【社説】トルコのメディア弾圧、偏執的な独裁政権
100社以上を閉鎖、多数のジャーナリストに逮捕状
2016 年 7 月 29 日 09:28 JST The Wall Street Journal
トルコの独立系メディアに対するエルドアン大統領の戦争は、今月のクーデター未遂の前に既に終盤に差し掛かっていたが、
この独裁者は今や最後の一撃を加えようと意図しているようだ。
彼の新しい大統領命令第668号を見るがいい。
あらゆる閣僚級の当局者に、国家安全保障に脅威とみられるメディア機関を禁止できる権限を認めている。
エルドアン氏はこの命令に基づき、テレビ放送局39局、新聞45社、雑誌15社、出版社29社を閉鎖し、資産を没収した。
政府は、これらメディア機関が米 ペンシルベニア州在住のトルコ人聖職者ギュレン師の「ヒズメット(奉仕)運動」に結び付いていると
主張している。
エルドアン氏は、クーデターを画策したと いう薄弱な根拠を基にギュレン師を糾弾している。
政府はまた、ジャーナリスト88人に逮捕令状を出した。
その中には有力紙「ザマン」と 英字姉妹紙「トゥデーズ・ザマン」の記者46人やスタッフ、株主も含まれている。
かつてトルコ最大の発行部数を誇っていたザマンは、ギュレン師とのつなが りを理由に今年3月に国有化されている。
クーデター未遂後のメディア検閲の対象も、ギュレン師のネットワークをはるかに超えた範囲に拡大している。
例えばクルド人など反政府勢力のウェブサイトのコンテンツが遮断されているという。
エルドアン氏は以前、ツイッターやフェイスブックへ の接続を遮断しようと試みたことがある。
また同氏は最近、ドイツのTVで風刺作家ヤン・ベーマーマン氏が読み上げた下品な詩の一節を、自分を侮辱したもの だとして抗議し、
ドイツの裁判所に告訴した。
2013年、トルコはジャーナリスト保護委員会(CJP=本部米ニューヨーク)によって世界最悪のジャーナリ スト投獄国だとされた。
その後、中国とエジプトに抜かれたが、今年はこの不名誉な首位の座に返り咲く公算が大きい。
ジャーナリストを投 獄する政権の標的は、決してジャーナリストだけにとどまらない。
エルドアン氏の支配に忠誠を誓おうとしないトルコ人は誰でも弾圧を受けるだろう。
トルコ政 府は民主主義の名の下に弾圧していると主張している。
だが、この国で姿を現しつつあるのは中東のもう一つの独裁体制であり、パラノイア(偏執的)な体制な のだ。
反政府派を徹底的に潰してますね。ネットワークも全部断ち切る。繋がりを持たせない、批判もさせない。
反政府派は地下活動へ、そしてテロとか起こすんじゃないでしょうかね。トルコの行く末が暗いです。EUにも入れないかもしれないです。
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