*** june typhoon tokyo ***

REBECCA@さいたまスーパーアリーナ


 REBECCAが“あの頃のREBECCA”として帰ってきた渾身のステージ。

 2015年夏に再結成を果たし、20年ぶりの再結成ライヴ〈Yesterday, Today, Maybe Tomorrow〉を開催(その時の横浜アリーナ公演の記事はこちら)。その追加公演となるさいたまスーパーアリーナ公演を観賞。横浜アリーナ公演と同様に、リアルタイムでREBECCAを体感していた“世代”が多く集い、当時の思い出などに花を咲かせながら、彼らの一挙手一投足に声を挙げ、息を呑んでいた。会場は500レベルまでほぼ満員。注釈付き指定席だったが、実際はステージを横から見下ろすだけのステージに近い200レベルのスタンド席。なかなかの良席だった。

 開演定刻から遅れること10分ほどで暗転。“R”のロゴが映し出されていたカーテンウォールがゆっくりと上がり、カクテルライトが飛び交うなかで、流れ始めたのは「SUPER GIRL」。ステージ高台の中央に小田原豊、左に土橋安騎夫、右に中島オバヲ、ステージ前方左に高橋教之、右に是永巧一とそれぞれバンド・メンバーがライトに照らされ、あとはNOKKOを待つばかり。オーディエンスからもNOKKOへの叫び声が方々から響くなかで、ステージ中央から伸びた花道の先端からNOKKOが登場。中腰に屈めながら客席を見渡す仕草や強い眼差しを見るに、夏の再結成ライヴからさらに作り込んできたのではないか。何よりも顔立ちがシェイプされ、研ぎ澄まされた表情には野性も感じられるほど。横浜アリーナ公演では、REBECCAが時代を超越したライヴバンドであることを証明していたが、この日のNOKKOのヴォーカルは時代をよそに勢いよく駆け抜けていった当時のREBECCAを彷彿とさせるもの。チャーミングとセクシーを猫の目のようにクルクルと行き来する、あのNOKKOだ。“和製シンディ・ローパー”などとも言われていたのを思い出させるような表情やステップを繰り出したかと思うと、一気に天高く上昇。ワイヤーアクションで200レベルのスタンド席上層段くらいまでの高さを空中浮遊する演出に、観客のヴォルテージも高まるばかりだ。

 再結成ライヴ〈Yesterday, Today, Maybe Tomorrow〉の追加公演ということで、セットリストは夏の横浜アリーナ公演をベースにしているが、オープナーの「SUPER GIRL」でのド派手な演出もそうだが、夏からの短期間のなかでヴォーカルもサウンドも想像以上にシャープになっていたことに驚きを隠せなかった。
 6曲目には「用意はいいか、用意はいいか」の煽りの後で惜しげもなく「フレンズ」へ。このあたりになるともう“懐かしさ”というムードは全く会場からは消えていた。是永巧一のスウィート&ビターなギター・ソロもそうだが、純粋にREBECCAが鳴らす音やグルーヴ、NOKKOが繰り出すホットでキュートなヴォーカルの前に多くが心を揺り動かされ、純粋にREBECCAサウンドに酔いしれていた。

 メドレーの「Hot Spice」では高橋教之が分厚くファットな音のベース・ソロ、ドラム・ソロから「TIME」への展開では、小田原豊の音響系のエレクトロ・サウンドと融合したドラムから、大地の共鳴を感じさせるパーカッションを鳴らす中島オバヲ、キャッチーなメロディながらもアーティスティックな鍵盤を弾く土橋安騎夫が次々と加わって、悠久と未来を思わせる独創的な世界観を創出。その間に衣装チェンジをしていたNOKKOがダンサーを引き連れて登場。フロアにレーザービームが打ち乱されるなか、エレクトロな彩りでの「76th Star」は、彼らのまだ終わらない冒険の旅でもあるかのように希望が感じられた。

 その後、三日月のオブジェに座りながら歌ったバラード「LITTLE DARLING」、文字通りフロアに微笑みをもたらしたキュートな「(It's just a) Smile」などを経て、「OLIVE」からはもう一段ギアを上げてクライマックスへ。本編後半のセットリストは前回同様の展開だったが、「WHEN A WOMAN LOVES A MAN」では花道の最前まで足を運んでバズーカでタオルを飛ばしたかと思えば、“R”ロゴが入った風船が上空から舞い降り、大玉風船が縦横無尽にアリーナ席を飛び交うなどのサプライズ演出に、オーディエンスは鼓動が高まるばかりだったのではないか。「MONOTONE BOY」「プライベイト・ヒロイン」で突き上げる腕、鳴らす手拍子が止まらないまま本編は終了。

 アンコールは「RASPBERRY DREAM」と「MAYBE TOMORROW」。彼らの代表曲といえるポップ・ダンサーとスロー・バラードで、ファンとともに青春を駆け抜けてきたこの30年を祝した。前回も“懐かしさ”は感じなかったが、この日はそれ以上に完成度が高いステージだったことが、彼らをさらにスペシャルなバンドに押し上げた。横浜アリーナ公演は映像作品化されたが、このさいたまスーパーアリーナ公演も映像作品として発表するべきだと思う。NOKKOのヴォーカルワーク、彼らの詞世界を鮮やかに具現化する独特のグルーヴ、琴線に触れるメロディ。そこに費やした時間と経験という重みを加え、過去最高といってもいいのではないかというパフォーマンスで支配された120分。“だけど明日はきっといいことあると信じてたいの”……「MAYBE TOMORROW」で歌った夢の続きは、まだ終わっていない。ツアータイトル〈Yesterday, Today, Maybe Tomorrow〉のとおり、しっかりと彼らの“今”が進行形であることを示してくれた饗宴だった。
 
 そして、この覚めやらぬ興奮は、年末の“紅白”まで続く。いま一度彼らの足跡を振り返りながら、明日を感じてみたくなった。きっといいことがあると信じて。



◇◇◇
 
<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 SUPER GIRL
02 MOON
03 LONELY BUTTERFLY
04 Cotton Time
05 CHEAP HIPPIES
06 フレンズ
07 ~MEDLEY~
  Hot Spice
  ガールズ ブラボー!
  BOSS IS ALWAYS BOSSING
  ラブ イズ Case
  蜃気楼
  Hot Spice(Reprise)
08 真夏の雨(2015 ver.)
09 Drums Solo ~ TIME
10 76th Star(2015 ver.)
11 LITTLE DARLING
12 (It's just a) Smile
13 OLIVE
14 WHEN A WOMAN LOVES A MAN(女が男を愛する時)
15 MONOTONE BOY
16 プライベイト・ヒロイン
≪ENCORE≫
17 RASPBERRY DREAM
18 MAYBE TOMORROW

<MEMBER>
REBECCA are:
NOKKO(vo)
土橋安騎夫/Akio Dobashi(key)
高橋教之/Noriyuki Takahashi(b)
小田原豊/Yutaka Odawara(ds)

是永巧一/Koichi Korenaga(g)
中島オバヲ/Obawo Nakajima(per)

KEI(dance)
MiCHiRU(dance)

◇◇◇


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コメント一覧

野球狂。
土橋・高橋側でした 笑
http://blog.goo.ne.jp/jt_tokyo
赤城太郎さん、是永さん側でしたか。だとすると、ちょうど向かい合っていたかもしれませんね。(笑)

28日チケット入手……いやあ、間に合ってよかったです。

『SONGS』も楽しみですね。年末はREBECCA三昧になりそうです。(笑)
赤城太郎
野球狂。さん。コメントありがとうございました。

席は是永さん側でした。

チケットは28日に急遽入手しましたので、色々面倒でしたが当日参加でぶっ飛びました(笑

>次があるかわかりませんし、観に行けて良かったです。

同感です。

もちろん紅白も楽しみですが、その前のSONGSは永久保存版にします。



野球狂。
隣だったらスゴイですね 笑
http://blog.goo.ne.jp/jt_tokyo
赤城太郎さん、コメントありがとうございます。

一部見づらい注釈付き席でしたが、アリーナの後方に比べれば断然良かったです。自分は向かって左側のスタンドでしたが、赤城さんはどちらだったでしょうか(笑)

次があるかわかりませんし、観に行けて良かったです。
とりあえず、次は紅白での勇姿ですね!
赤城太郎
はじめまして、
私も注釈付き指定席でした。
当日は野球狂。さんの横だったかも(^_^?

普段コンサートには行かないので、貴重な体験だったと思います。
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