敵基地先制攻撃論に猛省を促す

　昨日の衆議院で、朝鮮民主主義人民共和国の衛星打ち上げに抗議する決議が採択されました。社民党は、反対した共産党とともに、決議に加わらない棄権の対応をしました。私はこれを英断と評価します。
　一方、自民党は過剰反応をエスカレートさせています。酩酊の醜態をさらし、辞任に追い込まれた前大臣中川昭一議員が「核武装とは言わないが、敵基地攻撃も検討すべき」と暗に先制核攻撃をほのめかし、昨日は、細田官房長官がアメリカのライス、ヒルラインの対北協調政策は弱腰だったと批判し、坂本組織部長に至っては「日本の主張が通らなければ、国連脱退や日本が核を持つぐらい言うべき」と発言していると報じられました。
　飛翔体打ち上げを最大限利用し、危機を煽り、日本の核武装への地ならしにやっきになる権力者たちの暴走が始まっています。そのような強面によって解決するほど国際関係は単純ではないことは、安保理常任理事国間の温度差をみれば明らかです。
　このようなときは、バランスをもって状況を冷静に受け止める市民の判断が必要です。
　例えば、我が国は、長年にわたって種子島宇宙センターからロケットを３０基、人工衛星を４１個打ち上げています。共和国は、絶えず、アメリカの軍事衛星の監視の元に置かれています。核爆弾に転用可能なプルトニュムは４４トン、５５００発分に相当する量（０５年末）とされています。我が身を朝鮮半島においてみると、どのような日常世界が見えてくるでしょうか。「核武装や先制攻撃論」は、とどまらない軍事エスカーレーションを招き、いたずらに暴発の危険性を高めるもので、安全保障とは逆行することを悟るべきです。勇ましい言動で日本を侵略に導き、幾多の人命を失わせた時の指導者たちの多くは、ほとんど責任をとらず、のうのうと戦後に栄華を享受した。戦場から九死に一生を得て帰国した元前線兵士からそうした火を吐くような告発を聞きました。二世、三世の国会議員にそのDNAが引き継がれているとしたら、有権者はその危険性をこそ認識しなければなりません。
　国政に関わる政治家の発言は深慮、慎重、責任あるものでなければなりません。猛省を促します。

　先住民に対する植民地支配の歴史的関係をもつ台湾に今晩から入ります。昨晩深夜には、NHK特集「スペシャルジャパン」でしたか、再放送がありました。日本の近代化が植民地にされた台湾の先住民、人々に如何に深い傷を負わせてきたかを抉る、秀逸な番組でした。
　私は、霧社蜂起事件をテーマにしたドキュメント本を台湾に携えていきます。１０年以上前、心に刻む会に証言された台湾先住民元日本軍兵士の方の証言を聞きましたが、会場で購入した本です。訪台を機に再度読み直したいと思います。