★★★☆☆(B゜)
生きているから、死ぬために歌った。
カート・コバーンの最期にインスパイアされた架空の物語。
でも、カートの最期として見るのが相当だろう。
なぜ彷徨うのか。なぜ苦痛で泣き叫んでくれないのか。
主人公ブレイクは、メッセージを発してくれない。
だからこそ、何の理由も脈絡もない彼の行動のひとつひとつが際立ち、
生と死の間で揺れる姿を浮かび上がらせる。
たとえば、生きていると腹が減る。
だから食う。シリアルやマカロニを。
ただ彼の場合、生き延びるために食うのではない。
生存本能の営みの環が途切れている。
歌うことはどうなのかと考える。
生きていると、苦しくなるから歌う。
歌は生きている証であり、
同時に自ら死に向かうための道筋でもある。
主演のマイケル・ピットが自ら書き下ろしたという
重々しい苦悩を、そして開放を叫ぶ歌。
それは極端に台詞の少ない作中で、
ブレイクがただ一度発する「理性の声」だ。
生きているから歌った。死ぬために。自由になるために。
彼が自分で命を絶つに至るまでを描いた説得力はすごい。
この作品を観る限り、やはりカートは死ぬしかなかったのかと、
絶望と安堵がない交ぜに去来する。
こうして、彼の歌だけが私たちの許に残された。
これで良かったのか。
これで良かったのだ。
これで良かったのか。
(シネマライズ渋谷)
生きているから、死ぬために歌った。
カート・コバーンの最期にインスパイアされた架空の物語。
でも、カートの最期として見るのが相当だろう。
なぜ彷徨うのか。なぜ苦痛で泣き叫んでくれないのか。
主人公ブレイクは、メッセージを発してくれない。
だからこそ、何の理由も脈絡もない彼の行動のひとつひとつが際立ち、
生と死の間で揺れる姿を浮かび上がらせる。
たとえば、生きていると腹が減る。
だから食う。シリアルやマカロニを。
ただ彼の場合、生き延びるために食うのではない。
生存本能の営みの環が途切れている。
歌うことはどうなのかと考える。
生きていると、苦しくなるから歌う。
歌は生きている証であり、
同時に自ら死に向かうための道筋でもある。
主演のマイケル・ピットが自ら書き下ろしたという
重々しい苦悩を、そして開放を叫ぶ歌。
それは極端に台詞の少ない作中で、
ブレイクがただ一度発する「理性の声」だ。
生きているから歌った。死ぬために。自由になるために。
彼が自分で命を絶つに至るまでを描いた説得力はすごい。
この作品を観る限り、やはりカートは死ぬしかなかったのかと、
絶望と安堵がない交ぜに去来する。
こうして、彼の歌だけが私たちの許に残された。
これで良かったのか。
これで良かったのだ。
これで良かったのか。
(シネマライズ渋谷)