花冠ブログ句会

主宰・選者/高橋正子 世話人/藤田洋子

今日の秀句

2011-03-02 08:29:35 | Weblog
3月1日(火)
★白色が全てを結び雛あられ/迫田和代(正子添削)
雛あられのいろんな色を白色のあられが結んで、やわらかく、かわいらしい纏まりとなっている。ユニークな視点。(高橋正子)

3月2日(水)
★芍薬の芽は紅(くれない)を今年また/古田敬二
芍薬は牡丹とちがって、土よりやわらかに紅の芽ば出る。「今年また」に、喜びが大きい。(高橋正子)

3月3日(木)
★冴返る畑帰りの向かい風/古田敬二
畑で汗ばむほど精を出して、帰りは、再び戻った寒さの中を風に向かうことに。畑仕事の充足感に、さらに気持ちが引き締まる「冴返る」が加わる。季語がよく働いている。(高橋正子)

3月4日(金)
★春の雪正午の鐘の音をつつむ/多田有花(正子添削)
もとの句は、主語と目的語の関係において、読みづらいので、添削。春の雪はやわらかいものであるが、それが「物」を包むのではなく、「(鐘の)音」を包むところに、この句のユニークさがある。春の雪の降るなかでは、正午の鐘の音も詩情をもって聞き届けられる。(高橋正子)

3月5日(土)
★じゃぶじゃぶと鍬から落とす春の土/古田敬二
「じゃぶじゃぶと」は、日常の言葉であるが、そのことで、水の勢い、鍬の質感などが感じられ、句が生きいきとし、臨場感のある句となった。下五の「春の土」が詩語としてよく効いている。(高橋正子)

3月6日(日)
★菜の花のどの花となく揺れ始む/藤田洋子
菜の花はたがいにどこか触れあって咲いている。どの花か、揺れるとそれが伝わって次々揺れ行く。やわらかな菜の花の咲く風景。(高橋正子)

★ポケットも両手も満たし蕗の薹/黒谷光子
野に出て見たら、ぞくぞくとある蕗の薹。うれしくなって、ポケットにも一杯入れ、まだまだあるので、両手に持てるだけ摘んだ。蕗の薹の収穫も、一度に春が来た喜びも。(高橋正子)

3月7日(月)
★見下ろせば春光の中わが在所/黒谷光子
高いところから、わが住む所を見下ろすと、春光に包まれ、かがやいている。甍も、木々も、土手も、川も、道も。視界に収まるわが在所がどこか嬉しく詠まれている。(高橋正子)

★子が鳴らすぺんぺん草よ野の風よ/後藤あゆみ
野原でペンペン草を摘んで子が鳴らしている。心地よい野の風が吹いてきて、ペンペン草もよく鳴りそうだ。童画のような春の世界。(高橋正子)

3月8日(火)
※該当作品なし

3月9日(水)
★春荒れや強くはためく日章旗/多田有花
日章旗が掲げられるときは、いろいろあるだろう。国旗が空にはためく様は、人に感じさせるところがある。「春荒れ」が、よく効いている。(高橋正子)

3月10日(木)
★如月の山懐の水清し/井上治代
山に深くしみ込んだ水は、山懐に湧き出て澄んでいる。寒さのなかにも春の兆しが見える如月の静かな明るさが読める。(高橋正子)

3月11日(金)
★楤の芽や水ほとばしる湯檜曾川/小口泰與
湯檜曾川は、利根川の支流。「湯檜曾川」という名が楤の芽の芽吹くところをよく思わせてくれる。清冽な句である。、(高橋正子)

3月12日(土)
※該当作品なし

3月13日(日)
※該当作品なし

3月14日(月)
★頂の三角点に蝶降りぬ/多田有花
世の中あるいは自然界には、説明のしがたいものの良さが多くある。この句もそのひとつ。山頂の三角点に蝶が留まった。敢えて意味づけると、山頂、三角点、三角形の翅。危ういがしかし確かなピンポイント。山頂の春の日の輝きである。(高橋正子)

3月15日(火)
★遠蛙さびしき夜や山裾に/河野啓一
春のおぼろ夜。遠く山裾に蛙が鳴いている。遠く聞こえる蛙の声は、それが夜だけに、さびしく思われる。自分のうちのさびしさでもあるのだろうが。(高橋正子)

最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お礼 (迫田和代)
2011-03-02 09:39:27
正子先生
3/1の秀句に 白い色が全てを結び雛あられ の句をお選びいただいて最高に幸せです。そのうえいいコメントまで 心にしっかり刻みます。これまでにしていただいた両先生のご恩は忘れることはできません。有り難うございました。
お礼 (古田敬二)
2011-03-04 20:08:10
正子先生、
芍薬の芽は紅(くれない)を今年また/と
冴返る畑帰りの向かい風/

に選をいただきありがとうございました。
玄関脇に芍薬の赤い芽が出始めました。
少し世話をしましたので、今年は多くの花を期待しています。

向かい風の句は我が家から東へ5kmの畑へ自転車で出かけた折の句です。
Up Downの多い地域ですので帰りは西風に向かってでしたので大変でした。
お礼 (多田有花)
2011-03-06 20:59:41
正子先生、
「春の雪正午の鐘の音をつつむ」を添削いただいたうえ、4日の秀句にお選びいただきありがとうございます。思わぬ春の雪が二日続きました。頂で聞いた鐘の音です。言葉が出てきた順番に句にしました。添削いただいて、句がすっきりとしたのがよくわかります。ありがとうございました。
お礼 (藤田洋子)
2011-03-08 12:43:09
正子先生、6日の秀句に「菜の花」の句を取り上げていただきありがとうございました。嬉しい句評も添えていただき大変ありがとうございました。やわらかな菜の花の揺れに快さを感じました。
お礼 (後藤あゆみ)
2011-03-08 20:26:17
正子先生
7日の秀句に「子が鳴らすぺんぺん草よ野の風よ」を選と句評を賜り、ありがとうございました。
日曜は私の誕生日で、孫が「おめでとう」とぺんぺん草を1本摘んで持ってきて、耳元で鳴らしてくれました。その後、二人で野原や畦道を名もないような小さな花摘みをしながら歩きました。ペンペン草は湿っているとよく鳴りませんが、この日は心地よい風が吹き、ペンペン草も乾いていてよく鳴り、野原での楽しいひとときでした。
「童画のような春の世界」とのお言葉をいだたき、大変嬉しいです。ご指導のお蔭と感謝申し上げます。
お礼 (多田有花)
2011-03-10 17:04:54
正子先生
「春荒れや強くはためく日章旗」を9日の秀句にお選びいただきありがとうございました。近所に手袋製造会社の本社ビルがあります。そこにひるがえっていた日章旗です。前に踏み切りと交差点があり、そこで信号待ちをしていると、ふと目に留まりました。風は南から強く吹いており、春荒れといえるのかも、と思いました。
お礼 (井上治代)
2011-03-11 15:14:44
正子先生
「如月」の句を10日の秀句にお選びくださり、うれしい句評をいただきましてありがとうございます。
御礼 (小口泰與)
2011-03-13 14:05:51
高橋信之先生、正子先生
 「楤の芽」の句を3/11の秀句にお選びいただき、大変に嬉しく感謝申し上げます。
 有難う御座いました。
 今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼 (小口泰與)
2011-03-13 14:12:54
高橋正子先生
 「楤の芽」の句に素晴らしい句評を賜り大変にうれしく有難う御座いました。
 今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼 (多田有花)
2011-03-15 21:40:07
正子先生、
「頂の三角点に蝶降りぬ」を14日の秀句にお選びいただき、句評も頂戴し、ありがとうございます。少し気温があがり蝶が再び姿を見せてくれました。三角点という言葉、考えてみると不思議だと感じました。