■ Especia@GARRET
邦楽ロックを正統なマナーをもって有名無名問わずスピンしている異彩DJ集団“TOKYO BOOTLEG”が主催する音楽フェスティヴァル“TOKYO BOOTLEG CIRCUIT '14”。運営本部のSTAR LOUNGEを中心に、CHELSEA HOTEL、Milkyway、CYCLONE、GARRET、WWWなどで同時開催するこのフェスティヴァルのトリにEspeciaが出演するというので、急遽会場であるGARRETへ駆けつけた。
Especiaの出演は21:40から。その直前のsumikaというロック・バンドから観ることが出来たのだが、この川崎出身の3ピース・バンド、ベース、キーボードのサポートを入れてのステージだったが、テンション高めのグルーヴィなロックという感じでなかなか良かった。何となくCOOL DRIVE(cool drive makers)の青々しさを思い出したりも。
ラストの「雨天決行」という曲の前で、彼らは「ロック・バンドとDJは本来、良い関係を築けないことが多いと思う。バンドをやってる方からみたら、折角苦労して作った曲を、好きなように編集され、切り貼りされて、リミックスとして発表される。こちらの意図するところとは全く別なところで」と言っていたが、その気持ちも解かるような気がした。人の褌で相撲を取って、あまりにも安易に楽曲を扱い過ぎる……DJにはそういうイメージがあるんだろう。ただ、このTOKYO BOOTLEGは楽曲の意味をしっかりと理解してプレイしてくれるから信用出来るとも言っていた。確かに、オリジナルを出さないのに、ただ他人の曲を繋ぎ合わせてあたかも自分の作品と称するDJが蔓延っていることは否めない。DJたちにとっては深く考えなければならない課題だろう。
また、音楽で一つになれたとよく耳にするが、真の部分ではどうなのか。音楽という言葉を万能の薬のように唱えてはいないか。そんなことを考えさせられたsumikaの言葉だった。
話を戻して、Especia。sumikaの演奏の終盤から多くの観客が次々と入場してくる。当初の予定の21:40には開演せず、機材テストなどが再度行なわれていた。ただ、マイクチェックのみならず、実際にセット・リストに組み込まれるであろう楽曲をテストで流してチェックするというのは、いかがなものか。運営側もさまざまなアーティストが登場する大規模なイヴェントで予定通りに事が進まず、バタバタするのは解かる。それでも、事前チェックのスタッフの声がそのまま観客に筒抜けだったり、演奏中にはハウリングが数知れず、演奏オケも途中でぶつ切れになるところがあるなど、少々お粗末だった気がする。この手の小さい箱では良く起こることなのかもしれないが、だからといって端から許容範囲内ということでもないはずだ。
結局、10分遅れで開演。そのためなのか、楽曲は人気曲をメドレーでリレーするようなアレンジに。これがなかなかいいグルーヴを作っていた。決められた短い時間に多くの楽曲をつぎ込むための着想が、かえって功を奏したのかもしれない。セット・リストも、初見の人たちがいることを考えたキャッチーなキラー・チューンが多く、彼女たちのアーバンなポップのイメージを手っ取り早く知ってもらえるのには適した曲構成だった。それだけに、前述の機材のハプニングやメンバーのちょっとした踊りなどのミスは残念だった。
最後は「くるかな」でそのミュージックヴィデオ版のように“TV放送終了アナウンス”入りで終了。メンバーがステージアウトするも、場内からは“アンコール”の声。運営側はBGMの音を大きくするなどして退場を促す。それでもアンコールを続けるファン。さらに退場を促すアナウンス……というやり取りが、なかなかカオスだった。もしかしたら、時間通り進行していたら、アンコールの1曲くらいは予定していたのかもしれないが、あくまでもフェスティヴァルのうちの一つのステージ。数多くのアーティストが参加したフェスティヴァルのトリを務めたというところで良しとするべきなのかもしれない。
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<SET LIST>
01 INTRO
02 Good Times
03 アバンチュールは銀色に
04 ミッドナイトConfusion(Pureness Waterman Edit)
05 パーラメント
06 アビス
07 Mount Up
08 No1 Sweeper
09 くるかな
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