(こちらからの続きです)
* 「俺でも分かった(?)サブプライム」と題して、その仕組みを自分なりに整理しています。
風雲急
前の回を書いて数日しか経たないのに、それから日米で株価は10%以上落ち、モルガンスタンレーに21%出資するはずだった三菱東京UFJが出資見直しの検討に入っている(逆に、モルガンスタンレーの株価急落を受けて50%を超える出資も可能性を増している)。
G7は揃い踏みで、声明ではなく行動計画にまで踏み込んだ発表をする。それでも株価は下がっている。
まだまだ先がありそうな、今回の金融危機である。
なぜここまでのことになったのか
あまりに大きな事態となった今回の危機、元をたどればアメリカの不動産バブルがはじけただけの話である。
そこだけ見れば、世界が揺れ動くほどのものでもない。
なのになぜここまで大事になったのか?
自分は金融のバックグラウンドもないし、不動産の専門家でもないので知識レベルは限られているが、先週行われたファンドと教授陣のプレゼンによると、こういうことらしい。
自分のレベルに合わせてできるだけ分かりやすく書きますので、お付き合いください。
問題1: 親亀コケたらみなコケる
サブプライムでお金を借りた人の債務(借金)は、証券化によって新たな商品となり、債権者から別の投資家に売られる。
売られた債権は、更に次の証券化が行われて別の投資家に売られ、また次の商品となる。
ここでいう商品は、リスク商品である。
その辺の店で買う普通の商品なら、問題があれば返品するということも可能だが、リスク商品は問題があったらゼロになるだけ。
そんなリスク商品が、親亀の上にどんどん積みあがっていったわけだ。
そこで親亀がコケた。
不動産市況の悪化により、不動産価値の上昇を見込んで組んだローンを返済できない人がでてきたのである。
親亀コケれば、みなコケる。
1のローンが返済できなくなったことが、3も4もの損を生んだわけだ。
問題2: 100%果汁グミの原理
なぜ、リスクの高いサブプライムの債権が、それだけ売買できたのか?
ここで「進んだ」金融技術が登場する。
サブプライムローンはリスクが高いが、完済される可能性は当然ゼロではない。
サブプライムローンが10あって、それぞれの返済可能性が10%だとすると、九つは不履行になったとしても一つは返ってくる計算になる。
ということはサブプライムローンを10コパッケージにして、ウワズミの10%を商品とすれば、返済確率100%の債権が出来上がる。
その商品は安全債権、ということになる。安全債権であれば、売買は容易。市場が一気に膨らんだわけである。
この仕組みを聞いていて、高校生のときに好きだったお菓子、「果汁グミ」のことを思い出した。
部活の帰りに買い食いしていた「果汁100%グミ」というお菓子があったのだが、フト袋の裏を見ると、小さくこういう但し書きがあった。
「本製品は濃縮5倍の果汁を20%使用しています」
おや。てことは混じり物が80%あるってこと?でも100%なの?
やっぱ果汁100%っておいしいよね!とか思いながら食ってただけに、ちょっと裏切られた思いの、青春の甘い思い出である。
ちょっと違うかも知れないけど・・・。
とにかくリスキーなサブプライムから抽出された、安全債権。
しかしその安全のお墨付きには、ある統計上のワナが潜んでいたのである。
(つづく)