落鳥雀
先日、緑ヶ丘病院へ診察に行った帰り、道で雀の雛を危うく踏みつけそうになった。後ろを見ると、フットワークのトラック。とっさに雀を拾って近くの本屋に駆け込んで段ボール箱を所望し、保護することに。
親雀はどこにいるのだろう?
雛を見つけた辺りを見回したところ、電信柱の上に一羽の雀がいた。
KOKKO:「お~い、あんたがこの子のお母さんかい?」
呼んでも返事をするでなし。
見かけたどの雀も母親に見えてしまって、「お~い、お~い。」の連呼。
通りすがりの人が「そこの茂みに置いといたら?」
えっ!雨が降ったらこの子はどうなる?
育て方もわからない。でも、私が何とかするしかない。
そのまま車でコーナンへ。鳥かごや“育ての親”なる餌やり器と餌を購入した。
中学生の頃、手乗り文鳥や手乗り十姉妹を育てたことがあるので、何となく出来そうな気がした。
しかし、野生の雀、しかも両足指骨折。果たして、助けてやれるだろうか?
自宅でインターネットで早速調べた。
野鳥は勝手に飼うのはいけない、獣医に連れて行くよう書かれていた。
たかが雀、されど雀というところか・・・。
亀岡は矢田のファミリー動物病院に連れて行くと、
「あなたは大阪府内でこの子を拾ったので、こちらで引き取るわけにはいきません。」
と言いつつも、石田先生という獣医は親切で、雀を診察をして下さり、私が保護飼育をするならと、育て方を本を引っ張り出して指導して下さった。おまけにミルワームまでワンパックプレゼント。診察料も「いいですよ。」無料だった。
石田:「9割がたこの子は死ぬでしょう。でも、自分を責めてはいけません。この子は、本当なら、あなたが道で発見した時点で死んでいる運命だったのです。人間に捕まったという時点で、すでに自然界では生き抜く力がないということなのです。もしも元気になって飛ぶことができるようになったとしたら、よかったと思いましょう。」
トイレットペーパーで巣をこしらえ、その下にカイロを敷いて、親鳥の暖かさとしたものの、ぐったりしていて餌もほとんど食べてくれない。夜は心配で何度も籠の中をのぞき、睡眠不足になった。
「こんな生活、長続きしない。しんどい。」と言いつつ、花壇や畑で青虫探し。
拾った当日はぐったりしていたものの、日ごとに元気に動き回るようになり、餌の量も増え、飛行距離も30cmから2mに伸びた。私の姿を見ると、親と思って飛んでくる。わずか数日で手乗り雀状態に。
が、両足指骨折のせいで、止まり木に止まれない。落下しては、床にしゃがみこんでいる。餌を求めて慌てふためいて前のめりにこけ、時にはでんぐり返りしてしまう姿の哀れさ。
これでは、飛べても、地面で寝るしかなく、イタチや猫にやられてしまうだろう。おりしも、我が家の花壇にイタチが遊びに来ているのを見かけた。
あいつの餌にするわけにはいかない!
毎日、虫かごに入れて職場に連れて行き、餌をやりながら仕事をしている。
同僚のマザリング女史が雀をたいそう可愛がってくれるので助かる。
元米屋の中ちゃんは、店に迷い込んできた落鳥スズメを「つくね」と名付けて育てていたが、ある日、床で遊んでいたところを家族に踏まれ、本物の「つくね」になって死んでしまったという。
だから、私は、この雀の名前を「スズメ」にした。
マザリング女史の手のひらで休む雀のスズメ