森かずとしのワイワイ談話室

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田村・ライヒェルト解雇無効訴訟に勝利!

2010-02-23 23:05:44 | これでいいのか金沢・日本そして世界
 北陸大学のドイツ語教授田村光彰さんとルート・ライヒェルトさんの北陸大学による解雇無効を求める裁判で、中山誠一裁判長は両氏の解雇を無効とし、地位保全と不払い給与・賞与の支払いを命じる判決を言い渡しました!息子の恩師であり、長く市民運動の先輩として教示頂いてきた田村光彰さん、そして理不尽極まりない理事会に対して敢然と立ち上がったルート・ライヒェルトさんの勝利判決に心から祝福を送りたいと思います。

 私は、4人の共同代表の一人として、田村・ライヒェルト裁判を支援する会でささやかな支援をさせて頂いてきました。お二人が、菅野弁護士を中心とする弁護団のサポートを受けながら、それこそ血のにじむような法廷書類作成に努力されてきたこと、事実の認定を裁判所に迫る気迫は、普段の柔和な表情の裏に滔々とみなぎってきたことを知っています。ライヒェルトさんは北陸大学での教鞭に生活を懸け、ご夫妻で金沢に居を構えた矢先の解雇に、感情を抑えきれずに絶句する姿に接してきました。
 判決では、カリキュラム編成権を盾に組合活動家排除の意図を隠して解雇に及んだ不当性を原告の主張通りに認定しました。ドイツ語限定の契約合意は成立していない。カリキュラム編成権は、解雇の自由を正当化するものではない。解雇に必要な4条件はいずれも履行されてはいない。よって、解雇権の濫用に当たる。二人の地位は保全され、この間の給与賞与は支払えと被告を厳しく断罪したのです。

 ただ、これから控訴も含めて評価について議論されると思いますが、給与の「バックペイ」によって精神的苦痛も慰謝されるという論理からか、慰謝料の支払い要求は棄却、裁判に併合した大学教職員組合との交渉に誠実に応じなかったことも遺憾な面有りとしながら、不法行為とは認定しなかった点が釈然としません。原状復帰で収めるということは、違法行為という罪に対する償いは不要としたことになります。労使間の労働法の原則からすると理解に苦しむ判断が含まれたままの判決でもありました。
 県教育会館での記者会見には、マスコミ各社が詰めかけました。各紙が報じた速報記事は以下の通りです。

①時事通信
北陸大教授の解雇無効=学部再編で授業廃止-金沢地裁
 北陸大(金沢市)の学部再編に伴うドイツ語授業廃止で解雇されたのは不当として、教授2人が大学に地位確認などを求めた訴訟の判決が23日、金沢地裁であった。中山誠一裁判長は「合理的理由を欠く」として解雇を無効とする判決を言い渡した。
 中山裁判長は「解雇は権利の乱用で、社会通念上相当と認められない」と判断。解雇から現在までの給与と賞与の支払いを命じた。
 判決などによると、同大は2004年に、日本人男性教授(63)とドイツ人女性教授(54)が所属していた外国語学部などを廃止し、薬学部など2学部に再編。外国語授業が英語と中国語だけになり、07年に2人に解雇を通知した。
 同地裁は07年、2人の地位を認め賃金の一部を支払う仮処分を命じた。
 北陸大学の話 われわれの主張が認められず遺憾。控訴すると思う。(2010/02/23-17:37) (時事通信)

②共同通信
北陸大教授の解雇無効 ドイツ語教育廃止で金沢地裁
 北陸大(金沢市)の学部再編に伴うドイツ語教育の廃止をめぐり、解雇を告げられた男性教授(63)とドイツ人女性教授(54)が、大学に地位確認などを求めた訴訟で金沢地裁は23日、解雇の無効を認める判決を言い渡した。
 中山誠一裁判長は判決理由で「解雇は権利の乱用に当たり、社会通念上相当であると認められない」として無効と判断、解雇通告後の給与の支払いも命じた。
 判決などによると、北陸大は2004年、両教授が所属していた外国語学部、法学部を廃止し、薬学部を含む2学部に再編。外国語教育を英語と中国語に特化した上で「07年4月以降、担当科目がなくなった」として解雇を通知した。
 原告は「医療、薬学の現場では今もドイツ語の必要性が認識されている」と主張。大学は請求棄却を求めていた。
 金沢地裁は07年「解雇は権利の乱用」として、2人の地位保全と賃金支払いを命じる仮処分を決定していた。
2010/02/23 13:46 【共同通信】

③北陸朝日放送
北陸大学訴訟 教授2人の解雇無効の判決 (23日)
学部再編にともない解雇された大学教授2人が解雇無効を訴えていた裁判で、金沢地方裁判所は原告の主張を認め、解雇を無効とする判決を言い渡しました。この裁判は、北陸大学でドイツ語などを教えていた田村光彰教授ら2人が、学部再編にともない2007年2月に解雇されたことをめぐり、解雇は不当であるとして地位の確認を求めていたものです。23日の判決で、金沢地方裁判所の中山誠一裁判長は「人員削減の必要性や大学が解雇を回避するために必要な措置を尽くしたかなどを総合的に考えた場合、解雇は合理的な理由を欠いていて無効である」と指摘。その上で、解雇後の2007年4月から判決確定日までの給料と賞与を支払うよう北陸大学に命じました。その一方で原告側が請求していた慰謝料については理由がないとして棄却しました。 (16:14)

④産経新聞
「権利乱用に当たる」 北陸大教授解雇無効の判決 金沢地裁
                               2010.2.23 19:39
 北陸大(金沢市)が薬学部など2学部への再編でドイツ語教育を廃止したのに伴い、解雇を告げられた男性教授(63)とドイツ人女性教授(54)が地位確認などを求めた訴訟の判決で、金沢地裁は23日、解雇は無効とし、大学に解雇通告後の給与を支払うよう命じた。北陸大は同日、控訴した。
 判決理由で中山誠一裁判長は、科目廃止後もドイツ語希望の学生がいたことや、薬学部のある私立大でドイツ語を履修できないのは北陸大のほか一つしかないと指摘。「医薬分野では依然として必要だと認識されている」と述べた。
 その上で「人員削減の必要性や合理性があったか疑問で、解雇は経営不振が理由ではない。権利の乱用に当たる」と結論付けた。
 判決によると、北陸大は平成16年、両教授に「担当科目がなくなった」として解雇を通知した。


 会見場で別れた原告の田村光彰さんから、さきほどメールで関係者に謝意が送られてきました。終わりに、ご本人の了解の下、田村さんの謝意をコメント欄に掲載します。田村さんを突き動かした憤りが初めて直接に吐露されています。

 ご支援下さった皆様に私からも御礼を申し上げます。闘いはこれで終わったわけではありません。今後ともよろしくお願い致します。
 

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1 コメント

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謝意 (田村 光彰)
2010-02-23 23:42:18
皆様

   今日(23日)金沢地裁で私たち2人の全面勝訴の判決が
  でました。私はまだ判決文を手に入れていませんので、概要
  をグ^-グル・ニュースでみつけ、添付資料でお送りいたします。
   1時10分、判決でした。2時からの記者会見に、菅野昭夫
  主任弁護士と「支援する会」の島崎利夫、林敬、半沢英一、森
  一敏の各氏と私が出席しました。
   判決要旨が記者には配布されました。添付資料の記事は、
  それにもとずいて書かれています。したがいまして、ほぼ同じ
  内容になっています。
    その後の記者会見では、判決文を菅野氏が紹介し、要点を
  解説しました。私をはじめ、他の人は、まだ判決文を読んでは
  いません
   各紙は、次々と時間差で記事を<改良>するそうです。共同
  の記者は、判決文が手に入ったので、改良版を出す、とのこと
  です。
   お気にかけてくださり、また支持してくださった方々には、お
  礼申し上げます。ありがとうございました。さしあたり、喜びを
  感じています。ただ、同時に訴えた、もう一方の争点の私たち
  教職員組合による「団体交渉の誠実義務違反」については、
  不誠実を認めながら、違法とはいえない、という判決。道半ば
  です。
   私は、教職組の結成(1995年)以来、友人、先輩たちと共に
  職場に人権と民主主義を求めてきただけに残念です。
   今後の戦いについては、支援して下さる人びと、弁護士の
  方々、教職組と相談し、歩んでいきたい思います。
   おおくの人達が調べたり、資料を下さり支え、励ましてください
  ました。この年になり、裁判とは記録、記憶の戦いであることを
  知りました。私にとり、大学理事会側との戦いは、思想などとい
  うレベルの戦いではなく(弁護士の方々は、学問の自由という論
  点にたって論戦をして下さいました)、「ウソをつくな」「デタラメを
  言うな」「国際文書(ユネスコ)の偽造をするな」という、事実をめ
  ぐる戦いでした。私たちは、大学側の書面に対して、メモと記憶
  を基に、次々とウソを暴いてきました。その手口は、後ほど、記す
  つもりでいます。記憶をめぐる戦いでした。
   思い出すものに、チェコからフランスに亡命した、ミラン・クンデラ
  言葉があります。「権力に対する人間の闘いとは忘却に対する
  記憶の闘いに他ならない」です。
   全面勝訴の基盤には、記憶の闘いがあったと思います。
  理事会側は、即日控訴したようです。今後とも、どうぞよろしく
  お願い致します。ありがとうございます。
                           田村光彰
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