丸さんが毎日お宅から眺めて待望していた比良山系最高峰へ登る。私たちにとっては若い頃に何度も登っている山だが、長い間遠のいていて実に1981年夏に子供たちと登って以来32年ぶりになる。しかも西側からは初めてで、どんな山行になるか楽しみだ。
南草津駅でピックアップして貰い、真っ青な空を背にした比良山系を見ながら琵琶湖大橋を渡り、途中から安曇川沿いに367号線を北上する。様々な緑色に染め上げられた山肌に薄紫色のフジの花模様が浮かぶ美しい光景を見ながら、花背トンネルを抜けて葛川に入り、坊村の地主神社前へ駐車。既に数台の車が置いてあり、隣の車から中年のカップルが出発するところだった。
駐車場所の横に登山口道標があり、奥の深谷コース、白滝山コース、白谷コースなどの分岐になっている。私たちは最短時間の御殿山コースをとるのでポストに登山届を入れて、左に見える赤い三宝橋を渡る。
平安中期創建の修験道の古刹・葛川明王院を見て護法堂横から登山道に入ると、いきなり急登が始まる。
薄暗い杉林の中を短いジグザグを繰り返しながら、ひたすら登る。日陰で涼しいので助かるが、かなりの勾配である。
10時、クヌギやブナの大木が混じる明るい疎林に入る。足元にはまだ葉だけのトリカブトが群生している。木の幹にヘリコプターの絵の付いたレスキューポイント「御殿山1」の標識があった。
しばらく緩んだ傾斜が再び急になって、登りきると尾根上の小さな台地に出た。ここが「レスキューポイント2」の846mピークらしい。しばらく休んで水分を補給する。
歩き出すとすぐに冬道との分岐があり、壊れかけた指導標に従って右の山腹に付けられた道に入る。
この辺りにはチゴユリがたくさん咲いている。
右側はざれた急斜面で谷に落ち込んでいる捲き道をしばらく行くと別の支尾根に突き当り、広い涸れ沢状のところを登る。
右の支尾根に取り付いて再び林の中の急登になり、ジグザグに登りきると「レスキューポイント4」標識がある小さな広場に出た。
西側が大きく開け、京都北山らしい山々の連なりが望めた。そちらの方から姿を現した男性3人組と話を交わす。冬道を来るとちょうど反対側からここで合流するようだ。
傾斜は少し緩んだが相変わらず登りが続く。最後の急坂を登りきると御殿山1097mである。
小さなピークながら行く手の北に武奈ヶ岳、
南に思いのほか近く蓬莱山など360度の展望が広がった。(続く)