鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

『アルフェリオン』まとめ読み!―第47話・後編


【再々掲】 | 目次15分で分かるアルフェリオン


5 黒い瞳のルキアン



 ◆ ◇

「オーリムのギルドも大変だな。戦に勝って勝負に負けた、ということにならなければよいのだが」
 そう言ってしゃがみ込むと、シェフィーアは足元に手をさしのべた。指先が水に触れる。簡単に跨いで越えられるような小川が、砂浜を通って海へと続いていた。彼女は無造作に手で水面をかき回す。
「たとえギルドがナッソスに勝利しても、その後、帝国軍が攻めて来るまでに《レンゲイルの壁》に到着できなければ、援軍を欠いた議会軍の勝ち目は薄い。ほとんど実戦経験のない議会軍の大方の将兵と、ガノリスの精鋭相手に鍛えられている《メレイユの獅子》ギヨットや配下の《レンゲイル軍団》とでは、まったく比較になるまい。それだけでも厄介だが……」
 シェフィーアは厳しい目をして、それとは裏腹に口元には微かな笑みを浮かべた。
「《帝国先鋒隊》を甘く見ていたら、オーリウムはたちまち敗退することになる。あの真面目くさった女狐、アポロニア・ド・ランキアの策略は手強いぞ」
 レイシアは相変わらず無表情に、銀色の髪を海風にそよがせている。シェフィーアの話ではなく、潮騒に耳を傾けているようにもみえた。シェフィーアの方も気にしていない。
「まぁ、ギルドはナッソス家には勝てるだろう。問題はその先だな。そして、ナッソス家との戦いにおいて、少なくともルキアン・ディ・シーマーは必ず勝ち残る」
 シェフィーアは小川の流れを目で追い、それが海へと至るところで視線を止めた。
「見た目はあんなだが、あの子は強い。物心つく頃から、ルキアンはずっと独りで自分の生と戦ってきた。たった一人になっても戦い続けることができる者は、誰よりも強い」

 ◇ ◆

「楽しいことばかりじゃない。僕らは、暗く歪んだ想いも、内なる世界に抱えて……。嘆いたり、哀しんだり、憎んだり、妬んだり、それでも人は絶望せず生き続けてる」
 ルキアンは一歩前に踏み出し、ソルミナの化身に言葉を向けた。

  そういう負の感情が
  人間にとって悪しきもので、必要ないはずのものなら、
  僕らはどうして、
  そんな気持ちを持つような存在として生まれてくるのだろう。
  最初から人は、神様の生み出した失敗作なのだろうか。

  でも、ひとつだけ分かったことがある。
  幸せが失われても、愛に見放されても、希望が無くても、
  それでも生きようとする理由になっていたのは、
  僕の手に最後まで残っていて、僕を突き動かしてきた、
  そんな暗い想いだったと。

  それが望ましいものだとは思わない。
  だけど、光が手を差し伸べてくれなかったとき、
  それで生を諦めて死んでしまっていたら、いま僕は居なかった。
  本当はずっと自分の中の闇に支えられていたんだ。
  なのに僕はそれと向き合うことを避け、ただ恐れ、拒んできた。

  たしかに闇の力だけでは人は幸せにはなれない。
  だけど人は光の力だけでは生きていけない。
  影があるから光もあり、光があるから影もある。
  人はそういう不完全でどうしようもない存在で、
  それでも生きようともがく。

 ルキアンの右目が輝く。彼の瞳の中、複雑な魔法陣を描いた紋章が光を放った。
「さっき、死を目の前にして気づいた。苦しみ続けて、やっと光が見えたのに、こんなままで、何もできずにこの世から去ってしまうのは、空しい……悔しい……。その思いで胸が張り裂けそうになったとき、僕はそう理解した」
 黒い光――矛盾したような形容だが、黒く輝く光がルキアンの背から広がり、次第に翼のような形を取った。
「ずっと僕は自分の半身を拒否してきた。だけど、その力があるからこそ、僕はこうしてお前と戦える。たとえそれが《闇》の力でも!」
 そう言ってルキアンが目を閉じ、再び開くと、瞳は深い闇色に変わった。彼の心の中の《ダアスの眼》もいっそう大きく開く。

 僕は見た。
 生命と因果律の樹の背後に開けた底なしの暗き穴を。
 始まりにして終わりの知の隠されし静謐の座を。

 一陣の風と共に、ルキアンの銀色の髪が、濡れたような艶を浮かべた漆黒色に変化する。
 瞳の紋章と同じ形の魔法陣がルキアンの足元に現れた。現世界のものでも旧世界のものでもない、見たこともない文字や記号を伴って、円陣がルキアンを中心に形成されている。

 そして僕は知った。
 この魂の奥底にまで受け継がれた、
 いや、霊子の次元にまで刻み込まれた
 いにしえからの闇の血族の想いを。

 冷たく透き通った声。暗闇の中に、ひとこと、ひとこと、彼の声が静かに反響する様は、周囲の空気を凍り付かせてゆくかのようだ。ルキアンは、どこか寂しそうにうつむくと、また顔を上げ、華奢で幼さの残る少年には不似合いなほど重々しくつぶやいた。

「御子の名において命ず。闇の眷属きたれ……」

 右目に浮かぶ紋章が再び輝き、ルキアンの影が前方に向かって広がり始めた。
 黒い波紋が地面を覆い尽くすかのように、拡張する闇。
 暗黒の影は、ルキアンをなおも遠巻きにしていた魔人形たちのところにまで達した。そこで影にふれた人形は、音もなく消えて無くなってゆく。
 人形たちだけではない。床や壁さえも姿を消しているのだ。あくまでも静かに、ルキアンの周囲は漆黒の空間に覆われ、彼を除くすべてのものは暗闇に消えていった。


6 魂の記憶、今、想いの光を放て!



 今度は一瞬にして周囲が光に包まれる。同時にルキアンは違う場所にいた。
 熱い。彼が最初に知覚したのは蒸し風呂のような空気感だった。それもそのはず、ルキアンは、煮え立つ溶岩の海に浮かんだ島に立っている。あちこちで火柱が立ちのぼっては消える。
 そして明るい。照りつける太陽。マグマの赤い海の上に広がる青空の色が際立って見える。頭上の大空が果てしないのと同様、大地を覆い尽くす溶岩流にも際限がないことに、ルキアンは気づいた。溶岩の海は彼方にまで赤銅色の地平となって続いている。
 ――闇使いよ、汝の力は強い。されど、ここは我の造りし世界。
 背後に燃え盛る広大無辺な《世界》を誇示するかのごとく、空中に浮かぶソルミナの化身は言った。
 ――ここで我に手向かうことは、創造主に抗うことに等しい。
 無数に開いたソルミナの目が青白い光を浮かべる。
 突然、ルキアンの足元が揺れ、轟くような地鳴りが腹にまで伝わってくる。
「あれは……」
 目を懲らしてみると、灼熱する火の大洋の《水平線》が一斉に持ち上がっている。ルキアンは息を呑む。
「津波?」
 その瞬間にも、現実世界では有り得ない速さでマグマの波は高さを増し、押し寄せる。溶岩の高波は今や天を突くような壁となり、空さえも覆い尽くさんばかりの勢いでますます成長してゆく。この《世界》そのものが牙を剥いた。
「あんなものを、どうやって」
 激情に駆られ、何かに取り憑かれたかのように戦いに没頭していたルキアンだったが、この世の終わりさながらの光景は彼を我に返らせた。彼の背で翼のかたちに広がっていた黒い光は霧散し、髪は銀色に戻り、瞳の色も次第に薄くなってゆく。
「無理だよ。どうしよう、リューヌ……」
 つい、無意識のうちにパラディーヴァに助けを求めたルキアン。やはり返事はなかった。
 ――そうだった。僕のせいでリューヌは消耗して、今、死んだように眠り続けている。僕がしっかりしなかったから、ずっとリューヌに甘えていたから。
 近づく轟音。視界すべてが、迫る溶岩の海に遮られようとしていた。
「た、戦わなきゃ。こんなままで終わっていいのか」
 ルキアンは目を閉じ、肩を振るわせながら、小声でつぶやいている。
「何もできずに、黙ってうつむいているのは、もう嫌なんだ。何度もそう言ったけど、今度こそ、今度こそ、本当に僕は」
 震える指先を自らに従わせようと、彼は拳を握りしめる。
「さっき《見た》ばかりじゃないか。ここで僕が逃げたら《みんな》の想いは……。闇の力を手にしながらも、御子は、本当は優しい世界を誰よりも願っていたんだ」

 ◆

 何の前触れもなく、ルキアンは途方もない大きさのひとつの《眼》と向き合っていた。
 周囲には星が瞬く。
 果てなく広がる闇の空間に、小さな星の光が見渡す限りにちりばめられている。
 だが、どんなに微かな音さえも聞こえてくることはない。無限の静寂。

 《手を伸ばせ》と、自らの中で拒否しがたい衝動がわき起こった。
 気づいたとき、ルキアンは《眼》の方に両手を差し出していた。
 三つの人影が見える。
 ルキアンは彼らを知っていた。会ったこともないのに。直感的にその人物が誰であるかを理解したのだ。

 白衣を着た少しうつむき加減の男が、彼の方を見ている。
 ルキアンの父ではないかと思えるほど、顔つきや雰囲気が良く似ていた。

 《我は刻む、闇の紋章》

 もうひとつの影は、車椅子に座った少女だった。
 数匹の小鳥と戯れながら、光の粉を振りまくような笑顔で彼女は言った。

 《我は託す、夜の国の角笛》

 最後の影は岩の上に腰掛け、僧侶のような衣をまとっている。
 細長い杖を手に、縮れた長い髪を風になびかせ、その男は言った。

 《我は与う、静寂の法》

 ◆

「《優しい人が優しいままで笑っていられる世界》は僕だけの願いじゃない」

 先ほどの弱気な彼と同一人物とは思えぬほど、凄まじい魔力がルキアンの身体から立ちのぼる。髪と瞳も改めて闇色に変わった。

「この胸に刻まれ、受け継がれた魂の記憶なんだ!」

 激高して叫ぶルキアン。瞳に紋章がきらめく。
 刹那の時、世界が灰色に見えた。凍った時間の中で羽ばたくものがある。
 天空から現れた鋼の巨人、輝く6枚の翼を背負った竜と荒鷲の騎士。
 それは、銀の天使、アルフェリオン・ノヴィーア。

 鋭い鳴き声と共にアルフェリオンは舞い上がり、翼をいっそう大きく広げ、空中で静止する。
 天の騎士のまとう甲冑、機体の左右の肩当てが鈍い音とともに横に動いた。そこに現れた吸気口が、幻獣のうなり声か、悪魔のオルガンのパイプが反響する音か、不気味な息づかいで大気を振るわせる。
 続いて鎧の胸部が開き、神秘的な青い光を放つレンズ状の装置が現れる。
 実体をもつ6枚の翼が巧みに重なり合って十字の形を取ったかと思うと、白熱化して輝き始めた。その先端から光の翼が伸び、オーロラさながらに空で揺らめく。
 その間、溶岩の津波は天空までせり上がり、アルフェリオンを飲み込もうと襲い来る。
 機体の胸のレンズが青から次第に赤へと変わり、いつしか紅色の光を放っていた。アルフェリオンの前方にも、赤い光が空中に現れ、レンズのような形を取る。膨大な魔力がアルフェリオンの周囲に満ちる。
 光の翼はますます広がり、その輝きで、怒りで、空を満たしてゆくかのようだ。
 機体のレンズと光のレンズとの間にまばゆい閃光の球が現れ、炎の如く揺れながらみるみる大きくなる。
 すべての方向から銀の天使に迫る灼熱の溶岩の壁、ソルミナの支配する《世界》の力。機体の魔法眼を通じてルキアンはそれを睨んだ。
 ――たとえ《世界》がお前の手の中にあるとしても、人の想いの力は無限だ!
 機体の背後の空、御子の紋章と同様の光の魔法陣が描かれた。
 ――容赦はしない。
 もうひとつ、前方に浮かぶ光のレンズの先に同型の魔法陣が形成される。
 ルキアンの漆黒の瞳にも紋章が浮かんだ。

 ――ステリアン・グローバー!!

 咆吼。大きく見開かれたダアスの眼。《深淵》と御子との間に《通廊》が開かれる。怒れる天の騎士は、大空と大地と、ソルミナの世界一面を終焉の光で包んだ。

 それから、どのくらい時間が経っただろうか……。


7 生還、盾なるソルミナの崩壊



 気がつくと、ルキアンとソルミナの化身は常闇の中で対峙していた。
 しばらく無言で向き合った後、やがてルキアンの心に声が流れ込んでくる。
 ――我が完全なる幻覚をも黒く塗りつぶす、その力。やはり汝は……。
 ソルミナの化身に異変が起こっていた。徐々に焦げてゆくように、蝶の羽根が端の方から黒く変色して消え始めている。
 ――封印された記憶のことを知るまい。もし《封印》さえ無ければ、汝は最後の部屋で終わりを迎えていたはず。
 宙に浮かぶ脳の魔物の姿が今までよりも弱々しくみえる。心なしか、ルキアンに語りかけてくる思念も途切れがちになっていた。
「どういうこと? 僕の記憶が封じられてるって、どういうことなんだ!?」
 ルキアンは感情的に口走った。あの《夜》という部屋で見た不可解な光景を思い出し、彼の背筋に本能的な寒気が走る。不吉な直感が胸を詰まらせた。
「あの幼い子たちは、一体……。答えて、答えてよ!!」
 ソルミナの化身の奇怪な姿のうち、もはや半分までが闇に浸食され失われていた。その心の声も、意識を集中させないと聞き取れないほど微かになっている。
 ――我に感情というものはない。だが、汝の真実を知れば、人間はこんなふうに表現するのであろう。

 《かわいそう》

 最後に、空中に漂う霞のような状態になった化身が言った。

 ――汝は、いつか知るだろう……。召喚……一組の……適合……犠牲……。

 ルキアンの心に流れ込んでくる声も次第に微かになり、間もなく沈黙する。

 ◆ ◆

「大変だ! 結界が。空間に、亀裂?」
 座席から転げ落ちそうな勢いでヴェンデイルが叫んだ。声が裏返っている。
 上空でナッソス城の様子をうかがっていたクレドール。その艦橋は騒然となった。
「副長、結界が消滅するよ」
 《複眼鏡》の魔法眼に浮かぶ光景を、ヴェンデイルは呆然と見つめる。ナッソス城を取り囲んでいた赤い結界の真ん中に、にわかに亀裂が生じたのだ。いったん現れた割け目が広がるのは早く、彼が次なる状況報告をしようとしたときには、もう結界そのものが姿を消していた。
 ツーポイントの眼鏡の奥、クレヴィスの目に微かな笑みが浮かぶ。
「ふふ。やはりあなたですか、ルキアン・ディ・シーマー君」
 彼はカルダイン艦長に視線を向け、無言で何かやり取りすると、次なる指揮を出した。
「アルマ・ヴィオ各機に至急の念信を。多分、彼らもこちらの世界に戻ってきているはず。この機を逃さず、今が《柱》を破壊するチャンスです」

 クレドールの繰士たちも、突如として入れ替わった状況に直面する。

 ――あ、あたし、何を。
 メイは自分の五感が変化したことに気づいた。目の前に広がる空、ぼんやりとした景色の中に、見覚えのある城郭の姿。アルマ・ヴィオの翼が風を掴む感じ。
 ――あ、れ、は、ナッソス、城? そう。……えっ? 戻った!
 慌ててアルマ・ヴィオの動きに精神を集中するメイ。高度の落ちていた《ラピオ・アヴィス》が、深紅の翼を羽ばたかせて急上昇する。

 ――この感じは。《アトレイオス》か。じゃぁ、ここは?
 バーンも同じく機体の感触を把握した。忌まわしい記憶と結びついたレクサーのものではない。愛機の眼を通じてバーンが見ているものは、そびえ立つ黒い石柱。ソルミナの世界に囚われる直前まで戦っていた場所に、再び戻ったのだろうか。
 アトレイオスの両手で握られた《攻城刀》の重量感によって、バーンは自分のすべきことを思い出した。
 ――もし、これが幻でも、ともかく俺は!
 すかさず腰を落として構えたアトレイオス。攻城刀の刀身を、さらにMT(マギオ・テルマー)の光の刃が覆う。バーンの《蒼き騎士》は走り出した。地響きを伴い、長さ20メートル以上の大剣の切っ先を地面に引きずって。
 ――ぶっ叩く!!
 吠えるような雄叫びをあげて、バーンは剣を打ち込む。助走と共に、上半身のひねりで惰力を加えたかと思うと、アトレイオスは攻城刀を一気に石柱めがけて叩き付けた。

 ◇

 時を同じくして、ナッソス公爵は信じがたいものを見た。
 轟音と共に崩れ落ちる石柱。
 《盾なるソルミナ》が絶対的な幻影の世界を生み出すために、大地の霊脈から無尽蔵の魔力を吸い上げ続けるための設備であった。だが、今やそれが、城の守りの要が砕かれたのだ。あまりのことに公爵は口を閉じることができず、かといって声を出すこともできず、天守の窓の前で立ち尽くす。
 目の前の空を赤く染めていたソルミナの結界自体、いつの間にか消滅していた。
「お気を確かに、殿」
 しばらく凍り付いていたナッソス公は、レムロスの言葉で我に返った。
「馬鹿な。《盾なるソルミナ》は、旧世界以来の無敵の防壁。いかなる人間もその力の前には……。そんな馬鹿な。《人の子》である限り、ソルミナの力には……」
 うわごとのように繰り返す公爵。いつもは紅潮しがちな激情家の顔つきから、血の気がすっかり引いている。続く言葉も出ず、唇が小刻みに震えていた。


【第48話に続く】



 ※2010年5月~9月に、本ブログにて初公開
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