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 世の中のニュースへの意見や、サムライの仕事はどういうものかなど、自分の興味あるものについて書いてるよん。

 きょか、

2014-04-02 |  サムライの業務について

 俺は行政書士の分野で「建設業許可」の手続きも扱ってる。
 行政書士の業務で定番ともなっているこの「建設業許可」の手続き業務、いろんな会社をいろんな要件の満たし方で通すのもおもしろくもある。
 許可をとるには、それをとろうとする会社の社長などが、一定の経験や経歴があって要件を満たしてないととれないもので、誰でもやりたいからとれるというものでは当然ない。
 許可をとろうとする社長の、それまでの経験をふまえて要件を満たしていくのだが、それもやはり書面主義の役所に“裏付け”となる書類を提示できて認められるものでもある。そのパターンはいくつかあり、資格がある人、ない人、かつて自営でやってた人、取締役などにいた人などなど、そういったものをひっくるめてどう許可の要件を満たせるか、人それぞれで対応する。
 それもいろんな方法があるから、頭をフル回転させてどれをどう使ってどう要件を満たしていくか、その人の経歴や持ってる資格に応じてパズルのようにいろんなピース、パーツを噛み合わせて申請までもっていく。
 それに対応する専門家が行政書士なんだけど、さすがにそのピースさえない、要件を完成できない、となると当然申請はできない、となる。
 ただ、そこも行政書士のウデの見せ所でもある。ある行政書士はできない、ムリだと言ってても別の行政書士はこうやったらいけると答える場合もあったりする。俺もそれで悩んでた会社の許可を通したことで、その会社が今も俺に依頼してくれるきっかけになったこともあった。それくらいランダムだったりいろんな方法で要件を満たせることもある。そこも行政書士個人の経験やノウハウの差が出るとこであったりもする。マニュアル的に知ってても、例外的に認められることもあるわけで、それを知らないとできるものも「できない、ムリです」と答えるしかなくなる。
 そして、現実は、そういうマニュアル通りにスムーズにいくことの方が少ないとも感じる。
 行政書士の業界ではありふれた「建設業許可」の手続き。奥が深くもあり、それでその仕事の仕方も行政書士によってさまざまだったりする。

 許可自体は、なくても少額の工事とかならできるんだけど、やはり対外的な信用や、大きい工事を自社で扱おうとするなら許可はいる。というか、ないといけない。
 これから建設業で起業する人、さらに大きい工事もやって拡大したいという会社には必須のものだ。
 許可がないままだと、請け負える工事の規模、額も頭打ちになり、「ウチは許可がないんで小さい工事しかできないんです」と周りにも言うしかなくなる。周りのニーズがあったり売り上げをあげたいと思うなら、やはり許可は必要になる。

 最近紹介いただいてからの「建設業許可」についての問い合わせをもらう。
 それが数件あり、非常にありがたいのだが、話を聞いてるとそのいずれも要件を満たせそうもないものばかり。
 許可の根本となるそういった要件について、概要を話すも、どの人も「そこは難しい」、「それはない」となる。
 そして、いずれも許可はとりたい、とれるなら俺に依頼したいという前提で俺に話をくれるも、俺の仕事になるような流れではなさそうなわけで。

 俺個人としては、そのどれもが要件を満たせそうで仕事になるんならうれしいものだ。
 許可の、それも新規でとるとなると、報酬もそれなりにもらえるし(笑)、なにより、新しく許可をとって事業をしていく会社の最初から見ていけるのもやりがいを感じる。そういうとこもこれまであるけど、「この会社が建設業でやっていけるのは、俺がとった許可があるからだ」なんて(笑)、やりがいも感じる。だからこそ、その手続きやその後の更新手続きも気が抜けないんだけど、手続きのあとのつながり、その後の案件にもそのまま続くこともあるし、そういうきっかけは非常にありがたい。
 行政書士は社労士や税理士のように「顧問」というシステムがない。案件もそういう手続きがある時だけの単発でもある。だからこそ、そういった会社の“数”が必要でもあり、俺らとしてはそういった数の基盤が欲しくもある。

 しかし、紹介してもらって問い合わせしてくれる人にとっては、「この人ならとってくれる」と期待して連絡もくれるんだろうけど、それにしても今回俺が問い合わせもらったような要件自体が満たせそうもない場合だと、どの行政書士がやろうにもできないわけで、話もそこで頓挫することになる。

 今回問い合わせをもらった社長、事業者の人のすべてが「許可に必要な資格を持ってない」。
 建設業関連でも国家資格などもあるんだけど、それがあれば許可申請に必要な書類が大幅に減り、要件へのハードルが下がる。
 資格がないと、それに代わる過去の膨大な書類が必要になり、それが大変。そして、みんなそれがネックになる。
 ある意味、そこさえ満たせれば、許可は7割、8割方はとれたも同然とも言える。それくらいみんなひっかかるポイントだ。
 いくら「自分は経験がある、こういうことを長年やってきた」と言ってても、それを裏付けられる、証明できる書類を用意できないと認められない。
 どの人もそこのジレンマというか、ハードルがある。
 客観的に、対外的にそういう個人の実務、経験を証明できないと、役所だってそれを認めるわけにはいかないし、イコール、許可もおろしてくれない。
 最近俺が聞いた話はそういうのばかりで残念でもあり、また、そこそこ長い間やっていてもなにかにつけ証明できないところばかりで、その長い間の経験を活かせないのがもったいなくも感じる。
 俺からも、これがないならあれ、あれがダメならそれ、ではこれはどう?、と、いろんな角度で聞くも、そのどれもが「ない、ない」と言われると、どうしようもない。

 今回問い合わせをもらった数件は、現状では俺の手続きの仕事にはならない。
 過去の経歴の証明もそうだし、資格をもってる人を雇い入れるなどしないと、その会社では許可は申請できない。
 そして、そういう新規で許可をとろうとする問い合わせで、スムーズに要件を満たせられてあっさり申請までいけそうな話はほとんどない(笑)。それも残念。あれもある、これもできる、と、こちらからの問いかけにすべてOKで、「それならとれますね」と言えることがない。
 それも現実。
 許可をとりたい人はたくさんいる、そのニーズはある。それはありがたいし、その一部でも俺に問い合わせをもらえるのもうれしい。でも、肝心の、基盤となる要件が満たせそうもないならこちらとしても仕事にならない・・・。
 許可の取得を希望する人もそういうはがゆいような気持ちにもなるだろうし、案件をとりたい俺自身もそういう次第だとはがゆくもなる。「せめて資格とっといてくれよ」、「せめてこれまでちゃんとやってきててよ」とも思うとこはあるけど(笑)、それもしょうがない。
 その人たちも当然残念だろうし、これまでそういうかんじでやってきていざ許可をとる時にそれらすべてが「ない、ない」となるのも今からではどうしようもないわけで。自身で資格をとるなりもうちょい経験を証明できるだけ時間をかけてやってかないと、許可の申請まではいけない。となると、申請できるまであと数年はかかることもある。

 かつて、そういう次第で証明できる年数が足りないとか経験が足りないという事業主が、数年後に要件を満たせるようになって申請できたということもあった。
 それまで俺もごくごくたまに「その後どうですか?」なんて投げかけてはいたんだけど、それで覚えてもらってたのか、2、3年たってから(笑)俺に手続きの依頼をくれたこともあった。
 要件を満たすために、そこまでかかることもある。

 かたや、既存の建設業の会社で、資格とった人がいて、それをふまえて許可を新たにとりたい、というとこもある。
 今までは土木関連でやってきたとこも、建築関連の有資格者がいれば建築関連の分野でも許可がとれるようにもなる。
 そういうとこはもともとすでにとってる許可があるから基盤の要件は満たせてるわけで、非常にラクでもある。
 土木関連やら建築関連やら、さらには電気工事関連、配管工事、屋根工事、舗装工事などなど、建設業許可の業種はたっくさんある。そのどれもがそれぞれの要件を満たしてとれるわけだけど、それだけ幅広く許可の業種をとってると、会社としても請け負える工事の幅が広がる。ひとつの業種だけで許可をとってることもそれはそれですごいんだけど、対外的には「ウチは土木しかできません」、「建築工事はやりたいけど許可がない」ってこともあるわけで。
 そこで社長や自社の社員が新たな資格をとると、もともとある許可の基盤を利用しつつ、会社の事業の幅を広げるために別分野の業種の許可をとることもできるようになる。
 逆に、許可の要件となる従業員の有資格者がやめるとなると、許可もとんでしまう(=要件が満たせなくなり、許可がなくなる)。その従業員の意向次第で会社の許可が揺らぐようなこともある。でも、そういう会社の社長にかぎって自身は資格を持ってない、だから許可を維持するために他に誰か有資格者を急いで探さないといけない、あるいは過去の膨大な書類をそろえないといけない、とあわてることもある。

 さらには、別の分野で、建設業と関連して「宅建業の免許」もある。
 街の不動産屋さんも持ってる宅建業の免許だけど、建築関連の建設業をやってるとこが、自社で建て売りをしたい場合などで不動産取引が絡むんなら宅建業の免許もいる。
 そうなると「宅建業の取引主任者」の資格者がいないと免許の申請ができない、要件を満たせない、ともなる。

 
 世の中、資格があると有利とも言われるけど、こういう業界も、いったんとっていればその後自分がなにかする時にとても役に立つこともある。それだけ長い間その業界でやってるんなら、あるいは今後なにか事業の幅を広げるんなら、資格をとってた方が断然いい。でも、現場たたき上げでやってきた人やある程度経験を積んだから自分も独立して許可をとろうとする人は、必要な資格がないことでいざ許可をとる時に障害になる。
 そういう資格の証書も紙1枚。
 でもそれが大きい。
 俺らの士業の仕事、資格もそういうとこがあるけど、それでもそれで対外的に認められてカネをもらえる仕事ができるんだから、その「紙切れ」の価値、存在はやはり大きい。

 俺個人としては、自分の資格を活かして周りにのニーズに応えたいところ、今回のような問い合わせだと不完全燃焼で終わってしまう。
 それはそういう人たちにああだこうだと言えないところもあるけど、せっかくの縁、きっかけだったから、俺にもその人たちにも双方にいい方向でまとまれば一番いい流れでもある。
 現状としては話をそうもっていけないのがこれまた心苦しいんだけど、小さい会社を応援する立場として、また要件を満たせるようになった話を(いつになるかわからんけど)待っていたいと思う。

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