知りたい方は、「封印作品の謎」の一読をお薦めします。

 このブログは「漫画読み日記」なので、漫画の事柄を書いて行かなきゃならないのに、ひし美ゆり子さんと封印作品の謎の話ばかりで、相当書き込んで来てしまいました。ちなみに、ひし美ゆり子さんが、「ウルトラセブン」の時代を思い出し懐かしんで綴るエッセイ集「セブンセブンセブン」が、文庫では小学館から出ていますが、その中に、「セブン」全49話を解説する章があるのですが、ここでは、第12話だけが語られておりません。何のコメントもありません。さて、「ウルトラセブン」の漫画に行かなきゃいけませんけど、当時の漫画の方は、対象が小学生向けくらいで描かれていて、単にヒーローSF漫画です。実写ドラマを作った、金城哲夫や佐々木守、実相寺昭雄などの、一筋縄では行かない二癖三癖のクリエイターの鬼才達が、子供向けヒーロードラマの裏側に込めたメッセージなど、漫画の方にはとても描きこまれてはいません。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の生みの親の一人、TV作家金城哲夫さんは、まだ米占領下の沖縄からやって来たクリエイターです。だいたい、「ノンマルトの使者」の話なんか、当時の子供が見て解る訳がない。

 

B0003180_15455036  はあ、漫画の話をしないと。「ウルトラセブン」は当時の講談社が提携したのか、月刊誌で「ぼくら」、週刊誌で「少年マガジン」に連載されました。だいたいTVドラマのお話を忠実なストーリーで描いています。あんまり難しい話はないですよねえ。侵略宇宙人が地球にやって来て、その宇宙人ごとに各々個性的な侵略方法で攻めて来て、地球防衛軍ウルトラ警備隊が対処するが、手に負えず危機に陥り、ウル警隊員モロボシダンがセブンに変身、巨大化した宇宙人にこっちも巨大化して戦い、倒す。「ぼくら」連載は一峰大二さんの作画、「少年マガジン」の方は桑田次郎さんの作画でした。だいたい難しい作品は選んでないけど、桑田次郎さんの描いた方に、「第四惑星の悪夢」がありましたねえ。あ、桑田さんの方には、ギエロン星獣の出る「超兵器R-1号」の巻もあったかな。ドラマで、中学生くらいになった少年達が見ると、ちょっと複雑な心境になる話も、漫画だと何も感じずに読み流すものです。

 漫画だと僕はねえ、一峰大二さんの描く「ウルトラセブン」がマイフェバリットの一つに数えるようなものなんだけど、作品として印象に残ってるのはメトロン星人の出て来る、桑田次郎さん描く「狙われた街」ですね。だいたい、僕は侵略SFとしてこのシチュエーション、好きなんですよねえ。昔、ジャックフィニィの「盗まれた町」も読んでるし、それの映画化も見ているし、ジャックフィニィへのオマージュだという、作家恩田陸さんの小説「月の裏側」も途中まで読んで‥(あの本はいったいドコ行ったんだろうか?)。「マグマ大使」の人間モドキのエピソード。劇画「寄生獣」の設定。でも、厳密にいうと、セブンの「狙われた街」の話は、団地街の自販機のタバコを買って吸った人間が狂って殺しあう話ですから、ちょっとシチュエイションは違いますねえ、何時の間にか町の人間がじわりじわり入れ替わっている‥というサスペンスタッチのストーリーとは。「盗まれた町」に、よりお話設定が似ているのは、放映ドラマの第47話「あなたはだあれ?」の方でしょうかね。

 少年誌でも、「少年マガジン」よりも、月刊誌「ぼくら」の方がより低年齢向けでしたからね、一峰大二さんの作品の方が、当時の頭の悪い子供だった僕としては心には残っています。漫画版「ウルトラマン」「ウルトラセブン」、懐かしいなあ。放送ドラマ「ウルトラマン」でも、僕は侵略宇宙人の出て来る、バルタン星人、ダダ、ザラブ星人、メフィラス星人の巻が好きでしたね。「ぼくら」版の「ウルトラマン」は一峰大二さんですが、「少年マガジン」版の「ウルトラマン」は何と、楳図かずおさんの作画なんです!楳図版ウルトラマンはどっちかっつうと、怪奇ものテイストが強い作風に仕上がっていて、怖い雰囲気が非常に良かったと思う。楳図版「ウルトラマン」をもう一度読みたいなあ。

 

◆(2008-01/18)漫画・・ 「コドク・エクスペリメント」.. (2)-プロテ星人

 

コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「猫目小僧」 「PLUTO ... »
 
コメント
 
 
 
子どもの頃ウルトラセブンがサンコミックスから出... (まんがファン)
2006-04-10 12:47:56
子どもの頃ウルトラセブンがサンコミックスから出版されたので、買いに行った思い出があります。桑田次郎の絵がかっこよかったのを覚えています。最近、復刻したので、欲しいのですが、まだ買ってないです。
 
 
 
まんがファン様、コメントどうもありがとうござい... (Ken)
2006-04-10 23:47:06
まんがファン様、コメントどうもありがとうございます。
僕は「ウルトラセブン」の一峰大二作画は朝日ソノラマ版で持っているのですが、桑田次郎作画の方もありますけど、何しろダンボールに詰めて押入れに押し込んでいるので、何処の出版かは解らないですが、
多分、朝日ソノラマではないかと思います。
最近はマンガショップなんかが昔の漫画を復刻出版してくれているので、嬉しいですけど、何しろ復刻版てみんな高いから
なかなか揃えられません。
 
 
 
TDF (Ken-Mortima)
2017-07-13 21:22:50
子供の頃、リアルタイムで「ウルトラセブン」見てたとき、例えばポインターとか、ウルトラ警備隊の車とか兵器だとか基地の壁とかに「TDF 」ってロゴが入っていて、TDF は何のことだろうな?と思っていたけど、そこが頭の悪いガキのこと、深く考えることせずに「まぁイイや」で済ませてしまった。それっきりだったんだけど、「ウルトラセブン」放送開始から50年経ってようやく調べた。今はネット検索という超便利なものがあるから。
1967年10月放送開始の「ウルトラセブン」テレビ初放映から半世紀も経った。50年経ってようやっとTDF の意味が解った。
Terrestrial Defense Force の略でズバリ「地球防衛軍」。ウルトラ警備隊の母体の地球防衛軍の略の頭文字だったんですね。terrestrial なんて単語知らなかったもんなぁ。あ、「テラ」ってここから来てるのかな?竹宮先生の「テラへ」とかの。また調べてみよう。
子供の頃パソコンとネットがあったら解らないことイロイロ調べたんだろうな。あの当時は本屋か図書館行くしかないもんな。まさかテレビ局までハガキで問い合わせまでしないし。今の子供はやっぱり昔々の子供に比べて頭良いのかな。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。