MIT MBA留学日記 ~ その後

2009年6月の卒業後、西海岸で社会人生活を再開。新しいタイトルを思いつくまでこのままのタイトルで続行する日記。

ゆきだるまの仕組み(サブプライム問題 2/3)

2008年10月13日 | 講演会に参加

こちらからの続きです)
* 「俺でも分かった(?)
サブプライム」と題して、その仕組みを自分なりに整理しています。

風雲急

前の回を書いて数日しか経たないのに、それから日米で株価は10%以上落ち、モルガンスタンレーに21%出資するはずだった三菱東京UFJが出資見直しの検討に入っている(逆に、モルガンスタンレーの株価急落を受けて50%を超える出資も可能性を増している)。
G7は揃い踏みで、声明ではなく行動計画にまで踏み込んだ発表をする。それでも株価は下がっている。
まだまだ先がありそうな、今回の金融危機である。

なぜここまでのことになったのか

あまりに大きな事態となった今回の危機、元をたどればアメリカの不動産バブルがはじけただけの話である。
そこだけ見れば、世界が揺れ動くほどのものでもない。
なのになぜここまで大事になったのか?

自分は金融のバックグラウンドもないし、不動産の専門家でもないので知識レベルは限られているが、先週行われたファンドと教授陣のプレゼンによると、こういうことらしい。
自分のレベルに合わせてできるだけ分かりやすく書きますので、お付き合いください。

問題1: 親亀コケたらみなコケる

サブプライムでお金を借りた人の債務(借金)は、証券化によって新たな商品となり、債権者から別の投資家に売られる。
売られた債権は、更に次の証券化が行われて別の投資家に売られ、また次の商品となる。

ここでいう商品は、リスク商品である。
その辺の店で買う普通の商品なら、問題があれば返品するということも可能だが、リスク商品は問題があったらゼロになるだけ。
そんなリスク商品が、親亀の上にどんどん積みあがっていったわけだ。

そこで親亀がコケた。
不動産市況の悪化により、不動産価値の上昇を見込んで組んだローンを返済できない人がでてきたのである。

親亀コケれば、みなコケる。
1のローンが返済できなくなったことが、3も4もの損を生んだわけだ。

問題2: 100%果汁グミの原理

なぜ、リスクの高いサブプライムの債権が、それだけ売買できたのか?
ここで「進んだ」金融技術が登場する。

サブプライムローンはリスクが高いが、完済される可能性は当然ゼロではない。
サブプライムローンが10あって、それぞれの返済可能性が10%だとすると、九つは不履行になったとしても一つは返ってくる計算になる。

ということはサブプライムローンを10コパッケージにして、ウワズミの10%を商品とすれば、返済確率100%の債権が出来上がる。
その商品は安全債権、ということになる。安全債権であれば、売買は容易。市場が一気に膨らんだわけである。

この仕組みを聞いていて、高校生のときに好きだったお菓子、「果汁グミ」のことを思い出した。
部活の帰りに買い食いしていた「果汁100%グミ」というお菓子があったのだが、フト袋の裏を見ると、小さくこういう但し書きがあった。

   「本製品は濃縮5倍の果汁を20%使用しています」

おや。てことは混じり物が80%あるってこと?でも100%なの?
やっぱ果汁100%っておいしいよね!とか思いながら食ってただけに、ちょっと裏切られた思いの、青春の甘い思い出である。

ちょっと違うかも知れないけど・・・。


とにかくリスキーなサブプライムから抽出された、安全債権。
しかしその安全のお墨付きには、ある統計上のワナが潜んでいたのである。

つづく


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