悪性脳腫瘍に対するレーザー治療

悪性脳腫瘍で苦しんでおられる患者様、および御家族に、私が開発したレーザー治療の有効性、安全性を紹介します。

国際光線力学学会 in Boston 終了

2019-07-01 05:23:53 | 日記
その準備のために、なかなかブログ投稿ができませんでしたが、無事に米国マサチューセッツ州のボストンで開催された、第17回国際光線力学学会が終了しました。私は、学会2日目の土曜日に開催された、脳神経外科のPDTワークショプで20分間の講演と、その後のワークショップに参加、さらに同日午後に開催されたポスター発表を行いました。今回、改めて確認できたのは、PDTを実際の患者様に行なっているのは、世界で日本・ドイツ・フランスの3カ国だけという事です。以前の本会で、ベラルーシの脳外科医が、我々のレザフィリンの偽物を作成してPDTを行なっているという、怪しい発表がありましたが、今回は見かけませんでした。そして、PDTを国が承認しているのは日本だけだという事です。今回、フランスの国を挙げてのPDTの治験の結果が報告されるとのことで、多くの参加者が期待していましたが、その結果はあまりにも期待外れでした。2年前のポルトガルでの発表の際には、Nature誌にも取り上げられ、国が最も期待して多額の研究費をつぎ込んでいる治験であると、息巻いていたグループが、今回は借りてきた猫の様に下を向いて発表していました。彼らの結論はプロトコールの見直しでした。やはり5ALAを用いていることの限界に早く気づかないと。と思いました。ドイツは脳組織内の照射法であり、これも方法論に色々と問題を感じましたが、その臨床成績はまともなものでした。ただ、こちらも5ALAを用いており、カテーテルを脳に挿入するときのリスクが少なからずある様です。友人のStepp Hは、そのための手術になった患者さんはいないが、多くの症例でカテーテル周囲の出血、浮腫の増強は否めないと言っておりました。ワークショップには、ドイツ一人、米国二人、オーストリア一人、フランス一人、そして私と女子医大の村垣教授の7名が登壇(椅子に座って)し、色々な課題を議論するという形で行われました(写真)。グリオーマの分子マーカーは関わるか、表面照射と組織内照射の二つではどちらにビジョンがあるか、そのプロトコール設定の根拠は、将来的に他治療との融合はあるのか、などのテーマでした。聴衆の多くは、我々日本の国家承認治療プロトコールに興味がある様でした。色々と議論をしてゆくうちに、私の次のテーマにも気づくことができました。早速、帰国したらその検証を始めたいし、新たな蛍光診断デバイスの開発や、治療デバイスの開発にも着手する必要性を感じました。このワークショップを終えて、1か月弱に亘ってプレッシャーを感じていただけに、ホッとしたというのが正直なところです。女子医大の村垣教授には本当にお世話になりました。彼の壮大なビジョン、精力的な活動力には本当に敬意を抱いています。私はそこまでの器ではありませんので、今、できることを最善なものとすることだけに集中して、今後も活動していきたいと思います。本日のJAL直行便で帰国します。教室の共同研究者に報告できることが楽しみです。
今後は、本ブログの更新頻度を高めて、進捗を報告していきたいと思います。