昔 実家で、学生だった甥が
私の目の前で
化学の原書を 黙々と読んでいた
子供の頃から 理数が大嫌いな私は
（その、どこが面白いの？ と
聞いた途端
甥の母が登場し、
（詩のどこが、面白いの？ と
やり返した
仕方なく、黙った
面白い詩
皆が 面白いという詩
皆が 分かる詩
は、
どこに あるのだろう
日々 模索する
詩は 売れない、
簡単なことだ
面白くないからだ
金子みすゞ・柴田トヨ
相田みつを
茨木のり子「倚りかからず」
だけでは、余りにもさびしい
甥は その後その道に就職し
母が （何をしているの？ と聞くと
（企業秘密。 と応えたそうだ
あれから、
甥は その道をつゞけ
私も又 詩を書きつゞけ
中年と
老年になった
どこかに
面白い詩、ないか
教えてほしい
「あったら、買うよ」
甥の母と
私とで 言う
誰が
詩を 読むのですか、
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