皆さま新年おめでとうございます。昨年,和力事務所の加藤木様がブログで「お神楽初恋巡演記」を紹介してくれてます。写真を掲載できませんが以下原文のままお読みください。
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「お神楽初恋巡演記」を読む
2009年11月19日 | Weblog 10月24日に吉岡一男さんからメールが入った。自費出版で「お神楽初恋巡演記」を出版するという案内だった。
「和力のHPを拝見しています」とコメントがあり、一関市「るるるの里」での和力公演でお会いしている方のようだ。
「お会いしているようだ」というのも失礼な話で恐縮なのだが、「るるるの里」公演は山里にふかく入りこみ、野っ原に組んだ野外舞台で昼夜2回の公演をし、野趣味あふれるものだった。
青天井の下、賄いの煙がなびき、かがり火用の薪を積み込むおじさんたちが軽トラで出入りし、木の根っこを座席として並べ、観客席になる神楽殿のガラス戸を外し、座布団を用意する人などでごった返し、誰もが主人公の慌ただしい喧噪が心地よかった。
名刺交換などの雰囲気などはない。
お互いに呼び合うのを聞いて、覚えるしかなかったから、わたしはこの里の主人、佐々木忠雄さんしかお名前を覚えられなかった。
るるるの里・野外舞台
吉岡さんのメールに添付された、ブログ「とりら」http://torira.exblog.jp/
を開いてみると、お神楽だけでなく、民舞やお祭り情報が色彩豊かに記されている。
「ふるさと岩手の芸能と暮らしの研究会」として、催される芸能が活き活きと取材され、コメントで多くのことを教えられる。
さっそく書籍を注文して送ってもらうことにした。
著者は吉岡さんの父、吉岡義三(昭和4年生)さんで、神楽師として65年のキャリアがある方だ。
…「小学3年のとき、神楽をみて自分でもやってみたいと思った。4年生になり仲間をつのって、神楽のお師匠さんに太鼓を借りた。チャンチャコ(手平鉦)は鉄びんのふた、竹を切ってきて焼け火ばしで穴をあけ笛をつくり、5人で門打ちをやりどこの家でもお米などを出して喜んでくれた」…。
お祭りで買った、刀やひょっとこの面などを家から持ってきて道具をふやしていく。弾む心が伝わってくる。
小学校を卒業し中学にはいる。
家業の農業・炭焼きを手伝いながら、師匠のもとに週に2回通って修行、その後、毎晩けいこに通うようになり、巡演に出ていく話がつづられるのだ。
わたしは、送られてきた116ページの本を一気に読んだのだ。
神楽舞の数は21演目ある。鳥舞・剣舞・傘舞・山の神舞などの他に、屋島の合戦という演目もある。
狂言は11演目だ。鬼神のお松・根こ切り・太郎のがきなどだ。
これらの演目をもって、正月(旧)に氏子の家々を門打ち(戸毎に悪魔退散・五穀豊穣を祈祷)しながら夕方までまわり、宿を提供してくれる「大宿」(おおやど)で、神楽舞、狂言を披露する。ここにはたくさんの人たちが集まる。
大宿に宮司と神楽の師匠が泊まり、神楽師は村の有志が一人か二人泊めてくれる「小宿」に案内されて泊まるのだ。
「明日もやってほしい」と長逗留になることもある。演目がたくさんあるから、「次は○○」とリクエストも出る。
集落の人たちの見送りをうけながら、山越えをして次の集落に入る。ホラ貝で合図をして門打ちに廻り、晩は大宿で興業をする。
昭和23年の記録だと、1/3日~1/28日にかけて18カ所、2/7~2/28日までは14カ所を巡っている。
山間地から太平洋沿岸にかけてのかなり広い地域だ。氏子が広範囲にいたのだろう。
65年の神楽師の思い出が淡々と語られる。
芸を受け継ぎ、人々と喜びを共有する、歴史の重さを感じながらわたしは一気に読みすすめたのである。
わきたつ思いにさせられる絶品、ぜひ一読をおすすめしたい。
るるるの里・かがり火の台と花
※表紙絵・押し絵も魅力的です。スキャンをしてこのブログに転載したいと思いました。いろいろ試しましたが「容量をこえている」と機械に拒否され、載せられないのが残念です。
※出版元 ツーワンライフ出版 電話019-698-2333 1冊 1,000円
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和力事務所加藤木さま感謝感謝です。笑う門には福来る。今年も宜しくお願いします。
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「お神楽初恋巡演記」を読む
2009年11月19日 | Weblog 10月24日に吉岡一男さんからメールが入った。自費出版で「お神楽初恋巡演記」を出版するという案内だった。
「和力のHPを拝見しています」とコメントがあり、一関市「るるるの里」での和力公演でお会いしている方のようだ。
「お会いしているようだ」というのも失礼な話で恐縮なのだが、「るるるの里」公演は山里にふかく入りこみ、野っ原に組んだ野外舞台で昼夜2回の公演をし、野趣味あふれるものだった。
青天井の下、賄いの煙がなびき、かがり火用の薪を積み込むおじさんたちが軽トラで出入りし、木の根っこを座席として並べ、観客席になる神楽殿のガラス戸を外し、座布団を用意する人などでごった返し、誰もが主人公の慌ただしい喧噪が心地よかった。
名刺交換などの雰囲気などはない。
お互いに呼び合うのを聞いて、覚えるしかなかったから、わたしはこの里の主人、佐々木忠雄さんしかお名前を覚えられなかった。
るるるの里・野外舞台
吉岡さんのメールに添付された、ブログ「とりら」http://torira.exblog.jp/
を開いてみると、お神楽だけでなく、民舞やお祭り情報が色彩豊かに記されている。
「ふるさと岩手の芸能と暮らしの研究会」として、催される芸能が活き活きと取材され、コメントで多くのことを教えられる。
さっそく書籍を注文して送ってもらうことにした。
著者は吉岡さんの父、吉岡義三(昭和4年生)さんで、神楽師として65年のキャリアがある方だ。
…「小学3年のとき、神楽をみて自分でもやってみたいと思った。4年生になり仲間をつのって、神楽のお師匠さんに太鼓を借りた。チャンチャコ(手平鉦)は鉄びんのふた、竹を切ってきて焼け火ばしで穴をあけ笛をつくり、5人で門打ちをやりどこの家でもお米などを出して喜んでくれた」…。
お祭りで買った、刀やひょっとこの面などを家から持ってきて道具をふやしていく。弾む心が伝わってくる。
小学校を卒業し中学にはいる。
家業の農業・炭焼きを手伝いながら、師匠のもとに週に2回通って修行、その後、毎晩けいこに通うようになり、巡演に出ていく話がつづられるのだ。
わたしは、送られてきた116ページの本を一気に読んだのだ。
神楽舞の数は21演目ある。鳥舞・剣舞・傘舞・山の神舞などの他に、屋島の合戦という演目もある。
狂言は11演目だ。鬼神のお松・根こ切り・太郎のがきなどだ。
これらの演目をもって、正月(旧)に氏子の家々を門打ち(戸毎に悪魔退散・五穀豊穣を祈祷)しながら夕方までまわり、宿を提供してくれる「大宿」(おおやど)で、神楽舞、狂言を披露する。ここにはたくさんの人たちが集まる。
大宿に宮司と神楽の師匠が泊まり、神楽師は村の有志が一人か二人泊めてくれる「小宿」に案内されて泊まるのだ。
「明日もやってほしい」と長逗留になることもある。演目がたくさんあるから、「次は○○」とリクエストも出る。
集落の人たちの見送りをうけながら、山越えをして次の集落に入る。ホラ貝で合図をして門打ちに廻り、晩は大宿で興業をする。
昭和23年の記録だと、1/3日~1/28日にかけて18カ所、2/7~2/28日までは14カ所を巡っている。
山間地から太平洋沿岸にかけてのかなり広い地域だ。氏子が広範囲にいたのだろう。
65年の神楽師の思い出が淡々と語られる。
芸を受け継ぎ、人々と喜びを共有する、歴史の重さを感じながらわたしは一気に読みすすめたのである。
わきたつ思いにさせられる絶品、ぜひ一読をおすすめしたい。
るるるの里・かがり火の台と花
※表紙絵・押し絵も魅力的です。スキャンをしてこのブログに転載したいと思いました。いろいろ試しましたが「容量をこえている」と機械に拒否され、載せられないのが残念です。
※出版元 ツーワンライフ出版 電話019-698-2333 1冊 1,000円
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和力事務所加藤木さま感謝感謝です。笑う門には福来る。今年も宜しくお願いします。