純情短歌

純子の雑記帳

題詠blog2023

2023-11-26 08:54:52 | 題詠blog2023
2023-001:引(ひじり純子)
引力のせいなのだから仕方ない私はあなたの軌道を巡る
2023-002:寝(ひじり純子)
昼寝して目覚めればいつも私は誰?ここはどこ?と途方に暮れる
2023-003:古(ひじり純子)
彼の岸へ渡って行った者たちは古い写真の中でほほえむ
2023-004:耳(ひじり純子)
耳裏は自分は見えない場所だからフェイスクリーム塗りこんでおく
2023-005:程度(ひじり純子)
ある程度は我慢しなくちゃいけないといわれる程度の私なのです
2023-006:確(ひじり純子)
確実にいえることなど何もなく明日の予想さえも出来ない
2023-007:おにぎり(ひじり純子)
おにぎりの中身は何が好きですか母が握ったものなら何でも
2023-008:較(ひじり純子)
いやそれは比較級だよやめてくれ「一番ベターだ」なんていう君
2023-009:一時(ひじり純子)
一時の気の迷いが重なって人生はそれなりに進むよ
2023-010:愚(ひじり純子)
愚かなる母と自覚は出来ていて愚かなままに年老いていく
2023-011:イメージ(ひじり純子)
引き出しが少ない故に貧困なイメージでしか思えぬ辛さ
2023-012:娯(ひじり純子)
娯楽費に映画代など書き入れて若いころほど使わなくなったな
2023-013:講(ひじり純子)
講演と名のつくものに出掛けては賢くなったつもりで帰る
2023-014:ほんのり(ひじり純子)
ほんのりと頬が赤くなるくらい呑むのがよろし酒というもの
2023-015:戸(ひじり純子)
くぐり戸も閉まったままで沈丁花つぼみ膨らむ主なき家
2023-016:険(ひじり純子)
健康を保証してくれそうである錯覚を呼ぶ健康保険
2023-017:俳句(ひじり純子)
七七を繋げば歌になるわけもないけど俳句というもの
2023-018:就(ひじり純子)
就活はこりごりであるという娘が愚痴を吐きつつ出かける職場
2023-019:賀(ひじり純子)
「賀正」とだけ小筆で書いた墨痕が小さな色紙のように感じる
2023-020:みじめ(ひじり純子)
みじめだと感じたならばおしまいだ客観的に惨めであっても
2023-021:雫(ひじり純子)
夜を通し降り続いた雨の雫今朝の朝日に輝いている
2023-022:重(ひじり純子)
人生を重ねて重くなる背中荷物を下ろす場所などなくて
2023-023:毎日(ひじり純子)
毎日は常にへろへろ蓄積した疲労とともに明日へと向かう
2023-024:禿(ひじり純子)
禿頭にインコ器用に飛び乗ってそれなりに寛いでいるよう
2023-025:混(ひじり純子)
混血の犬を雑種と言っておれば「今はMIX」と子が言う
2023-026:子ども(ひじり純子)
絶対的善意と押し付けにならない愛の子ども食堂
2023-027:著(ひじり純子)
著作権に触れるかどうかの境目の我の頭に浮かんだフレーズ
2023-028:役所(ひじり純子)
市役所の地下食堂が閉鎖され百円饂飩はもう食べられぬ
2023-029:絶(ひじり純子)
絶滅をしたといわれる大型のペンギンは今もいるかもしれない
2023-030:グラム(ひじり純子)
鶏肉を二百グラム用意します卵で言えば四個ぐらいか
2023-031:貿(ひじり純子)
行き先は神戸貿易センタービル天気の良い日そらを仰いで
2023-032:抜(ひじり純子)
その殺気まるで抜き身の刀ぶら下げて相手を探しているような
2023-033:ひらひら(ひじり純子)
温かいコンソメスープひらひらと匙を動かし美しい人
2023-034:倣(ひじり純子)
模倣犯つぎつぎ現れ報道とは何かと思うテレビを消す
2023-035:測(ひじり純子)
飛ぶことをやめたインコはコンテストしてもおそらく測定不能
2023-036:削除(ひじり純子)
君からのメールをすべて削除して空いたところに飾る花束
2023-037:荻(ひじり純子)
詠み方は「おぎわら」ですと訂正をし続けるのも飽く荻原氏
2023-038:ゲーテ(ひじり純子)
初恋を知らない乙女のアイテムの一つとしてのゲーテの詩集
2023-039:吊(ひじり純子)
吊革を二つつかんで揺れている長身の背に帆布のリュック
2023-040:紺(ひじり純子)
紺色のリボンほどいて付け直すセーラー服を夏服にする
2023-041:覗(ひじり純子)
箱めがね覗くはつなつ海開き海の青にだんだん染まる
2023-042:爽やか(ひじり純子)
爽やかな笑顔は若い人だけのものではないよ味ある人生
2023-043:掻(ひじり純子)
教えたい嫌味にならぬ表現でそれともよそうか隔靴掻痒
2023-044:批(ひじり純子)
批評ってどうも批判になりそうででなけりゃ読書感想文
2023-045:筏(ひじり純子)
筏こぐ人よきらめく汗をかき初夏の日差しとシンクロすべし
2023-046:憐れ(ひじり純子)
憐れとは思われたくなしぼろぼろに打ち込まれたる敗戦投手
2023-047:塀(ひじり純子)
もうすでにブロック塀は撤去され見通しのよいフェンスの学校
2023-048:伺(ひじり純子)
お伺いしてもよろしいでしょうかと有無を言わさず問いかけてくる
2023-049:水仙(ひじり純子)
早春の備前の花瓶すっくりと投げ入れただけの水仙の群れ
2023-050:範(ひじり純子)
わたくしが把握しうる範疇は限られておりかなり小さい
2023-051:履(ひじり純子)
新しい街を歩けば履きなれた靴が私を助けてくれる
2023-052:全体(ひじり純子)
全体がほぼほぼ遜色ないならば細かい点は気にしなくて良い
2023-053:党(ひじり純子)
○○党のポスターばかり並んでてここはどこの国かと思う
2023-054:いよいよ(ひじり純子)
いよいよという時にこそ発揮する力はどこにためてあるのか
2023-055:釘(ひじり純子)
釘打って引っ掛けるのはカレンダーあるかなきかの夢と一緒に
2023-056:謙(ひじり純子)
甲子園球場のどこかに渡辺謙潜みきれないその存在感
2023-057:ライン(ひじり純子)
オレンジのラインマーカー引いたならそれで満点もらえるような
2023-058:箇(ひじり純子)
一箇所の間違いがあります本当に一箇所だけか全部じゃないのか
2023-059:診(ひじり純子)
今はもう閉めてしまった診療所診療時間の文字も薄れて
2023-060:醤油(ひじり純子)
うっすらと醤油の匂いがして居たな友達の家の生活の匂い
2023-061:庇(ひじり純子)
精神的瑕疵の深さはそれぞれで安けりゃ住めるという人もいる
2023-062:魔(ひじり純子)
甲子園の魔物がうろうろうろついてあちらこちらに仕掛けるトラップ
2023-063:こぶし(ひじり純子)
もくれんとこぶしの違いわかってる夫を凄いと口にはしない
2023-064:閣(ひじり純子)
急すぎる階段登れば天守閣はるか昔に思いをはせる
2023-065:状(ひじり純子)
状差しといった言葉も死語となるらしき手紙も死語となるかな?
2023-066:二階(ひじり純子)
木造の取り壊された校舎には中二階に宇宙が潜む
2023-067:乞(ひじり純子)
手放しで泣き叫ぶ齢過ぎ去れば愛を乞うこと諦めもする
2023-068:捕(ひじり純子)
捕虫網忘れ去られて薮の中夏の名残も消えつつありて
2023-069:トンネル(ひじり純子)
トンネルを潜り抜けたか渾身の湯浅の一球スタジアム揺れる
2023-070:請(ひじり純子)
申請書的な書類がひっかかる心の隅に宿題のように
2023-071:感謝(ひじり純子)
ご声援感謝セールに距離を置き久方ぶりをしみじみ祝う
2023-072:惰(ひじり純子)
文長の楕円の瞳ひろすけの童話のようにとても優しい
2023-073:からくり(ひじり純子)
からくりがくりかえされてからからと笑う政治家先生方よ
2023-074:腫(ひじり純子)
良性の腫瘍といった表現はもやもやしつつほっとすること
2023-075:案内(ひじり純子)
永久に迎えが来ない私だけそんな気がする迷子案内
2023-076:灰(ひじり純子)
灰色に重く重なる雲の上確かに青い空はあるけど
2023-077:畳(ひじり純子)
板の間に見えない畳五畳とか四畳半とかはかるマンション
2023-078:スマート(ひじり純子)
スマートにクールに生きていけば良い現実は結構泥臭い
2023-079:僅(ひじり純子)
身の丈に見合った僅かなプライドに結構てこずっている毎日
2023-080:載(ひじり純子)
掲載がなかなか難しい我の短歌は今日も日の目見られず
2023-081:手ごたえ(ひじり純子)
手ごたえを感じる間などないままに子が育っても親を続ける
2023-082:侮(ひじり純子)
侮らるなかれ私は身の丈にあったプライド持ちて歩めり
2023-083:浄(ひじり純子)
魂には自浄機能がはじめから備わっており胸張っていけ
2023-084:授業(ひじり純子)
数学の授業と国語の授業時間同じと思えず首をかしげる
2023-085:潤(ひじり純子)
可能性は潤沢にある運命がそれを断ち切ることがなければ
2023-086:派手(ひじり純子)
派手な服着ることはない豹柄を着ないオバチャンでも阪神は好き
2023-087:汰(ひじり純子)
淘汰され残った者がこれならばあまりよい篩とはいえない
2023-088:メンバー(ひじり純子)
スターティングメンバーは同じ信頼はそれだけ強い日本シリーズ
2023-089:癒(ひじり純子)
癒されるものを求める人々は大谷の犬流行らせてしまう
2023-090:諮(ひじり純子)
形だけ行う諮問委員会違う意見を出す人もなく
2023-091:ささやか(ひじり純子)
ささやかな幸せのとき縫うものや編むものを手にテレビ観るとき
2023-092:房(ひじり純子)
阿房列車の中に今も生きて在り旅する内田百閒先生
2023-093:預(ひじり純子)
すっぽりと我に命を預けた子は一人で大きくなった顔をしている
2023-094:希望(ひじり純子)
希望というコトバも死語となったのではと思えるような戦火の知らせ
2023-095:滴(ひじり純子)
甘ったるい汁滴らせかぶりつく西瓜や桃やメロン・マンゴー
2023-096:雌(ひじり純子)
今はまだ雌伏の時と思いつつ後半戦にかかる人生
2023-097:天気(ひじり純子)
今日は良いお天気ですねというだけのご近所さんとの朝の挨拶
2023-098:辱(ひじり純子)
雪辱を果たせたならば良かったね次は相手が向かってくるね
2023-099:備(ひじり純子)
備忘録としてだけの日記だが記憶の糸がつまみ出される
2023-100:掛(ひじり純子)
掛け布団増やして寒さを迎え撃つそうこうする間に春だ夏だ