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アニマルトラッキングと桐

2015年02月08日 | 地域
首都圏に雪情報の2月5日、当地方は朝から快晴。2月4日は立春で満月。朝方ちょっぴり雪があった。せいぜい1センチにほどだから雪が降ったとは言わない。この時期恒例のスノーシュー探索。動物の足跡と自家の山林の見回りが目的だ。いつものことだからアニマルトラッキング等とゆうのも少し大げさだ。しかし今年の里山はいつもの冬と少し違うウサギの足跡が多いのだ。



スノーシューで歩き始めて間もなく足跡、集落の周りを回って山側に続いている。キツネかと思ったがどうやらタヌキ?かも知れない。水路と土手と畑上の平らな所は、廃寺となった妙音寺の引導場とも言われている場所になる。後にこの足跡はその道に詳しいO氏からテンだろうとの指摘をうけた。



ヤマウサギだ。2羽がそろって歩いたらしい。ウサギを匹ではなく羽と数えたのに諸説がある。長い耳が鳥に似ている。肉が鳥に似ている等言われてきたが、「獣の肉禁忌とされた時代」に「鳥に見立てた」との説。それを裏付ける文献として大正時代に書かれた。南方熊楠「十二志考(2)兎に関する民族と伝説」がある。それによれば「従来兎を鳥類と見做し、獣肉を忌む神にも供えまた家内で食うも忌まず、一疋二疋と数えず一羽二羽と呼んだ由」とある。一般的には一匹二匹の数え方になるだろうが、ウサギとのかかわりがほとんどなくなった今では、誰も数え方等問題にしなくなった。



上の足跡はわからない。数年の探索で初めて出会う。カラスではなくヤマドリだろうか。狩猟免許を持っていた友人T君は、この場所にはヤマドリが必ずいたと話していたことを思い出した。集落で狩猟免許持っていたのは平成になって彼一人だった。鳴り物好きといわれた彼はライフル免許を持ち、さらに打ち上げ花火師だった。亡くなって10年近い、「村のマタギ」がいなくなりこの10年ヤマドリ等を捕る人がいなくなった。捕る人がいなくなっても格別増えるわけでもなさそうだ。それも自然界のバランスなのだろうか。こどもの頃、村には数人の鉄砲撃ちがいた。大人達におだてられてウサギ狩りの勢子をしたことがあった。傾斜の強い杉林でにわか仕立てのウサギの追い出し係、大声に驚いたウサギが頭のはるか上を飛んで逃げたことを思いだす。声を枯らしてのウサギ追いの褒美は「ウサギ汁」だった。あの頃は里も山も冬はウサギの足跡はいたるところにあった。



いつもの沢を超えて杉林に入ったらウサギの他にこの足跡。あまり大きくなさそうだ。2,3日前のものか、歩いた足跡の上に雪が少し、鳥か獣かわからない。



これは数日前のタヌキ?の歩いた所を今朝方ウサギが通ったようだ。この足跡も先のものと同じと思える。タヌキではなくテンということになる。夜行性のテンはまだ見たことがない。ここ3年ほどの探索で初めて出合った足跡になる。町の中心部から1kも離れていない場所、動物の種類が増えたような気がする。



木の芽等が雪に隠されてしまうこの時期、若杉の根元には雪が少なく枯草か木の芽があるのだろう。ほとんどの杉の木の根元に足跡がある。昨晩はおだやかな天気の満月だったから、この杉の木の周りでウサギの井戸端会議があったらしい。満月にウサギはお似合いだ。



集まり後散会、四方に分れた。上の写真は一緒にこの場所から離れ並んで歩いた足跡。なにかほほ笑ましい、親子のウサギだったのだろうか。ここ20年ほど前からこの地域でヤマウサギが激減していた。反面キツネが増えていた。この近くの草地には親子づれのキツネが毎年のように出てきていた。ヤマウサギの激減はキツネのせいだろう等話していたが、今年はウサギの足跡が多い。数年君臨してきたキツネの世界に変化が生まれたようだ。

この冬は雪の少ない分、杉林の被害がほとんどなかった。雪折れ、倒木がないのは数年ぶりだ。被害といえば一本の桐の木が雪の重みで倒れていた。酪農拡大を目指して昭和52年一部傾斜30度もあった雑木林を草地に変えた。草地の切り土部にどこから飛んできたのか桐が芽を出した。草地管理の傍らこの桐の木を残してきた。切り土の肥えた土と草地の養分で一本の桐の木は年々大きく育った。

30年近くもなると直径40㎝位にもなっていた。かつては村にも、桐の木を買う業者が回ってきたが近年ほとんど来ることない。湯沢地方は桐の産地と云われている。数年前、伐採し桐市場へ搬入等と考えていたが、伐る前どういうわけか枯れてしまった。枯れた桐の木もここ数年の大雪に耐えていたが、この冬の雪でとうとう倒れてしまった。倒れた桐の木はこんもり雪の山になっていた。ここにもウサギの足跡があった。数年切崖、八坂神社を中心に昨年まで見られたカモシカの足跡はない。この冬からエリヤを変えたのだろうか。少し気になる。
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