タラら々日記 漢方の薬眞堂

何故か学生時代のあだ名はタラ。
薬剤師として、国際中医専門員として日々の暮らしの中での事を書いています。

機能と器質

2010-11-19 | 暮らしの中の中医学

 腫瘤などが大きくなり、気血の運行や五臓の働きの改善だけでは対処できない時に、その昔華佗は腫瘤を取り出すという事を考えました。

 外科的方法です。

 その為『麻ふつ散』という麻酔薬を使ったといわれています。

 また日本においては華岡青洲が『通疝散』という麻酔薬を作って、妻で試した話は有吉佐和子著『華岡青洲の妻』の中にもでてきます。

 医学は中医でも西洋医学でも人が健康に暮らすためにあります。

 但、私個人の考えとしては、先ず生活習慣と食を治す。

                   次に食に近い漢方を使ってなおす。

                   さらに、力のある漢方を使う

                   さらに西洋医学の助けを借りる・・・と考えています。

 

以上の事は 足し算です。

  漢方薬を使ったからといって 生活習慣や食生活の改善をしないでいいわけではありません。

 病気の段階や中医学的どのくらい健康でない状態にあるのかによってもどの段階の治療が必要かはちがってきます。

 ウイルスなどの外邪の侵襲をうける場合は病気は急激といえますが、脳梗塞や心筋梗塞は突然みまわれたようにみえますが、身体の中でオケツは進んでいるわけです。

 最近、心筋梗塞や脳梗塞など循環器系の疾患にとって脂質代謝異常や糖尿病の人のリスクが高いといわれています。

 動脈硬化は1日にしてなるものではありません。

 中医学的にみるとオケツは、機能的変化から器質的変化に進んでいっていると考えられると思います。


機能と器質

2010-11-16 | 暮らしの中の中医学

漢方は紀元前から使われつづけ、その過程で発展してきました。

また、人と自然がもっと仲良しで密接につながりあっていた頃、自然や身体に対する感覚が今よりもっと研ぎ澄まされていた頃、自然の中に存在する人という形で理論が作り出されてきました。

だから、漢方の理論は地球上で見る事の出来る自然のあり方に反する事はありません。

器質的な傷害がある時は漢方で対処する事はできません。

中医学の名医の臨床に基ずいた小説『老中医の診察室』の中の第7話は『脊髄炎を補肝腎と清化湿熱で治す』ですが次のような話です。

風邪による高熱ですっかり足が萎えて3年も歩いていない患者さんの症状を湿熱と肝腎不足と診断して漢方薬と鍼と食、そして湿が関与している為、病室を南向きに代えるなどの環境の改善などをはかります。すると3ヶ月後には歩けるようになったという話です。

この患者さんは1回目の発熱時は抗生物質とステロイドなどで足は動くようになりましたが、歩く事は出来ませんでした。

2回目の発熱も同じような治療をうけますが、全く足が萎えてしまいました。

これを治すには、身体の機能や身体が持っている力を中医学で分析し、本来身体がもっている能力を引き出す事しかなかったのだと思います。

これは機能的な問題である為中医学理論が奏効したわけです。


機能と器質

2010-11-15 | 暮らしの中の中医学

iPS細胞の山中教授のドキュメンタリーを見て感動しました。

一見 科学的、冷たい、怖いというイメージのiPS細胞ですが、この研究にたいする博士の思いは人間を思う気持ちが一杯な事を知りました。

整形外科医だった教授は脊髄損傷の患者さんなどに対し無力感を覚え、その状態から将来救える為の基礎研究をする選択をしました。

何年も熱心にマウスを使った研究にうちこんでいましたが、人に仕えなければ意味がないと思い始めた時にES細胞が学会で、発表されました。

しかしある時、婦人科の高度先進医療に触れる機会があり,受精卵は命がある事を感じて、皮膚の細胞などから未分化の細胞を作れないかと考えたそうです。

いつ成功するともわからない果てしなく根気の要る実験を続けたそうです。

皮膚の細胞をiPS細胞にするという事は『時間が逆に進む』ように感じました。

この細胞が医学に応用されるまで、まだまだ時間がかかると思いますが、器質的損傷によって不自由な生活を余儀なくされている人達が立てるようになる日が将来必ず来ると確信しました。

しかし、遺伝子の入り方によっては発ガン性の問題なども出てくる可能性もあるそうです。

漢方理論は自然の法則にそって考えるわけですが、私達の知っている範囲の法則には無い事ですが それだけに奇跡が期待できます。


生姜

2010-08-27 | 暮らしの中の中医学

 今朝 NHKのあさイチ見ましたか?

生姜の事をやっていました。

生姜は身体を温めると言われている為 テレビや雑誌でよく取り上げれれている為 生姜紅茶や生姜湯などをのんでいる人も多いようです。

今日の内容はこんなです。

  冷え性なAさんは生姜紅茶を飲み・漬物にも千切りの生姜を入れるなど生の生姜を色々使っています。

これに対して3人の学者が ダメだししました。

登場したのが乾燥した生姜です。

これと 生の生姜を食した後の身体の温度変化をみると

生は体表部の温度は上がるけれど、体内(耳の中の温度)は下がりました。

ひきかえ乾燥品は体表部の温度は上がり、体内(耳の中の温度)に変化はありませんでした。

それで乾燥した生姜はウルトラ生姜なのだそうです。

 実は中医学で生姜はその働きにあわせて使われてきました。

生姜・・・ショウキョウ 

乾姜・・・カンキョウ

炮姜・・・ホウキョウ

の三種類です。

 ショウキョウは葛根湯や桂枝湯など寒気の風邪の方剤に使われ、

 カンキョウは人参湯や四逆湯など体内の冷えが酷い時の方剤に使われています。

乾姜を使うような冷えは陽気不足の冷えです。

冬は寒がり・夏は暑がりの人は衛気不足や気血両虚・脾虚湿盛など適応できず寒邪・湿邪・暑邪など六淫の邪のやられやすい体質の時もあります。

中薬学には乾姜は辛熱燥烈であるから、陰虚有熱・妊娠には禁忌

となっています。

辛熱燥烈とは辛く 熱く 乾燥しやすく その性質が峻烈だといってるわけですから、陽虚以外の人は常用は避けたほうがいい事がわかります。

特に血虚や気血両虚の為に冷える人は要注意です。

陰血や気が消耗してしまいます。


血虚と貧血

2010-08-21 | 暮らしの中の中医学

猛暑がつづいています。

  「暑いですねー。」と言いながら皆さん汗をふいていらっしゃいます。

  汗でナトリウム分が出てしまうのは ほとんどの人が知っていますが、鉄も僅かながら出て行ってしまいます。

  夏に貧血症状が酷くなる人もいます。

  熱は陰の不足をまねきます。陰は血・精・津液など物質部分を意味します。

  何が熱か?といいますと

  暑いは熱と湿

  発熱性疾患・・・これも熱(ただ漢方を使う時は風寒の場合もあります。

  赤く腫れるなど炎症状態・・・熱(じゅくじゅくする時は湿熱)

  ストレス・・・イライラ怒りっぽくなる・目が充血する(肝鬱化火)

  物質としての身体の消耗(陰虚)・・・虚熱

  心火・肝火・胃熱・肺熱など熱が長引くと気血・気陰が消耗します。

  血は身体を構成する大事なものです、またヘモグロビンの鉄は身体中に酸素を運び内臓の働きを円滑にします。

  血虚と貧血はイコールではありませんが深~い関係があります。

  また『血は気の母』ですから血が充実しないと気が出来ないのでエネルギー少なく こころも養われなくいので、不眠や神経症になりやすくなります。

 不足を補う事は元気の一歩です。


血虚と貧血

2010-08-20 | 暮らしの中の中医学

次は血が漏れる?でしたよね。

血が漏れるとは出血傾向という意味です。正常な流れからはずれる(溢血)によって血虚・貧血になります。

 1つは脾気と関係しています。

 『脾は統血を主る』・・・通常 脾気が正常な流れから血が外れないように守っているのですが、脾気虚によりその働きが維持できなくなり漏れる状態です。

 2つ目は熱です。強い熱や火は血の勢いを増し、炎症や充血をおこし 血管を破って出血をおこします。

 3つ目にお血(オケツ)があります。これは漏れるというより、堰きとめられた川の流れが行き場所を失い洪水をおこすような状態です。

 出血傾向があれば まずそこを治します。もし止める事をしないで補っても穴のあいた水瓶に水を注ぐようなものです。

なるほど


血虚と貧血

2010-08-19 | 暮らしの中の中医学

2つ目の血を蔵する力の不足についてです。

 中医学では『肝は血を蔵す』といい肝の蔵血の働きが弱る事をいいます。

 西洋医学でも近年、肝臓が血を貯える働きを持つ事がわかってきましたが、中医学においては何千年の昔から肝蔵血の働きについていわれてきた事です。

へー そうなんだ。すごいね。

 この事から中医学は鋭い感性をもって人の仕組み追求して出来たものである事がわかります。

わたしは舌や爪が白っぽくかったりで血虚っていわれたんですけど・・・

血虚タイプの人は普段から婦宝当帰膠・四物湯・補血丸その他、養肝の働きの漢方を常用しましょう。

 さらにアスリーブで直接鉄分を補給しましょう。

特に若い女性は生理によって血を失うので貧血になりやすく、整理中はアスリーブも飲むといいですよ。

 


血虚と貧血

2010-08-11 | 暮らしの中の中医学

血虚と貧血の話にもどります。

 中医学による原因のうち「血を作る力の不足」からです。

 血は脾胃の働きによって飲食物より作られます。

 帰脾湯は気と血と両方補う事ができる漢方薬ですが、益気生血という方法で、血を補います。

 つまり 気を益し、血を生み出すという意味です。

 わかりやすくいえば脾胃が弱いと栄養分の吸収力が悪いと言う事です。

 特に年配になるに従って栄養素の吸収力は落ちるので、ゆっくりよく噛んで吸収を助ける習慣をつけておきましょう。

 また、健脾(脾を健やかにする)漢方薬を服用したり、山査子・麦芽・神麹でできた漢方食品の晶三仙を常用すると気血が充実した元気な身体作りができます。

 

  もちろん、血になる原料を仕入れる事はして下さいね。・・つまり鉄・蛋白質(アミノ酸)ビタミンB12・葉酸・Cuの入った食品をしっかり摂ることは基本です。


血虚と貧血

2010-08-04 | 暮らしの中の中医学

 貧血は鉄欠乏性貧血だけではあいません。

   赤血球の生成に関わっている鉄以外の栄養素の不足やホルモンなど機能面の弱さや赤血球の破壊の過剰などで病気によって貧血になっている時もあります。

  病気によるものかを 先ずは検査して調べましょう。

  中医学の弁証によると貧血は血虚・気血両虚・陰虚・気陰両虚・血熱・血燥などが考えられます。

  身体を滋養する血の力が足りない状況・・・血虚・陰虚

  その血の作るエネルギー不足・・・気虚

  熱の為血を消耗した状況・・・血熱・血燥 

 いろいろなんだね。

 鉄や栄養素の補給は食養生として当然しなければなりません。

 アスリーブはヘム鉄の清涼飲料水で食養生のうちだね。

 そうです。何故貧血になったのかを 中医学的分類で考えれ

  ば   

     血を作る力が不足している

     血を蔵する力が不足している

     血が漏れやすい(統血不足または血熱)

     熱によって血が消耗

        熱の種類(実熱・虚熱・血熱・肝火など)

状況に応じて対策があります。