千代田法律・会計事務所 弁護士上條義昭

千代田法律・会計事務所 弁護士上條義昭日記

野田佳彦氏が、残念ながら日本の首相としての能力に欠けていることを示す一例

2012-01-03 17:14:46 | 政治・行政
日本の首相は、内閣の首長であり、国務大臣の罷免権がある(憲法66条1項、68条2項)。また、内閣を代表して議案を国会に提出し、行政各部の指揮監督権を持っている(憲法72条)。其の他、行政府の最高権力者として、国会を解散する権限を含め非常に強い権限を持っている(憲法69条、73条)。

ところが、野田佳彦氏は、上記のような日本の行政府の長である内閣総理大臣であるのに、感覚がずれているのではないかと認められる行動をしており、また今後も行なおうとしている点において、残念ながら、憲法上認められている権限を行使するに値する日本国総理大臣の器では無いことを証明してしまっているように感じる。

昨年12月に、北朝鮮で日本人拉致事件の首謀者と認められる金正日氏が死亡した後、急遽取りやめたが、野田佳彦氏は新橋駅前広場で「支持率回復のための街頭演説」を行なおうとしていた
また、平成24年の新年早々、野田佳彦氏は、「内閣支持率は下落している」ことを認識した上で、増税の実現には幅広い国民の支持が不可欠だとみている。このため、与野党協議と並行して、自ら街頭演説などを行い、国民に直接、税制改革の必要性を訴えていく方針」との新聞報道を目にした。

野田佳彦氏が野党の党首であるならば支持率を回復するとか拡大する手段として街頭演説をすることは理解できるが、政権党の党首で日本の行政府の長である内閣総理大臣であるのに「支持率回復のために街頭演説する」と言うことは、野田佳彦氏が、憲法上に認められている内閣総理大臣の強い地位、強い権限の位置付けを全く理解していないことである

野田佳彦氏の主催する内閣の支持率が低下しているのは、野田佳彦氏が内閣総理大臣として憲法上与えられている権限を適正に行使して、国民の期待していることを行なっていない(有言不実行である)からであり、国民の期待していることは何であるかを承知していながら、憲法上認められている内閣総理大臣の権限を国民の期待する方向に行使しないことによるものであることは、中学生、高校生でも分かる基本的なことである

野田佳彦氏が、憲法上認められている内閣総理大臣としての強い権限を国民の期待する方向には全く行使していないことを棚に上げて、「街頭演説」で支持率が回復出来ると考えていること自体、余りにも浅はかな考えであるのは、容易に認識できることである。

もし、野田佳彦氏が、前回選挙で大勝した原因である国民の期待している税の無駄遣いの徹底排除(公務員給与20パーセント削減、公務員宿舎の徹底的な削減と無駄な公務員宿舎用地(国有地)有効活用、天下りの徹底排除(規制)、特別会計の徹底改革、公務員年金の著しい優遇状態を無くす方向での改正等)を真剣に実施(目的達成)した後、「税と社会保障の一体改革」を提言したのであるならば、増税方向の提案がなされても、国民の高い支持率が維持されている筈である。

ところが、野田佳彦氏を始め、鳩山由紀夫氏、菅直人氏の民主党内閣は、国民の支持を利用した(指導力発揮のヨスガとする)改革実現を忘れてしまっている

鳩山、菅の両氏に続いて野田佳彦氏も、内閣総理大臣に就いてから政策実現のための戦略、その戦略を実現するために戦術を持ち合わせていなかったことを裏付ける。

もし、内閣総理大臣としての戦略と戦術を持っていたら、自分の実現しようとする政策目標を定め、その目標実現のためにいかなる戦術を行使して行くかを優先順位を付けて考えている筈である。そうであれば、まず、前回選挙で国民から信頼されて勝たせて貰った民主党の重要な政策の実現につき、国民の支持をヨスガに党内の抵抗勢力を説得し続けて抑えた上で実現に尽力し、その実現を実績として、その結果に対する国民の評価に寄り続く高い支持率をヨスガとして今回のような「税と社会保障の一体改革」を国会に提出するならば、借金だらけの国家財政ゆえに、国民の反対は少数派になり、野党は反対し難くなることであった。
そのような戦略が全く定まっていないために、全く役立たずの無能と言える人間を国務大臣に選んだりしている。そして本来の戦略実現の阻害材料である人物なのに「適材適所」であると強弁している。もし、野田佳彦氏が本気で「適材適所」である思っているとしたら、「人を見る目」が全く無い首相であることになる。

戦略を持っていない野田佳彦氏に関して言えば、現実は官僚のご機嫌取りを優先する政策の選択方法で、役人の天下り一つを見ても自民党政権時代よりも「天下りした官僚の人数が増えている」という結果のようである
公務員の人件費の削減も、公務員労組である「自治労」「日教組」「国公労」等の抵抗勢力を抑え切れずに全く実現出来ていないというブザマである
東日本大震災の復興財源にするという目的の公務員給与の7.8パーセント削減すら未だに出来ないで、このままでは1年経過してしまうブザマである

そのようなブザマを放置しておいて、内閣総理大臣の強い権限を使って政策実現する行動を全くせず、内閣総理大臣が「新橋等の駅頭で街頭演説すれば支持率が回復できる」という発想をすること自体、現行憲法下における民主主義の政治システムを分かっていないということである。笑止千万の言葉が当て嵌まるケースである。
「消費税増税に向け税制関連法案を通常国会で成立させる」ことが「民主党代表再選に道筋をつけたることになる」考えているようである ことも、感覚が著しくずれているのではないかとしか考えられない

今のような国民の期待を裏切る政権運営をしていて、民主主義国家において、野田内閣に対する国民の支持率が、今後、どんどん下がり20パーセントを切る支持率になることを全然予測していない脇の甘さではないかと思う。


見掛け倒しの「有言不実行内閣」が鳩山、菅、野田と3代続き、国民は飽き飽きしているのが実態である。
国民の多くが、橋下徹大阪市長を何故「リーダー」として期待するのかをも、野田佳彦氏が分かっていないようで、日本人として全く残念至極である。

今の日本の国政には、自民党政権当時から永年にわたり築かれてしまった公務員の既得権等、既得利権を持つ勢力(「特別会計」「天下り」に関する官僚利権等)を敵に回して切り込むことによる行政改革・財政改革が必要不可欠で、地方公共団体でその利権への切込みを敢行した橋下徹大阪市長とか中田宏前横浜市長のような人物(人材)が、国政においても求められているのが正しい民意であるのように考える。


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1 コメント

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野田佳彦退陣 (横山章)
2012-04-05 10:20:02
野田は日本を破壊するかも知れない、恐ろしい人物だ、能力的に疑問を感じる、性格的にも疑問を感じる、彼は日本人か、

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