鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

【設定解説】 「MT」って何ですか?

連載小説『アルフェリオン』、今回は武器の設定の解説です。

本編に出てくるMTソードやMTシールドの「MT」って何ですか?という疑問を持っていた方も少なくないと思います。MTナントカという類の武具、見た目はガンダムシリーズのビームサーベルやビームシールド(爆)のようだけど、でも、この小説はあくまで剣と魔法の世界が舞台だし…一体何なんだ? 以下、検証してみました(^^;)。

 ◇

作品中では、第1話でアトレイオスのMTシールドがひそかに登場しており、第5話に初めてMTの説明が少しみられる。MTは、イリュシオーネの古典語「マギオ・テルマー」の略。マギオ・テルマーとは、直訳すると「魔法の武具」という意味である。ならばMTソードは魔法の剣であり、MTシールドは魔法の盾だということになるが…。「魔法の~」と称していても実際はどうなのだろう? 第5話では、MTソードは「魔法力を収束した光の剣」と書かれている。この「光の剣」が何でできているのかが問題だ。

実は、MTソードの外見がビームで形成された剣を彷彿とさせることからも想像できるように、攻撃の効果に関する限り、MTは、SFのロボット物に出てくるビーム兵器とほとんど変わりがないのだった…。いや、一応、この作品はファンタジーなので、ビームソードとかレーザーブレード等々という言葉を真正面から使ってしまっては、身も蓋もなくなってしまう(笑)。とはいえ、SF作品の場合と同様にビームの武器を作り出しているわけではない。

MTの光の刃を形成する粒子は、基本的には現実界の物理法則下にあるが、なおも魔法力の影響を一定程度受けているものと思われる。MTの発展版である帝国軍の開発中のPT(プシュカ・テルマー)が、エクターの思念に応じて自在に形状を変化させるという点からもそれはうかがえる。PTを形成する粒子も、基本的にはMTとそんなに違いはない。その粒子が人間の意思に応じて動くということは、これはもう普通の科学の範囲を超えて、超能力やオカルトの領域である(^^;)。上記のようにMTソードが「魔法力を収束し」て作られるというのは、厳密には、魔法力に反応する何らかの粒子を収束して作られるという意味であろう。

〔余談〕 ちなみにPTを搭載しているのは、当面は帝国軍のルガ・ブロアとパ・シヴァーのみの予定。ただルガ・ブロアの場合、本来はゼーレムの試験用の機体である。とりあえず最新型なので新しい武装は何でも取り入れてみた、というレベルでPTも搭載しているにすぎない。PT兵器の本格実用機第一号は、むしろパ・シヴァーの方になる、らしい。余談終わり(余談というよりネタバレでは?)。

残念ながら、旧世界人の開発したMTの原理は、現世界ではもはや失われてしまっている。アルマ・ヴィオ本体同様、その武器に関しても、現世界人は得体の知れないオーパーツ(!?)を敢えて使っているというわけである。おそらくは、この物語に時々出てくる「アスタロン」(魔法力を伝達する媒質として仮想されているもの)に対して何らかの働きかけを行うことにより、魔力の伝達をコントロールし、魔力に反応する粒子をそれによって収束させているのであると考えられる。

だが、MTを形成する粒子自体は、単に魔法力に「反応」する性質をもつのみであって、それ自体に何か特別な魔法の力を帯びているというわけではない。つまり、攻撃の効果に関していえば、通常のビーム剣と何の変わりもない(苦笑)。実体をもつ剣(例えば鋼の剣)とは確かに異なるが、広義の「物理攻撃」に属する武器であって、魔法攻撃を行うものではないのだった。ファンタジーRPGに出てくる炎の剣や吹雪の剣など、魔法による追加ダメージを与えることのできる武器とは、根本的に性格が違うのである。ただし、ゲームと同様、MTに呪文をかけて魔法で強化することはあり得るだろう。

そういえば小説本編の中で、MgSの通用しない(=魔法の効かない)相手に対しても、MTだけはなぜか有効である。一見、これは不思議だ。しかし上記の通りMTが物理属性の攻撃を行う兵器であることから考えれば、不思議ではなくなる。MgSを反らしてしまうレプトリアに対し、ギルドのエクターたち(第27話)やレーイ(第34話)がMTでの戦いに切り替えたのは当然の選択であったのだ。

アルフェリオンのステリア・ソードに至っては、従来からもはや完全にビーム兵器としかいいようのない描写が行われていた。いや、第9話には「アルフェリオンは、敵のそれよりも遙かに強いビームを右手から発射した」(笑)と、はっきり書かれていたりする。

なお、以上の話からして、MTシールドの効果もあくまで物理防御限定である。ということは、魔法攻撃に対するMTの防御力は…。まぁRPG等の場合に、何の魔法も掛かっていない鋼の盾が、敵の呪文を跳ね返したり無効化したりはしないまでも、しばしば炎や氷の魔法のダメージを一定程度は減らすことができるというのと、同じようなレベルである(^^;)。実際にはMgSの魔法程度なら、魔法の代用品、いわば疑似魔法のようなものなので、MTシールドでも結構防げるのだった(それは本編の中でも明らか)。ただし相手が魔法戦型のアルマ・ヴィオで、ランブリウスを使って「本当の」呪文を放ってきたら、MTシールドで防ぎきるのは到底不可能…。

 ◇

なお、武器の設定解説ついでに、近日中に『アルフェリオン』世界の似非魔法科学(苦笑)の核心をなす、アスタロンとパンタシアについても解説してみたいと思います。大昔に本家サイトに少し書いたことはあったのですが、現在のお客様のほとんどは、ご覧になる機会がなかったのでは…。パンタシアに関してはじきに詳しい解説が本編でも出てきますが、アスタロンについてはイマイチ不明のままです。そのわりには「アスタロン速度干渉結界」とか、意味不明なモノが出てきたりしていますし。

『アルフェリオン』におけるアスタロンとパンタシアの設定というのは、いわばガンダムでいえばミノフスキー粒子みたいな部分、ガンダム00でいえばGN粒子みたいな部分、要するにメカの設定に関して核心をなす要素ですからね(^^;)。

以上
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やっと主人公のターン?

連載小説『アルフェリオン』第32話「光、はかなく」の再掲が始まりました。

この回に至って、ルキアンがようやく主人公らしく、覚悟を決めたセリフを口にするようになって参ります(そりゃ、もう32話なんだから、いい加減に主人公らしくなってもらわないと…)。市長らが抗戦派に監禁されている市庁舎に、ミトーニアを戦火から救うために市民たちとともに向かうルキアン。そこに立ちふさがるのは、局地戦用の重装甲型のティグラーに乗った謎の女傭兵。彼女は一体…。

「光、はかなく」というサブタイトル、何だか不幸な響きです。戦いを止められるかもしれない!というルキアンの思いが、微かな光が裏切られるような、そういう展開が待っているかもしれません…というわけです。でも陰鬱な展開にはなりませんので、ご安心ください。

このあたりから、地味に話が盛り上がって参ります。それでもまた第33話に入るとルキアンが空気になったりするのですが(おい)、ご心配なく。ミトーニア編の最後では、ルキアンが大活躍します。第1話以降、主人公ルキアンにとっての最大の山場が来ますので、ご期待ください。出るか、超覚醒!?(笑)

以上
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あらすじ追加+最新話(本館にて)の情報

1 「あらすじ」更新

連載小説『アルフェリオン』の「あらすじ」を久々に更新です。第20話第21話~24話までの部分を追加しました。

20話台の前半は、息苦しい展開の比較的多い箇所です。主人公のルキアンは迷い続け、苦しみ続けます。いや、この頃のルキアン、底なしのダメさ加減です。でも、ここを何とか読み通していただくと(汗)、ストーリーにも光明が見えて参ります。

この物語にしては珍しく、第24話には暴力的な描写がしばしば出てきます。そういった箇所をご覧になりたくない方は、「あらすじ」を読むに留めてください。ただし第24話は、ストーリー上、重要な回ではあります。シャノンたちを守れなかったことは、ルキアンの心に悔悟の思いと共に深く刻まれます。「優しい人が優しいままで笑っていられる世界」のために自分も戦うのだと、彼が決意するうえで最大の転機になったのでした。また、第1話から延々とルキアンにつきまとう謎の声(あるいは黒衣の女の幻)も、ついに正体を現します。

2 ネタキャラさえも容赦しない、ファルマス様の凶悪ぶり?

現在、本家サイトの方の『アルフェリオン』最新話は、第41話(その2)です。なんと、あのネタ担当の眼鏡っ子・リーン嬢が大ピンチ! いや、上からタライが頭に落ちてくるとか、爆発に巻き込まれて髪型がアフロになるとか、トラックにひかれてペラペラになるとか、そういうピンチではないです(^^;)。シリアスな意味での、本当の危機に陥っているのです(汗)。彼女をよく知る本家の読者様にとっては、ある意味で超展開(!)になってしまいました。

リーンにツキが無いのは毎度のことです。しかし今回の彼女は、持ち前の運の悪さをよりによってファルマス様に利用され、罠にはめられてしまいます。ネタキャラ補正すら無効化してしまうとは、ファルマスの非道ぶりとキレっぷりは、もはやとどまるところを知りません。パラス機装騎士団の副団長ファルマス・ディ・ライエンティルス様、本当は美形で天才の聖騎士という素敵設定(笑)のキャラだったはずなのに、いまや、この物語一番の悪役かつ変態(^^;)にまで大化けしてしまいました。まぁ、今でも美形は美形だし、天才は天才なんですけどね。

それにしてもリーン嬢、前回(41話・1)の最後の場面で豪快にずっ転んでいたばかりなのに、その直後に鬱展開がやってくるとは…。何とおそろしい、お約束破りの物語なのでしょう。でも、助け出してくれる白馬の王子様になりそうなキャラには、まったく縁のないリーンさんです(涙)。この最大の危機を彼女はどうやって切り抜けるのでしょう。いや、切り抜けられなかったりして?

以上
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【解説】 ルキアンの「戦い」と、その背景

連載小説『アルフェリオン』、そういえば第30話に入って以降、主人公のルキアンがまだ一度も出てきませんね(^^;)。裏の主人公(?)ことアレス君が活躍する回には、ルキアンは空気になることが多いのです。

ルキアンは30話の後の方でようやく復帰します。しかし30話以降、当分の間、ルキアンに関しては地味展開が続くと言えるかもしれません。他のギルドのキャラたちが激しい戦いを繰り広げる中、ルキアンは敵と「対峙」し続けます。しかし「戦いを止めたい」というルキアンの想いが、彼なりに明確に行動に出るかたちになります。そこに彼の地味ながらも確実な成長がみられます。

そして数話後には…。ミトーニアをめぐるルキアンの行動の結末は、超展開気味かもしれません(笑)。でも燃えますよ。燃えた後に新たな鬱&地味展開。なんというループ…。それでもルキアンは、ループするごとに成長し、次第にこの悪循環に抗うようになってゆくのでした。30話台の後半では、ルキアン、ただ迷うだけじゃなくて頑張ってますもん。

 ◇

戦いを止めるために、あるいは戦いをなくすために戦う、という展開は、例えばSEED以降のガンダムシリーズにも延々と出てきます。現在放送中のガンダム00にも(^^;)。勿論ずっと昔から物語のテーマとなってきた問題であるにせよ、特にアメリカの同時多発テロ事件以降、「戦いを止める戦い」という類の設定はアニメや特撮にも多く、他にも例えば仮面ライダー龍騎の主人公の立場がそうだったといえます。が、それらの作品とはまた違ったかたちで、ルキアンは戦いを止めるための行動を取っています。今回のルキアンの行動は、ひとつの都市をめぐる戦いを止めさせたいという小規模なものであるにせよ。

やがてルキアンの行動は、イリュシオーネ全体レベルでの戦いを終わらせたいという方向に変わってゆくでしょう。あ、そうなの? そんな展開は破綻しそうだから、もうこの小説を読むの止めた(^^;)とは言わないでください。オチはきちんと付けます。最終回の内容も、もう決まっています。

たしかに「戦いを止めるための戦い」というのを、説得力をもって描くのは極めて困難です。ガンダム00のソレスタルビーイングではないですが、基本的に矛盾しているからですね。ただ、そこは反則っぽくなるのですが、『アルフェリオン』は結局のところはベタなファンタジー物なので、うまく逃げ切る方法はあるのです(姑息?)。ぶっちゃけた話、人間同士の戦いの裏に「黄金仮面」や「あの存在」が見え隠れしていますし…。これって、文脈は全然違いますが、ガンダム00に宇宙人を出したら話がすべて矛盾無く収まるよ(爆)という、禁じ手的な展開と同じような臭いもするのですが…。しかし、人間の組織した秘密結社等を戦争の黒幕にすると、この黒幕自体も結局は当事者(=人間)ですから、どう考えても上手くいかないんです(※ 特定の作品を批判しているわけではありません。念のため)。私の頭が足らないからかもしれませんが(^^;)。「戦いを止める戦い」を描いた物語を、純粋なSFを通じて説得的に書き切る自信は、私には正直ありません。

 ◇

2001年のテロ事件発生の頃、現実と同時進行でアルフェリオンも本家にて連載されていました。リアルタイムだったため、あの事件の作品への影響は多大なものがあります。しかも事件前から物語に登場していたエインザール博士についていえば、ご承知の通り、彼が行った行為は天空植民市に対するテロであると言わざるを得ない側面もあります。それゆえ、余計に同事件を意識せざるを得なかったのでした(勿論、それだけが意識の理由ではありませんが)。端的に言えば、主人公のルキアンは、形の上ではエインザールの後継者ですからね。ルキアンが単純にエインザールを褒めたり、エインザールの使徒であることに「御子」たちが安易な誇りを感じたりしてしまっては、主人公たちがテロを肯定しているのと同じような事態になりかねません。

ただし『アルフェリオン』は、我々の現実の世界と結びつく要素の全く無い、完全なハイ・ファンタジーの世界を舞台にしています。そのため、あまり生々しい話にはならないのですが(実際に存在する国も作中に出てくるガンダム00を見ていると、色々な意味でよくやるなぁと思います)。強いて言えば『アルフェリオン』の「旧世界」の部分は、SFに出てくる未来の地球とその周辺に似ています。例えば「天空植民市」は、モロにスペースコロニーの直訳…。「世界樹」は、まんま軌道エレベーターです。さすがにスペースコロニーや軌道エレベーターという表現をそのままファンタジー物に出すのは、美的センスを疑われるでしょ?(^^;)。しかし、魔法の存在等のことがらを通じて、旧世界が我々の世界と違う世界だというのは明らかです。我々の世界の無数の平行世界のうち、非常に大きく異なる特徴を持った平行世界のひとつだと考えることは可能?かもしれません…。その程度には似てますね(苦笑)。その点、どう解釈するかは読者様に委ねます。

とりとめが無くなって参りました。以上、大風呂敷を広げすぎた感もあります。ミトーニアでのルキアンの今後の「戦い」をお届けする前に、読者様にぜひ読んでおいていただきたかったもので、つい立ち入った話になってしまいました。本家の読者の皆様、遅くなってすいません(何年経っているんだ)。しかし本家に30話を掲載した当時は、本編を更新するだけでも精一杯、こういった裏話や解説のような記事まで書く時間的余裕はまったく無かったのでありました。

鏡海
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年頭ご挨拶の補足?

元旦の更新の際、時間の都合のため、年頭のご挨拶をごく簡単なかたちで済ませてしまいました(汗)。以下、もう少しだけ付け足しておきたいと思います。

昨年2007年は、小説『アルフェリオン』復活の年でした。この作品は、1998年3月から本家サイト「鏡海庵」にて連載されながらも、第33話の途中で止まったまま、ここ数年ほど休眠状態にありました。昨年、おかげさまで鏡海庵が更新を再開し、このブログ「鏡海亭」も別館として新設されました。そういえば今年の3月には、『アルフェリオン』の連載開始10周年を迎えることになります。まぁ、その10年間には、通算で5年くらいは更新が停止している時期も含まれるのですが(半分は休みか?というツッコミは無しで)。

ひとつ気がかりなのは、近いうちに原稿の「ストック」が尽きてしまうことです。ブログの方で再掲している『アルフェリオン』のバックナンバー(現在・第30話突入)が、数ヶ月後には、本家サイトの最新話(現在・第40話終了)に追いつくと予想されます。それ以降、日替わりの更新は困難になります…。そうなった場合、本家「鏡海庵」の方は今と同様に週一回更新、その最新話を翌週にブログ「鏡海亭」の方で数回に分けてアップする、というかたちで両者を使い分けるのもよいかと考えています。常に最新話を読みたいという読者様と、マイペースで徐々に読みたいという読者様――それぞれのニーズに合わせて本家と別館が「住み分け」できればよいですね。

『アルフェリオン』の物語そのものも、今年は激動の展開に入ります。10年かけて準備してきた状況設定、伏線、キャラ、それらが合わさって遂に花火となって打ち上げられる!という段階に入ったと言えるでしょう。相変わらず情けない部分の多いルキアン、主人公としていかがなものかとは思います…。でも昨年以来、そんなルキアンにも見せ場が増えてきました。今年の彼はもっと活躍します。

超展開と超覚醒の嵐で、るっきるきにしてやんよ!(^^;)
…な、2008年です。

以上、年頭挨拶の補足でした。どうか今年も応援よろしくお願い申し上げます。
何よりも、皆様にとって幸多き一年でありますように。

鏡海
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新春恒例(?)ネタバレ大会

連載小説『アルフェリオン』に関して昨年末・12月31日に掲載した、物語の今後に関する「ネタバレ大会」(?)の続きをお送りします。本家の最新話に続く、第41話~第50話の部分が対象となっています。とはいえ「謎解き」にかかわるような(狭義の)ネタバレは、さすがに少ないです。主に登場キャラに関する情報の「先行紹介」が中心となっています。

後半戦の今回では、第47話~第50話が対象となります。各話のサブタイトルは以下の通り。前回掲載したものと同じです。

 第47話 レンゲイルの壁
 第48話 鏡のシェフィーア
 第49話 舞い降りた騎士
 第50話 黒いアルフェリオン

例によって、以下の記事は白地に白文字で書いてあります。敢えて読んでみたいと思われる方は、マウスでドラックして文字を反転させてご覧ください。


○ 第47話 レンゲイルの壁

反乱軍の拠点にして、外敵に対するオーリウム王国の守りの要、それが要塞線「レンゲイルの壁」です(以下、「壁」)。皮肉なことに、反乱はまさに「壁」から勃発し、しかも「壁」が今なお反乱軍の拠点となっているのでした。この要塞線を正規軍側(議会軍とこれを支援するエクター・ギルド)が奪還できない限り、間近に迫る帝国軍の侵入をオーリウム王国が防ぐことは不可能です。

クレドールをはじめとするギルドの飛空艦隊は、「壁」をめぐる決戦に間に合い、参加することができるのか? ナッソス家が頑強に抵抗すればするほど、ギルド艦隊は足止めされてしまいます。もっとも、主役たちが決戦に「遅刻」し、味方のピンチを救いに後からおいしいところで登場するというのが、この手の物語の王道ではあります。

ギルド艦隊はともかく、決戦に当初から参加するであろう主要キャラといえば、正規軍の側ではカリオスとクロワです。人数や物量で勝る正規軍ですが、エース級の名有りキャラの果たす役割が、こういう「物語」の世界では大きな鍵を握ってしまうものです…。そういう意味では、カリオスとクロワが居るのは心強い。ギルド最強のエクター、しかも「御子」であるカリオス。議会軍のエースで、なおかつヒーロー補正(?)のかかりそうなキャラ設定のクロワ(^^;)。これは心強い。

しかし反乱軍の方にも、黒の貴公子ことミシュアス、それにヴィエリオが待ちかまえています。特にヴィエリオのアルフェリオン・ドゥーオが厄介。カリオス+キマイロスなら、ヴィエリオ+アルフェリオンとも互角に戦えるかもしれません。設定上、幸いにヴィエリオはプロの繰士ではありません。結局のところ、センスの良い素人が超高性能の機体に頼って圧勝しているという次元ではあります。そこに勝機が…? しかしヴィエリオは優秀な魔道士です。凡庸な魔道士見習いルキアン(泣)とは違い、本格的に魔法を使ってくるかもしれません。対するカリオスは魔法を使えません。ともかく相手は「アルフェリオン」ですから、その性能を発揮される前にヴィエリオを圧倒しないといけませんね。タイミングの悪いところでステリアン・グローバーを一発撃たれただけでも、議会軍とギルドの部隊が一瞬で全滅という最悪の結果もあるわけです…。

 ◇

何だかネタバレというより、誰それの活躍をご期待!というキャラ萌えの煽りみたいな話になってしまいました。そのついでにひとつ。以下は本当にキャラ関係のバレです。

反乱軍には、もう一人、凄腕のエクターがいます。お忘れではありませんか? そう、敵のトップである「メレイユの獅子」ことギヨットです。ボス自らが指揮を配下に委ねて出撃してくるという事態は、現実の戦争ではあり得ないでしょうが、ガンダムなどでは定番ですね(^^;)。

実はギヨット専用のアルマ・ヴィオについても、本家の「キャラ便覧」の方に以前から名称が載っています。「プロト・レオネス」です。議会軍のレオネスのプロトタイプでしょうね。しかもクロワの愛機はレオネス。何という偶然!。ウソ、思いっきり狙ってました(笑)。熱血するクロワを軽くあしらいつつ、「まだまだ若い…」などと言ってギヨットが渋く決めてくれたら、それはそれで燃えます。

ギヨット卿の軍人時代の元副官か何かであろう、ゾルナー君のアルマ・ヴィオの設定もすでに「キャラ便覧」に出てきています。ブラック・レクサーです。ゾルナー君もこの機体に乗ってギヨットを支援したり、このあたりで見せ場を作ってほしいものです。いや、地味キャラの彼が急に目立つのは、むしろ死亡フラグか? ただし、この物語の中では――「一応は名有りキャラ」+「地味キャラもしくはダメっ子」+「そのわりには、やればできそうなキャラ設定」という条件が揃うと、いきなり超覚醒する危険(笑)も出てくるのであなどれません。ここでいう「超覚醒」というのは、必ずしも戦闘時に急激に強くなるということだけを意味するのではありません。例えば「脇役キャラ→主役級キャラ」、「モブキャラ→ライバル」、「ネタキャラ→ヒロイン候補」等々といったように、物語の中でのポジションや役回り自体が劇的に変化することも意味しています。将棋の「歩」が「と金」に成るのに似ています(^^;)。いや、チェスのポーンがクィーンになるレベルでの進化ですが…。

 ◇

「レンゲイルの壁」の決戦にからんで、主人公のルキアンの動向は? これまた凄いことをやらかしてくれます。こんな主人公ありかと言われて久しいルキアンですが、この展開はさすがに…。期待です。いわゆるwktkというやつです(^^;)。決戦の場に着く前に、主人公機が敵の無名の一兵卒に打ち落とされるとか?――ルキアンならやりかねません。嘘。さすがにそれはないです。いや、ある意味でまだそれの方がマシ、かもしれませんが(期待期待)。

とはいえ、主人公を降板させられそうな失態をどんなにさらしても、最後の最後には逆転するのがルキアン…ということも従来のお約束ではあります。ともかく、この「決戦」に関するルキアンの動きについては、超展開に次ぐ超展開(!?)の嵐となるでしょう。早く書きたい。

○ 第48話 鏡のシェフィーア

「いつかまた会おう」だの「それまで生きろよ」だのと言って去ったキャラは、一般に、その後は当分出てこないものです。そういった発言自体が、二度と再会できないフラグを意味することさえしばしばです。しかも主人公に対してそんな発言をしちゃったキャラは、死亡フラグを背負ったことにさえなりかねません。

ところがやってくれます、シェフィーアさん。そんなお約束やフラグは片っ端から粉砕。まぁ、彼女はミルファーン王国を一人で代表する立場のエクターですから(厳密にはレイシアと二人三脚?)。活躍してもおかしくはないでしょう。しかし第48話で単にシェフィーアさんのターンがくるだけだったら、こんなに騒ぎませんよ…。これは大バレです、シェフィーアとルキアンは再会します!(@_@)。そうなると、どこで、どういうシチュエーションで、何のために会うんだ?という疑問が生まれます。それは内緒。

問題の「鏡のシェフィーア」という通り名が意味するものは? 詳しくは申せませんが、シェフィーアさんの繰士としての特殊な能力に由来すると思ってください。彼女は、実はイリュシオーネ全体でも最強レベルのエクターです。

○ 第49話 舞い降りた騎士

誰が舞い降りるんでしょうか? このサブタイトルだけだと、想像の余地がありすぎますね。暴露してしまうと、舞い降りるのは帝国軍の機装騎士、ライ・ド・ランツェローです(^^;)。「ブレニエル・パス」という回が少し前にあります。多分、パ・シヴァーを密かに運ぶ帝国の輸送部隊を、ガノリスのレジスタンスがブレニエル・パスにて襲撃するのでしょう。そこにランツェ郎が割って入って邪魔をするという話でしょうか? ロスクルス隊長とライが剣を交えるところも見てみたいものです。

本家の方でも時々BBS等に書いていますが、ライをはじめアプゾルス関係のキャラは、かわいそうな役回りなんですよ…。第49話よりも話題が広がってしまいますが、以下、漠然とした今後の展望について少し。

凶悪な敵キャラが悲惨な展開に追い込まれるなら、まだ因果応報だという感もあります。しかしアプゾルスのクルーたちは、帝国軍にしては結構マトモそうです(キャラは濃いですが)。侵略者「帝国軍」というわりには、今後、人間味のある描き方をされていきそうな人々です。それだけに、鬱展開になった場合(?)には厳しい。

ライとヴィアの向かう先には何らかの悲しい結末が待っているかも…という予感をもっている方も少なくないと思います。思わせぶりなセリフがすでに所々に出てきますし。「パラディーヴァが人格を持っていたことは失敗だった」というゼーレム計画の前提となる考え方、その「本当の意味」が二人の辿り着く果てに見えてきます。コレに関しては、実はジーラ姐さんも非常につらい立場です。後になって振り返ったときに、ジーラは強い人、あるいは腹黒い、怖い、本当は優しい人だな、と、受け止める人によって全然印象が違ってくるかもしれませんが。ここは内緒です。

軍のはみ出し者ばかり集めたようなアプゾルスのクルーの中で、唯一まともそうなデミアーノ副長――なんと彼に関しても、涙の展開(?)が待っています。アプゾルス組の中でただ一人、他から距離を取っているような、一番冷静に見えるデミアーノです。でも実際には、最も余裕のないキャラなんです。副長としては「新人」ですし。ただし、デミアーノに思い入れできるかどうかは…。多分、人によって好き嫌いがあるでしょう(実はマザコンかもしれないという話もあるので ^^;)。

○ 第50話 黒いアルフェリオン

これはもう、お分かりの通り、アルフェリオン・ドゥーオのことですね。レンゲイルの壁に対する総攻撃を有利に進めていたかのように見えていた議会軍やギルド、そこにアルフェリオン・ドゥーオが突然現れ、正規軍側は悪夢のような敗北を喫する…。そういう流れだと、王道ですね(^^;)。『アルフェリオン』という物語は、ベタベタなお約束・王道の展開が恥ずかしげもなく行われる側面と、「そんなのありか?」という超展開が降ってくる側面と、いわば両極端を兼ね備えている困った話です(苦笑)。「壁」の決戦におけるヴィエリオの出方にしても、どう転ぶかは予想し難いかも…。

「黒いアルフェリオン」(=ドゥーオ)というのは、「白いアルフェリオン」ことアルフェリオン・ノヴィーアとの対比を意味する表現です。だったら、ヴィエリオとルキアンは「壁」の戦いで激突するんでしょうか? これは謎です。ただし、メルカが以前に予知夢(?)で見ていた、黒と白のアルフェリオンの戦いが伏線としてあります。あの夢の通りにルキアンが惨敗する?

ルキアンは、それなりに真っ当な子ですが、ご承知のように根が暗いです(汗)。ソーナのことをめぐって、ヴィエリオを逆恨みし、嫉妬している面があります。しかもルキアンの視点で見れば、ヴィエリオのせいでソーナは不幸になったようなものだと感じられることでしょう(たとえそれがソーナ自身の選んだ結果であるにしても)。ヴィエリオとソーナの取った行動の真実をルキアンが知った日には…。これまでの物語の中では、日増しにソーナのことを忘れつつある切り替えの早いルキアン(?)、という印象も確かに強いです。でも執念深そうなルッキーですから、心の底では根に持っているかも。この歪んだ怒りをルキアンは爆発させるのでしょう。それでいいのか主人公。

ともかく、ヴィエリオとルキアンとの対戦はどこかであります(50話自体にはないかもしれないですが)。その際、ルキアンは、アルフェリオンの様々な形態、新たなアダマス・モード(防御重視の重装甲形態)やレギオス・モード(格闘戦用の刺々しい形態)も駆使してアルフェリオン・ドゥーオに立ち向かってゆく、ということも言っておいてよいでしょう。燃えますね。

 ◇

で、その先が…。漠然と言えば、話がアマリアと関係してきます(謎)。これは内緒。

ルキアン、この世代の女性キャラから何故か変に人気です。シャリオ(ルキアンのことになると顔色が変わる人)、シェフィーア(ルキアンの暗い妄想電波癖を「全肯定」してくれた人+運命の再会?)、アマリア(水晶玉でルキアンをストーキング、もとい、常に監視中。笑)。シソーラもルキアンを気に入って、さんざんいじっていましたし(あれは彼女なりの好意の表現ですね)。そのくせルキアン、ソーナやカセリナのような同世代の正当派の女性キャラからは全く相手にされません。

しかもまた、上記のお姉様キャラの層が、むやみに分厚い(^^;)。この世代のキャラと言えば、他にもセレナさんやエーマ、ジーラまで入っています…。層が厚いだけでなく、個々のキャラ的にも面白い人ばかり。これでは、普通にヒロイン向きのカセリナやイリスたちが圧倒されて目立たなくなってしまいます。女性キャラの年齢分布・役割の振り分け方等々が、この手のファンタジー物やロボット物にしてはちょっと変なんですよね、この小説…。

だからヒロインも不明になってしまう。ヒロイン奪取合戦(?)において、唯一、善戦している若手(美少女?)キャラといえばエルヴィンです。しかしこの娘は、最大出力の電波と不気味属性を兼ね備えた異端派の美少女ですから…。名前も本来は男の名前ですし(実は男、というのはウソですが、これはこれで秘密があります)。カセリナはカセリナで、何だか違った方向に善戦しています。これはもう、正当派ヒロインではなく正当派ライバルを目指した方がよいかも。あるいは、いっそのこと、「事実上の主人公の座」を途中で乗っ取るとか(爆)。

 ◇

お姉さんと言えば、ルキアンの子供時代から残る唯一の所持品である、例の「子豚のぬいぐるみ」の件もあります。幼いルキアンの手を取って歩いていた少女は、誰なんでしょうね。これに関して伏線は微妙に出てきますので、ルキアンより年上らしき女性キャラ全員の一挙一動(笑)を見守ってください。やがて予想外の結果が待っています。これまた、キャラの使い方のセオリーを外すという意味では、超展開?(超展開って言葉、多すぎ)

そういえば、何気にルキアンの過去は謎に包まれているのでした。彼が、幼い頃に今の両親にもらわれた子だというのは、以前に明らかになりました。本当の親は誰なんでしょう? しかも16歳のときに口減らしも同然に家から送り出された先が、「魔道士」の研究所だった。今から考えると、実はうさんくさいかも。いや、「子豚」の出てきた回の話から考えると、そもそもルキアン、幼年時代の記憶が飛んでいるのでは? もしも記憶を操作されていたりしたら衝撃的です…。



ということで、何だか意味不明なネタバレ大会をここらで終了いたします。この作品の楽しみ方は色々あるにしても、断片的な情報から今後の展開をあれこれ予想するというのが、最も楽しめる見方のひとつであるとは思います。新年早々まったりと、『アルフェリオン』という物語やルキアンの今後を想像してみるのも、これまた一興かと(^^;)。

以上
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このお正月は、アルフェリオン三昧で!

明けましておめでとうございます!

本日の連載小説『アルフェリオン』は、新春特別企画としまして、普段よりも長いスペシャル版×2本でお届けします。「風のゼフィロス(第1部~第3部)」のクライマックス、第29話の最後の箇所にてゼフィロス・モードが初登場する瞬間です。

「瞬間」と上に書いたように、今回のゼフィロスの初登場は一瞬です…。とりあえず顔見せというところでしょうか。「るきあんは、ぜふぃろすのじゅもんをおぼえた」(違)という程度です。やはり、それ相応の敵が相手の時に主人公側の新たな能力が爆発するという展開の方が、ドラマティックですよね。逆に言えば今回のルキアンのように、特に強敵でもないザコの敵に苦戦して新しいモードに初変形せざるを得ない主人公って、一体……。さすがルキアン。でもそこがいい(^^;)。

なお、ルキアンの名誉のために言っておきますと、もう少し後になってゼフィロス・モードが初めて本格的に発動されるときには、激燃えの展開が待っています。お楽しみに。

ちなみに肝心のゼフィロスよりも目立ってしまうのが、五人目の御子、地のパラディーヴァ・マスターのアマリアです。通称「実況のおねぇさん」(笑)、あるいは水晶玉ストーカー(違)。今回もおいしいところを持っていってしまいます(苦笑)。ただ、本日のアマリアのセリフには特に注意しておいてください。非常に重要な伏線やキーワードが含まれています。

以上、新春早々から「作者自重!」というところですが、本年も『アルフェリオン』と鏡海庵・鏡海亭をよろしくお願いいたします。なお、昨年末のネタバレ大会(?)の後半部分も、近日中にお送りする予定です(^^;)。

この一年が、皆様にとって素敵な一年でありますように。そして2008年の私たちの世界が、ルキアンの願いのような「優しい人が優しいままで笑っていられる世界」に少しでも近づけば嬉しいものですね。そのためには――話に飛躍があるかもしれませんが――日本人のもつ独特の繊細な感性や文化が大きな鍵を握っていると、私は思うのでした。

いやはや年末・正月のお酒の呑み過ぎのせいか、少し喋りすぎましたか(^^;)。

親愛なる読者様へ

鏡海
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