sugiyukumamani

ただ かぜがふいているだけ・・・。  
  

現時点での考察です。

2011-05-22 | 時事

収拾に展望が開けず、透明性に疑問だらけの原発事故から早3ヶ月に
なろうとしている。都合の悪いことは隠したがる東京電力、
本当のことはいわない政府広報、言わねばならないことを
報道しないマスコミなどなど・・・・。

先がみえない中、不安はおさまらない。
事態収束の見通しが立たない以上、今の状況は長期化すると
思うのが一般的だ。そう考えると陰気な敗北感に襲われる。

大雨の降る梅雨を前にまた、なにか起こりそうな気配がある。
放射能で汚染された原発の汚染水が当面の課題だろうか。
もちろん、これだけはない。炉心冷却へ向けての具体的な
解決法が東電初め政府にある訳ではない。
手探りの状態は現在も変わらずつづいている。

東電の脆弱な危機管理は事故直後から指摘されていたし、
事故以前の隠蔽体質も問題視されていた。

時間が経ってはじめてその時に妥当と思われた決定や行動に
誤りが明らかになる場合はあるだろう。しかし、データーの公表の
遅れだけでなく、「実はこうでした・・・」という訂正が多い。

いまさら、具体例をあげるまでもないが、原子炉内の燃料溶融や
メルトダウンの可能性を事後直後から専門家は指摘していた。
東電だけではない、原子力安全・保安院もメルトダウンを認めたのは
事後から2ヶ月過ぎていた。

津波よる電源喪失も津波でなく地震が原因という可能性も浮上してきた。
格納容器の損傷を防ぐために行われたベント(排気)で建屋外に排出した
はずの水素ガスが別の排気管を通じて逆流したことから水素爆発が
起きた疑いも認め、「設計に欠陥があった」ともしている。とはいえ、
なにも東電だけのことではない。国の原子力行政の欠陥を
改めなければならない。(おことわりしておきたいのです。後になって
別の事実がわかるかもしれない、現時点の考察です)。


誰が保障するのか

2011-05-13 | 時事

《 完全な原発の安全を誰が保障するのか 》

菅直人首相は5/6日、中部電力の浜岡原子力発電所の全ての
原子炉を停止するように要請した。
5/9日、中部電力は「首相の要請は重い」と全炉を数日中に
停止することを決めた。

もちろん、批判がない訳でもないし、問題がない訳でもない。
(批判や問題について触れるつもりはありません。御了承願います。
これまのメディアの発表などを参考ししていたきたい。)

ご承知のように、首相には法律上、原発の運転を停止を指示する権限
はない。首相自身も「指示とか命令という形は現在の法律制度では
決まっていない」と認めている。

この要請に、枝野幸雄官房長官は「万が一、事故が起こったとき国が
責任をとるということだ」といっている。それはそうなのだ・・・。

浜岡原発が立地する地元自治体の長、川勝平太静岡県知事は
「英断に敬意を表する」とコメントしたと伝えられる。

余談です。浜岡原発は東海地震の想定震源域上にあり、30年以内に
マグニチュード8程度の地震が発生する可能性は87%といわれる。
また、今回の東日本大震災と同程度の規模の地震や津波が起こった場合
その事態にに対応できるような備えはない。

批判や問題はある、と先に書いた。が、批判だけでは人の命は救えない。
事態が深刻化する前に、措置を取るという予防策を誰が取るかと
いうことだ。国か、地元自治体の知事か市町村長か。

浜岡原発に関しては「国が責任を取る」といったことになる。
川勝静岡県知事は「敬意を表する」と言うでしょうな。

さらに余談、勝手な推測だが、他県の原発のある地元自治体の
知事さん達はそりゃおもしろくないでしょうな。何で浜岡だけなんだ、
ということになります。ですからどこの県の原発も国から説明を
受けるまでは定期検査の後の再稼動に疑問符をつけている。
再稼動にゴーサインを出し、事故があったらどうしようーと
思っているかどうかはわかりません。
原発は安全ではなく、事故が起こるのが前提になりましたから、
事故が起きたら止めることができません
私たちの眼前でそのことは現在も進行中です。

地震大国日本で原発が共存できるか、という根本的な疑問を
考える時期にきているのではないでしょうか。
これまで、原発の経済性は議論されましたが、安全性についての
議論はなされてなかったように記憶しております。

 


私事で恐縮ですが・・・

2011-05-13 | 暮らし

震災から2ヶ月を経ても福島第一原発は収束にてこずり続けて
います。周辺住民の避難は続き、放射能の拡散も止まりません。

私事で恐縮ですが、しばらくお休みをいただいておりました。
今回の大震災で自然の力の前では人はいかに非力かで、
いかに簡単に人の命が消えるかをリアリティをもって知りました。

被災地からから遠く離れているのですが心に矢がつきさったように
感じております。当地でも地震、といっても震度3程度ですが、
体に感じる程度の弱い余震も続いています。

しかし、地震大国、日本列島に住む限り、いつ被災者になるか
誰にもわかりません。誰もが被災者になりえるのです。
この国のどこに「ここは安全だ」、という場所があるのでしょうか。

そして、原発の安全神話は完全に崩壊しました。
原発は安全だといわれそれを信じこんでしまいました。
それは愚かなことでした。どこかで事故があっても
「自分は大丈夫」と思っていました。社会にリスクはあっても
自分は守られているという考えがどこかにあったようです。

「社会にとってのリスクは自分にとってもリスク」という考え方に
変わる人が、この震災以後多くなるのではないでしょうか。
原子力発電所での事故は起きる - と考えたほうがいい。
「幾重にも安全策が講じられている、事故は起きない」
というのは嘘でした。それでも・・・・、

これまでのように災害は人智で防げると引つづき思って暮らしますか、
それとも、尽くすべきは尽くすが人は常に危険と隣り合わせで生きる
しかないと諦めますか。

大切なものはなにか、何が本当に自分たちの生活に、そして子供たち
のために必要かを一人、一人が考えざるをえなくなりました。


放射性物質を放出

2011-05-04 | 時事

今、知りたいのは放射線量の危険性である。発表される数値は正しいのか。
そして、原子炉の中ではなにがおきているのか。


米・原子力規制委員会(NRC)に報告された全電源喪失時のシュミレーション
によると、バッテリーが4時間使用可能な場合は、停電開始後5時間で
「燃料が露出」、5時間30分後に「燃料は485度に達し、水素発生」、
6時間後に燃料の「溶融(メルトダウン)開始」、7時間後に「圧力容器下部が
損傷」、8時間後に「格納容器損傷」という結果だった。

福島第一原発は、8時間使用可能のバッテリーだからシュミレーションとの
違いはある。「8時間」が過ぎても回復の見通しはたたなかった」。
3,12、午前1時半、原発1号機の原子炉格納容器の内部に大量の水蒸気が
たまっていた。

格納容器内の圧力が高まりつづければ壊れる恐れがある。回避策は内部の
水蒸気を外へ排気(ベント)し、圧力を下げることだった。格納容器の弁を開け、
放射能除去フィルターを通して外部へ出す。

フィルターを通すとはいえ、放射性ガスの放出という「やってはならないこと」
の実施である。格納容器の防護機能を自ら放棄して「圧力容器の安全」という
最後の砦を守る「究極の選択」である。

菅首相は「やむをえない」と容認する。枝野官房長官は3、12、午前3時すぎに
会見で排気(ベント)に言及した。しかし、午前6時になっても排気(ベント)開始の
報告はなかった。「ベントのための電源が切れている」、「放射線量が高く、現場に
入れない」。

3,12 午前10時すぎ、電源がないため、職員の手やコンプレッサーで弁を
開いた。圧力容器から出たガスで8気圧まで上昇していた格納容器内の圧力が
大きく下がりがはじめ、ベントは成功したかにみえた。が、ガス放出の後、
午後3時36分に水素爆発がおき、原子炉建屋の上部が吹き飛び
負傷者4人をだした。

水素爆発 ― 冷却水の水位が低下し燃料棒が水の外に露出してしまった。
時間的な差はあっただろうが、シュミレーションにあるとおりだ。
原子炉の核反応は停止していたが、炉内に高温の余熱があり高温の水蒸気が
できていた。そこで高温の水蒸気と被覆管のジルコニウムが触れて反応した。

 


全電源喪失時のシナリオは・・・

2011-05-03 | 時事

「すべて公開することで国民がパニックになることを懸念した」、
細野豪志首相補佐官は公開しない理由をこう云った。
放射能の拡散予測のうち、原子力安全委員会がもっていた
「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」を用いた予測は
すべて記者会見で同委員会が公開すると発表した。

しかし、それ以外にも原子力安全委員会、文部科学省、経産省原子力安全・
保安院などの福島第一原発事故で放出される放射性物質の拡散予測データー
で公開されていないものが5千件あったという。

細野補佐官は、このデーターの存在を5/1日まで知らなかった、
きちんと公開すべきだったともいっているのだが。

年間20ミリシーベルト以上放射能を浴びるとガンになる確率が0,1%増える、と
いわれる。先ごろ発表された原発20㌔圏内の放射線量をみると、
10㌔圏内でも汚染が少ない地域がある一方、
50㌔近くはなれていても危険な地域もある。

原発建屋が爆発した当時は放射性物質のリスクを一般人は自分で
判断することが迫られていた。ガイガーカウンターで放射能を測定して
ネットで公開している人が複数いた。少なからぬ人がそのデーターをもとに
東京を離れるかどうか判断していたようだーという報道もあった。

冒頭から余談になりましたが、前回につづきます。運転中だった
福島第一原発の1~3号機が地震で自動停止。その1時間後に
「1~5号機が全交流電源喪失」。

3、11、午後4時30分すぎには「1~2号機が注水不能になった」。
しかし、官邸には「冷却できなくなっても8時間までは問題ありません」
と東京電力側から報告があった。

前回の「原子力規制委員会(NRC)が安全規定に活用した全電源喪失時の
シナリオ」ではどうなっていたか。日本は送電線などが早期に回復するとして
想定しなかった「全ての電源が失われた場合のシュレーション」のことだ。

外部の交流電源も非常用のディーゼル発電も喪失し、非常用バッテリー
が作動することを前提としてバッテリーの持ち時間や緊急時の
冷却系統の稼動状況などを計算してある。

「8時間までは大丈夫」というのは、全電源喪失時も使える非常用バッテリ-
の使用可能時間である。この8時間の間に冷却機能が直るという判断が
あったと思われる。

NRCが安全規制に活用した米研究機関のシュミレーションでは
バッテリーが4時間使用可能と6時間使用可能の2つの
シュミレーションがある。今回の福島の8時間使用可能とは違いがあるが
起きた順序はほぼ同じである。


国民も世界も疑問をもった

2011-05-02 | 時事

《 肝心のことが伝えられていないという疑問を・・・・ 》

放射能は見えない恐怖である。福島県飯館村の中心部は
原発から40㌔も離れている。同村菅野典雄村長は
「住みよい村をつくってきた。ある日、放射能を含んだ風がこっちへ
吹いてきて、生活のすべてがガラガラと崩れそうになる・・・」。

これが原発事故の恐怖だ。遠く離れた地域を一気に危険な場所に
変え、人の暮らしと時間を奪う。

チェルノブイリから約130㌔離れたウクライナの首都キエフ。
大河ドニエプルを見下ろす人口250万人を超える近代都市だ。
チェルノブイリ原発事故時は、風上で公式には放射能汚染を免れたと
される。当時、ソ連当局は、食品の危険性についてほとんど広報を
しなかった。危険を市民に知らせるという点ではソ連のシステムは
ほとんど機能しなかった。

しかし、食品による内部被曝の情報がなかった結果、ミルクなど汚染された
飲食物を摂取して甲状腺ガンを患う人が相次いだ。

危機時の情報の出し方は難しい。民主主義では正解を出すことより
みんなで決めたということのほうが大きい。日本政府は内部で政策を
検討し、結論だけをだす。原発事故で住民を混乱なく移動させる見通しを
つける前に危険だという情報を出すことはない。

米国のような国で重要視されるのは避難するかしないかを含め、
個人が全てを決定するという原則で、政府の一番の役割は
正しい情報を示すことだ。

日本では放射能汚染について、肝心なことが伝えられていないという
疑問を国民に持たれてしまったようだ。日本だけなく世界にも。
関東の家庭で子供を一時西日本に避難させた例も少なくない。
水道の汚染水を恐れてミネラルウォーターが一斉に買占められた例もある。

当時のキエフと今回の日本の事態との間には大きな差があるのは事実だ。
しかし、今の日本で正確な情報は伝えられているのだろうか。

3月11日午後7時45分、首相官邸で会見した枝野幸雄官房長官は会見で
政府が原子力緊急事態宣言を発令した理由をこう説明した。

「一定期間に対応できれば、不安、問題点は解消できる。現に被害がでる
ような状況にあるわけではない。万一の影響は激しいので万全を期すと
いうことで宣言を発令して対応する」。

しかし、原発の冷却機能は回復の見通しは立たなかった。
「万が一」と強調した事態は近づいていた。(つづく)