★★★☆☆(B)
はたして彼は何者か?
コミックが原作と知ったのは、鑑賞後にパンフを見てだった。
クローネンバーグ監督作品としては描写がソフトだと後で知ったが、
ストーリー展開や登場人物の行動がステレオタイプというか、
リアリティを逸脱した感があり、ちょっと違和感を覚えた。
体育のソフトボールで放った大きな飛球を捕られたくらいで、
大の高校生がケンカをふっかけるだろうか。
金を払う意志を見せている街なかのダイナーの店主に、
自分のリスクも考えずにソッコーで銃を向ける強盗がいるだろうか。
主人公が妙に強いのはどうしてなのか。
ただ、「暴力」をリアルに描写することで、
ヒロイックな行為ではなく、あくまで暴力として描くところには
きわめてフェアな精神を感じる。
主演のヴィゴ・モーテンセンの演技もすばらしい。
口の端を、悪意とも愛情ともつかぬような角度で
苦しそうに歪める表情がハイライトだ。
ともかく、これは純然たるエンタテイメント作品だと思う。
劇画調の演出を良しと思うかどうかは、
何を期待して見るかによるだろう。
(銀座・東劇)
はたして彼は何者か?
コミックが原作と知ったのは、鑑賞後にパンフを見てだった。
クローネンバーグ監督作品としては描写がソフトだと後で知ったが、
ストーリー展開や登場人物の行動がステレオタイプというか、
リアリティを逸脱した感があり、ちょっと違和感を覚えた。
体育のソフトボールで放った大きな飛球を捕られたくらいで、
大の高校生がケンカをふっかけるだろうか。
金を払う意志を見せている街なかのダイナーの店主に、
自分のリスクも考えずにソッコーで銃を向ける強盗がいるだろうか。
主人公が妙に強いのはどうしてなのか。
ただ、「暴力」をリアルに描写することで、
ヒロイックな行為ではなく、あくまで暴力として描くところには
きわめてフェアな精神を感じる。
主演のヴィゴ・モーテンセンの演技もすばらしい。
口の端を、悪意とも愛情ともつかぬような角度で
苦しそうに歪める表情がハイライトだ。
ともかく、これは純然たるエンタテイメント作品だと思う。
劇画調の演出を良しと思うかどうかは、
何を期待して見るかによるだろう。
(銀座・東劇)