次期介護保険制度改正案の概要 ~ 費用対効果指標の欠如

2013-12-21 20:21:10 | 日記
昨日の厚生労働省・社会保障審議会介護保険部会で、次期介護保険制度改正案の内容が決まった。概要は下の資料の通りだが、そこで示されているように、(1)地域包括ケアシステムの構築と(2)費用負担の公平化が2本柱。

地域包括ケアシステムの構築に関しては、全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村の地域支援事業に段階的に移行すると言いつつも、財源構成を変えられなかったことは現行の行政システムの限界そのものだ。これは、介護保険事業だけに限った話ではない。『介護責任』を国から地方へ移管していく際に、財源も含めて一気に全部を移管することができないので、取り急ぎ業務のみを移管するという経過措置にも見える。財源移管は至難の業であることからすれば、ここは現行制度のままが最善であろう。

費用負担の公平化に関しては、高齢世代どうしでの費用負担の分かち合いであれば、方向性としては実に適格だ。少子高齢社会がますます進んでいくことが見通されているので、若年世代からは資金を吸い上げることは極力しないようにしていかないと、社会保障財政の持続可能性は保たれない。比較的中高所得層の高齢者にとっては『公平化』への疑義は大きいだろうが、今後はそうした仕組みとならざるを得ないことを認識しておく必要がある。それは、現在の高齢世代にとってだけでなく、将来の高齢世代にとってもである。

総じて真っ当な方向性の制度改正内容であるが、現時点において未だ介護保険財政の費用対効果を示す指標の活用が制度に組み込まれていないのは甚だ残念なことだ。今回の介護保険法改正後に行われる制度の詳細設計においては、介護保険財政の費用対効果を指標化しながらの運用となるよう改善していくべきである。介護サービス受給者一人当たりの介護保険財政投入額を抑制していくことが、美しい理念を掲げることよりも、介護保険制度の持続性にとって遥かに有用であるはずだからだ。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

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