★★★☆☆(B゜)
シュールな現実感を描く「現代劇」。
復讐に取り憑かれたユダヤ人高利貸しに扮するアル・パチーノの、
「ディアボロス」(97)を思い出すような
鬼気迫る怪演が光っている。
クライマックスシーンから一転、
仇敵相手とはいえ、シャイロックに
刺し違えるほどの覚悟はないということが分かると、
一瞬の安堵と、どこか裏切られたような期待はずれの苦々しさが
ない交ぜになって浮かんでくる。
判決を聞き終えたシャイロックの、
「何を言われたのか理解できない」とでもいうような表情は、
これまでに見てきたアルの演技の中でもハイライトシーンだ。
抑圧されながらでも生き永らえることへの、
そして財産への執着を捨てきれない往生際の悪さが、
悲哀と、ある種の滑稽を描く。
気勢を削がれた哀れな高利貸しは結局、
恨みを晴らすことも死ぬこともできず、
やはり高利貸しとしてしか生きられない。
そのシュールなリアリズムが、痛いほどに生々しい。
そして、それはけして他人事ではない。
(シアタープレイタウン秋田)
シュールな現実感を描く「現代劇」。
復讐に取り憑かれたユダヤ人高利貸しに扮するアル・パチーノの、
「ディアボロス」(97)を思い出すような
鬼気迫る怪演が光っている。
クライマックスシーンから一転、
仇敵相手とはいえ、シャイロックに
刺し違えるほどの覚悟はないということが分かると、
一瞬の安堵と、どこか裏切られたような期待はずれの苦々しさが
ない交ぜになって浮かんでくる。
判決を聞き終えたシャイロックの、
「何を言われたのか理解できない」とでもいうような表情は、
これまでに見てきたアルの演技の中でもハイライトシーンだ。
抑圧されながらでも生き永らえることへの、
そして財産への執着を捨てきれない往生際の悪さが、
悲哀と、ある種の滑稽を描く。
気勢を削がれた哀れな高利貸しは結局、
恨みを晴らすことも死ぬこともできず、
やはり高利貸しとしてしか生きられない。
そのシュールなリアリズムが、痛いほどに生々しい。
そして、それはけして他人事ではない。
(シアタープレイタウン秋田)