ブロークバック・マウンテン （Brokeback Mountain）

★★★☆☆ （Ｂ゜）

その愛に、翼は許されなかった。

悔しい。
愛がすばらしいものだなんて、言われなくても分かっている。
神の教えとは関係なく、誰もがそう信じたいはずだ。

それなのに人間の転がす「神の秩序」が、暴力で愛を阻んだ。
なんと偏屈な秩序だ。なんと陳腐な教えなのだ。
神は人間の傀儡か。

ブロークバック・マウンテンは、圧倒的な美しさで二人を抱く。
彼らが唯一帰ることのできる安息の地であり、
逆をいえば、一歩そこを出てしまえば世を忍ばねばならない、
悲しみの山でもある。

ポスターの写真の中で目を伏せたまま微笑む二人を見ると、
それだけで涙が浮かんでくる。
それでも愛は、やっぱりすばらしいのかと。

　　　　　　　　　　　　　　　　（ＴＯＨＯシネタウン秋田）