迷建築「ノアの箱家」

ひょんなことからNOAに選ばれし者として迷建築「ノアの箱家」に住むことになったKOKKOの笑ってあきれる自宅建築奮戦記

心の駅 工房しげ

2012-03-27 19:10:06 | 高槻の観光案内

高槻市大字田能小字苗松10番地

昨日のブログで紹介した工房しげの所在地である。

府道6号線を高槻駅北の緑ヶ丘病院から亀岡に向かって北上、山道に入ってからは唯一の信号(バス停樫田校前)を越え、樫田郵便局手前を左折して500メートル左側、林道田能線入り口に、その工房はある。

しげちゃんの住居である電車は、グーグル地図に2台とも、ちゃんと記載されている。

先ほど、しげちゃんに呼ばれて、焚き火を囲みながらの酒盛りをして帰ってきた。

夜の電車も風情がある。しげちゃんは、私が来るからというので、わざわざ電車の運転席のライトをつけて待ってくれていた。

 

         

                    夜の電車のヘッドライトの色の美しいこと。いつまで見ていても飽きない。

 

                       

お酒を飲みながら、樫田の歴史について語らった。店のすぐ下には、安威川の最上流の支流(城山辺りが最初の一滴?)が流れており、蛍の乱舞が見られる。この辺りの山で、一昨年、ツキノワグマが出たが、蛍と熊と鹿と猪としげちゃんは、樫田の名物である。

 

しげちゃんは、いつも、この焚き火で食事を作り、コーヒーを沸かして仲間と語り合う。

山からの湧き水を石臼にためて、それで顔を洗い、歯を磨き、手を洗う。茶碗もそこで洗っている。風呂だけは、森林センターの樫田温泉に入りに行く。

「ドラム缶で湯を沸かしたら?」とKOKKOはいつも言っているが、しげちゃんには、その気は無いようだ。

朝食は、1・6キロ先の二料山荘で、モーニング:450円を食べているらしいが、もったい無い。これだけの豊かな環境なのに・・・。

しげちゃん曰く、「日銭を稼がにゃならんから、手っ取り早くいくねん。」とのこと。

 

 

                     

                                       豊かな炎、豊かな時間。

 


ただでゲットした電車2台

 しげちゃんは、もともと地元民である。農家の次男坊だったので、よくある慣わしで婿養子として京都市西京区大枝に嫁ぎ(?)、故あって出戻ってきた。

十数年以上前に、現在老人ホームが建っているところの山すそに、ただでゲットしてきた電車を置いて、山の生業を始めた。私はその当時から“電車の店”を知っており、まだ幼少だった我が家の青少年たちを連れて“家探し”にその前をよく通過した。まさか、自分がその後本当に樫田の人間になるとは知らずに・・・。

やがて、私は、電車がなくなっていることに気がついた。けれども、その電車がどこへ引越ししたのか知らぬまま年月が過ぎた。数年前、私が建築トラブルで苦しんでいた時、囲炉裏茶屋に出入りしているしげちゃんと囲炉裏で出会った。電車に尋ねて行き、彼こそが、あの“電車の店”の主だったのだと知った。

元の場所から約500メートル離れた現在地に引っ越してきた時、しげちゃんは、山を切り開き、木株を取り除き、平地を自分で開拓した。そうして、電車を運んできて、夢のマイホームをセルフビルドしたのだった。

 

十数年前、“出戻り”しげちゃんには、お金が無かった。実家では肩身が狭い。自分の居場所が欲しくて欲しくてたまらなかった。そんな時、亀岡のとある医院の駐車場に置いてあったこの電車を、たまたま通りすがったしげちゃんは見かけた。

「売ります」と看板がついていた。

「これだ!」と感じた。

「俺の求めてきたものは、絶対これだ!」

でも、お金は無い。でも、どうしても欲しかった。医者に声をかけ、正直に気持ちを訴えた。そうして、ただでゲットしたのである。これは、しげちゃんの夢の“本気”さに医者が感動してくれた結果である。

その医院とは、亀岡から大井に向かう9号線沿い右手に「目の博物館」を設けている眼科医院。おそらく、同じような感覚を持つ者同士が互いに反応し、火花を散らしたのだろう。

とにかく、電車をゲットしたしげちゃんは、夢の暮らしに向かってスタスタ歩き始めた。

しげちゃんの夢とは、山で木を生業とすること。

それまでにも、雇われて薪屋の仕事をしていたが、自分で色んな山仕事をしながら、変木を趣味兼商売とする暮らしがしたかったのだ。

何年もの時間をかけて、しげちゃんの“電車ハウス”は、“電車ホーム”となった。

現在、しげちゃんだけでなく、大勢の人たちの“心の駅”として、この電車はある。

 

    

   

田能から二料ヘ向かう道の左、林道田能線(旧明智街道。亀岡の明智光秀が摂津の国に向かうときに、この道を使うことがあったらしい。)の入り口に電車がある。この林道は、2.8km先で、空谷橋へ向かう道と萩谷に向かう道に分かれる。ここから萩谷を抜け、摂津峡(上の口)までの距離は、およそ14km程であろうか。萩谷へ向かう分岐点を右手に向かうと、すぐ左手に岡山(金毘羅山)があるので、岡山林道とも呼ばれる。

 

   

枕木を貰ってきて階段を作り、土地を開墾した時に出た木株も利用。川原で拾ってきた石を白く着色して、花壇の縁としている。この電車は、非常に珍しい車両らしく、運転席付きだから、よけい人の注目を浴びている。電車マニアがよく見学に来る。

 

                         

しげちゃんは、解体請負もしている。とある家の解体のときに貰ってきた朴の切り株を土地の一角に置いたら、そこから根っこと幹が伸びてきた。嬉しくて、これまた解体で出た祠の屋根を切り株に載せた。祠の屋根の向こうから、伸び出した朴の幹が見える。  

 

 

        

                 しげちゃんは、しいたけの原木販売もしている。電車の一番奥の山がしげちゃんのしいたけ栽培場。

 

 

                    

                       寝室棟の電車の横で、ほだ木にしいたけの菌を植え付ける作業をしているしげちゃん。

 

 

             

                “しげちゃん工房のしいたけ原木”として、摂津富田のダイエーでも販売されていたことがある。

 

                     

              

解体現場から貰ってきたブロンズ像。杖を持つ老人らしい。寝室棟の入り口は、解体現場から貰ってきた住宅用ドアで出来ている。廃品利用の感覚は、「ノアの箱家」とも共通している。

 

                       

                   しげちゃんは、猛犬を飼っている。昼間は他家に猛犬を預け、夜になったら迎えに行く。

                      

 

 

              

工房に併設されている作業小屋と焚き火小屋。林道田能線(旧明智街道)際も、しげちゃんの店の一部。私は、しげちゃんのこの字体がすごく気に入っている。ちなみに、「自然木販売」の看板は、解体現場から持って帰った木をサンパツして看板をつけてあるのだが、根っこがまだ生きているので、そのうち・・・。

 

 

                          

                                 焚き火小屋。この煙で竹を燻す。

 

                

          敷地のいたるところに変木がある。どれが売り物で、どれが私物か不明。標語は、彼が自分自身を励ます言葉でもある。

 

                  

             店舗件事務所用の電車。看板によれば、いちおう、“変木屋”らしい。この前庭は、春になると、花木で溢れかえる。

 

 

                   

店舗件事務所棟の裏側。運転席から後ろが無い電車をゲットしてきたので、鉄工所に頼んで電車完成品らしく見せるため、鉄板をつないで車両を長くしたとのこと。際の黒竹も解体現場からゲットしてきた。しげちゃんの敷地に生えている草木は、このような“養子”“貰い子”“拾い子”が多い。しげちゃんのポリシーは、“不用品を生かす”。これは、彼のライフスタイル全般に現れている。しげちゃん曰く、「俺は、山に生かされている。」「自然の恵みで夢を売る。山に転がっている物、そのままでは無用に終わってしまう物に命を与えて提供する仕事がしたい。」

 

                    

                                        店舗研事務所入り口

 

 

                  

               電車に入ってすぐに目に入る看板。いたるところに看板や標語がある。苦しかった頃、自分を励ますために書いた標語なのだろう。

 

     

               しげ工房社長の椅子と応接用椅子。応接用椅子は、廃車からゲットしてきたシート。

           

 

             

              

             

 

 

                 

                            これが結構な値段。ン千円。

 

しげちゃんの作品は、阪急百貨店梅田店や姫路の山陽百貨店などで、ディスプレー用に使われている。(木の根っこやオブジェなど)。実際に彼自身がディスプレー作業にあたることもあるらしい。

京都の有名な“みやこ踊り”で舞妓さんたちが、毎年手にする桜の小枝は、しげちゃんが樫田で伐採してきた山桜から取ったものである。

 

しげちゃんの連絡先:090-3495-1567(樋口重之)


 

 


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