ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

万緑・竜王山(2013.05.05)

2013-05-06 08:57:42 | 山日記

爽やかに晴れ上がった子供の日の朝8時。この時間には珍しく長岳寺駐車場にはすでに10台の車が先着していました。「頂上は混雑しているやろな」と話し合いながら楼門を潜り、参道のツツジのトンネルを抜けて行きます。


本堂へ続く白壁の塀を左に折れて境内を出て、青々した若葉の柿畑の中の急坂を登ります。足元には可愛い黄色や紫の野の花が群れ咲いています。暗い山道に入る手前には筍がいくつも並んで頭を覗かせていました。真新しい排水溝ができて、お地蔵さんが少し動いておられます。




ジメジメした場所や露出した岩盤、木の階段道など同じような所を何度か通過して、まだらロープの張ってある急坂を登ります。


長岳寺から40分ほどでお不動さんと石箱仏の並ぶ処にでると少し傾斜が緩みます。近くにひっそりとチゴユリが咲いていました。再び急な木段道を登って、しばらく杉の植林の中の平坦な尾根道を歩きます。山頂まで0.8kmの地点に奥ノ院への分岐があります。


少し遠回りになりますが、久しぶりに奥ノ院にお詣りしようと山腹の道に入りました。緩く下って、あとは水平な道を300mほど歩きます。古墳の横を通る辺りからは何年か前の台風で荒れて倒木もあり、道も以前とは変わったところに付けられています。


奥ノ院には建物はなく、この肉厚の石のお不動さんが立っておられるだけです。鎌倉時代のこのお不動さんは、他の怖い顔のお不動さんと違って、若々しく優しい顔をしておられます。




奥ノ院からはすぐ柳本古墳群から登って来る道と出会います。ここから山頂までは1km。途中に何ヶ所かある急な階段道を登りきると、奥ノ院分岐から直進してきた道と合流して舗装林道に出ます。いつもの田竜王社の方に行かずに、柳本竜王社への山道に入りました。


ここまで誰にも会わずに来ましたが、頂上直下で賑やかな話し声が聞こえて若いペアが降りてきました。女性はなんとスカートに革靴。おそらく舗装林道を車で来たのでしょうが、賑やかな頂上の様子を思って一寸うんざり。ところが意外にも頂上三角点(586m)のある南城址には人影がなく、まったくの貸切状態でした。歩き始めて1時間半、まだ9時40分ですが、長岳寺駐車場の車の数が嘘のような静かさです。
 空は晴れていますが靄がかかったようで遠目が効かず、明石大橋はいうに及ばず金剛葛城、二上山、生駒山も見えません。僅かにすぐ近くの畝傍山や箸墓など
を見下ろすだけの展望です。


コーヒータイムの間に登ってきた人が頂上を後にすると、また二人きりになりました。「人がいると、こんなこと出来んなあ」と変わり番コにアスレチック風遊具に登っていると、頂上に姿を現した単独行の男性にしっかり見られてしまいました。それを汐に南側へ下ります。

長谷寺への道を分けて急坂を下ると、植林の山腹を捲く道になり、咲き終わった桜が並ぶ草地からいつもの案内板の上の分岐にでます。田竜王社前のショウジョウバカマは花が終わり、すっかり背が高くなっていました。わざわざ遠回りして下ったのに、まだ10時を過ぎたばかりなので、これも久しぶりの北城址に行くことにしました。


天理ダムに続く舗装林道を何度か曲がりながら降りていくと、北城址の一角、馬池(昔、馬を洗った池の跡、干上がっている)を過ぎ、大きな石碑から左の山手に入ります。林の中に土居や虎口の遺構を見ながら登り、最後に壊れかけた木の段が残る短い急坂を上って北城址にでました。


ここは南城址にも増して訪れる人も少なく、いつ来ても人に出会ったことがありません。昔はワラビがいっぱい採れたのですが、今はその楽しみも少なくなりました。ぐるりと歩き回っただけですぐに引き返しました。
 帰り道は長く感じる舗装林道を歩くのが嫌で、馬池から「散策路」に入ります。ピークを二つ越える木の階段道が続く道ですが、殆ど歩かれていないようで階段の木に苔が生えたり、土が崩れて掘れたりしている個所もありました。途中の展望所は柵が壊れて危ないほど荒れています。短いが結構いいトレーニングになる急な道を上下して、二つ目の休憩所で腰を下ろして水分補給。広い階段を降りると、すぐにトイレのある下山口に出ます。
 先ほど南城址へ登ってきた人が私たちの前を下っていきました。ちょうど11時、いつもの道をどんどん下るうちに、何人もの人が登って来るのに出会いました。やはり人気のある山だと思うと、なぜだかホッとします。


ツツジが見頃の長岳寺境内はカメラを持った大勢の人で賑わっていました。正午、ガードマンも出ている満員の駐車場に帰り、満山溢れるばかりの緑の中を歩いた今日の山歩きを終えました。